優れたイノベーター企業となるためには、「中核事業の最適化」「新規ビジネスモデルの創出」「過去の忘却」という三位一体のサイクルを続ける――。これが、ゴビンダラジャンの提唱する「スリーボックス・ソリューション」の要旨だ。同名の新著から一部抜粋をお届けする。 企業は、持てる力のほとんどを現在に注ぎ、未来への賢い投資ができない。私は長きにわたり、この現象をあまりに多く目にしながら悩んできた。 たしかに、現在は非常に重要だ。既存事業は業績の原動力である。それは日々の運営資金をもたらし、未来のために必要な利益を生み出す。問題となるのは、現在への注力によって、他の戦略的優先事項が脇に押しやられてしまう時である。たとえば、自社に取り込んでいるスキルのすべてが、今日の中核事業にしか通用しないような場合だ。これはどう考えても近視眼的であろう。 「今日必要なこと」と「明日にできるかもしれないこと」は相容れないが
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