<遊び心がFITSAT-1誕生の鍵だった> このような高精度の小型衛星を短期間でつくることができたのには、理由がある。田中教授は小さい頃からアマチュア無線に親しみ、通信と回路の道に精通していたのだ。知識は豊富だったし、何より得意分野だった。どの周波数電波が、どれぐらいのパワーでどこまで届くのかということが長年の経験上でわかったので、遊び心を持って研究に従事できた。それが研究には非常に大切なことだった。 また、JAXAに応募する前に九大の衛星開発をサポートしており、研究会に参加しながら「これは福工大の自分の研究室でもできる」と確信を掴んだという点も大きい。実際、科学技術振興機構の補助金を得て小型通信モジュールを開発できた。そこで、宇宙での高速通信の実証実験をしたい、という企画意図をJAXAの審査委員会で説明した。その結果、思いが通じ、最終的には応募8件のうちから採択された。胸躍らせながら夢を