1990年代後半から2000年代前半の深刻な不況期に社会に出た「就職氷河期世代」が、40歳前後の“働き盛り”に差し掛かった。この世代は、今も賃金、処遇ともに不遇なまま。このまま中高年化する前に、総合的な対策に向けた議論が早急に必要だ。 正社員になる機会は新卒時:日本特有の雇用システム 春、東京の地下鉄に乗っていると、季節の風物詩とでもいえるような光景を目にする。真新しいスーツを着て、真剣にスマートフォンや何かの資料を見つめている若者たちの姿だ。 それは3月に学校を一斉に卒業し、4月から会社で働き始めた入社一年目の若者だったりもする。だが、もっと初々しいのは、来年の入社を目指して就職活動に懸命に取り組んでいる現役の大学生たちである。 彼らが来ているスーツを日本では「リクルート・スーツ」という。色やデザインに目立った自己主張はない。自分が扱いやすい人間であるのを会社に証明するかのようである。