輸出=競争力? どのような国家・経済にあっても、自国および他国の産業競争力を把握することなしに効果的な産業政策を考えることは不可能だろう。これまでの研究では、ある国の財・サービスに関する国際的な産業競争力を把握する指標として、世界の輸出市場(世界で取り引きされている輸出財・サービスの総計)に占める対象国の輸出財・サービスのシェア(以下、総輸出額シェアと呼ぶ)が用いられてきた。ある国の輸出財・サービスの産業競争力が高ければ、結果的に世界市場に占めるその国の輸出額シェアも高くなると考えられるからである。しかし、国際的な中間財・サービス取引が活発になるにつれて、総輸出額シェアが必ずしも産業競争力を示す指標として適切でないとする理解が広まりつつある。 図1は米国カリフォルニア州にあるアップル社でデザインされ、中国で組み立てられるiPhoneの費用と収益の構造である。中国で組み立てられたiPhone
