二年ほど前からちょっとこだわっているテーマ(?)がある。「短歌」二〇一九年十月号の「諸橋さんと遊ぶ」が最初だっただろうか。「諸橋さん」は諸橋徹次のこと。『大漢和辞典』『広漢和辞典』などの編者で漢字研究の第一人者である。その諸橋さんと「遊ぶ」とは、たとえば、 譶(はやくち)に言ふことなかれ誩(あらそ)ひて人に言ふならなほさらのこと わが母校双ヶ岡中学に叕(つづ)り来しかの日の決意に又も叒(したが)ふ といった遊びである。 一首目は、早口で言ってはいけない。人と争う場合なら、なおさらのこと、というほどの意味であるが、もちろん歌の内容の深さに意味があるのではなく、すぐわかるように「言」「誩」「譶」を一首のなかに組み入れつつ、一応意味の通る歌に仕立てた言葉遊びである。 二首目は、「又」が一つから四つまでの漢字を、すべて入れているところがミソである。私の母校の双ヶ岡中学が入っているところにちょっとリ