狂気のイメージとして、電波はもうすっかり有名ですね。大槻ケンヂの小説とか、葉っぱのゲームとかで、電波といえばほとんど精神病のトレードマークとして扱われているけど、確かに実際「電波が聞こえる」とか「電波で操られている」と訴える患者はけっこういるものである。専門用語として「電波体験」という言葉もあるくらいだ。 ただ、フィクションにはよく登場する毒電波という表現には、私は今まで一度も出会ったことがない。「いい電波」と「悪い電波」があって、両方がせめぎあっている、と話していた人がそれにいちばん近いかなあ。しかし、「毒電波」という言葉は、誰が考えたか知らないが、いかにも毒々しい病んだ精神を連想させてなかなかうまい表現だと思いますが。 ちなみに、実際の診療で患者さんに「電波、届いてる?」とか訊かれたときには、「届いてますよ」などとは答えてはいけない。妄想をより強固にすることになってしまうからだ。こうい