『世界ナンバー2列伝』これが、本書のタイトルだ。ナンバー1ではない。あくまでナンバー2である。人間という存在が組織的な活動をするためには、どうしても序列が必要になる。大きな組織の場合、ナンバー1になるということ自体が並大抵のことではない。著者も本書で似たことを述べているが、ナンバー1になるためにはある種の正当性が問われることになる。特に社会の機構が複雑になればなるほど、組織のトップは実力のみではなく、この正当性が重大な問題となってくる。 神の意志。血統。多数の者たちの同意。時代、文化によりその正当性は異なれど、どうしても一部の人間にしか越えられないハードルがナンバー1とそれ以下には存在する。しかし、人間はその出自や社会状況に関係なく、野心を抱き、向上することを夢み、そして己が能力の有無を世間に問いかけたいと願う。それこそが人間性を形成する一部だ。 神の恩寵を受けたナンバー1へのハードルをど