経歴・能力の詐称を理由とする解雇の有効性と,詐欺の成否が争われた事例。 事案の概要 Xは,平成25年12月から,Yで勤務していたところ,平成26年4月に経歴・能力の詐称を理由に解雇された(本件解雇)。XはYに対し,本件解雇は解雇権の濫用であるとして,労働契約上の地位確認,未払い賃金等の支払いを求めた(本訴事件)。 これに対し,Yは,Xが,職歴,SEとしての能力や日本語の能力を詐称し,Yを欺罔して雇用契約を締結させた詐欺によって,支払済みの賃金相当額等の損害を負ったとして,不法行為に基づく損害賠償等を請求した(反訴事件)。 Yは,WEBマーケティングサービス提供会社で,平成25年8月当時,SEやプログラマを募集していた。仕事の内容は,Linux, Apache, MySQL, PHP(いわゆるLAMP)によるシステム開発であり,給与は40万から60万円とされていた。 Xは,これに応募し,送付