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「エスカレーターでは歩かず立ち止まってください」――。 全国の鉄道事業者、空港・商業施設、一部の自治体などが、エスカレーターは歩かずに立ち止まることを利用者に呼びかけるキャンペーンを7月22日から8月31日まで実施している。 国内では多くの公共施設にあるエスカレーターでは、利用者は片側に立ち、もう一方の側が空いているという「片側空け」が定着している。空いた側では歩いたり、駆け上がったりする人が多い。主要駅における朝夕のラッシュ時は、エスカレーターの片側だけに乗るために並ぶ人の長い行列がホーム中央付近まで延びて、もう片側は空いているという不思議な光景が常態化している。 「歩かせない」鉄道会社やメーカーが対策 エスカレーター、エレベーターなど昇降機事業分野の業界団体である日本エレベーター協会によると、エスカレーター上の歩行はバランスを崩したりつまずいたりして、転倒するおそれがあるという。日立製
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「デザインでは先駆者だったが、ほかのメーカーのデザインが良くなり、しかも私たちの製品より低価格で提供されている。そしてそれを乗り越えるだけの販売力が維持できていない」 新興家電メーカー・バルミューダの寺尾玄社長は5月10日決算会見で、悔しさをにじませてそう語った。同社は2023年12月期決算で、13億7500万円の営業赤字に転落した。 バルミューダは2015年に発売した、パンをおいしく焼けるトースターが大ヒット。その後も電気ケトルや炊飯器など、従来のイメージを覆すようなおしゃれなデザインや斬新なアイデアで一世を風靡した。 2020年には東証マザーズ市場(現グロース市場)に上場を果たし、コロナ禍では巣ごもり需要を捉えて大幅に売り上げを伸ばしてきた。 購入層に商品が行き渡った が、足元は反動減に苦しんでいる。赤字だった2023年度から、2024年度は1億5000万円の営業黒字へ大幅改善を目指し
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コンビニ最大手セブン-イレブン・ジャパンが、400円以下の弁当類の強化を急いでいる。 コンビニの主力商品の1つであるチルド弁当。セブンの店頭をのぞくと、その品ぞろえに変化のあることに気づく。以前は税込み500円以上の商品がほとんどを占めていたが、直近では「バターチキンカレー」「麻婆丼」「五目チャーハン」など、370円(税込み399円)の弁当の存在感が高まっている。 セブンでは商品の価格帯を「松・竹・梅」の3つに分類している。チルド弁当の例でいえば、600円以上の商品を「松」、401円~559円を「竹」、400円以下を「梅」とする。関東の一部地域における各価格帯のチルド弁当の商品数は、2023年2月下旬で7:9:3だったが、今年3月には4:9:5に変わっている。 客数はコロナ前の水準に戻っていない 400円以下の「梅」の商品を増やす背景には、消費者の根強い節約志向がある。 賃上げが叫ばれる中
「行政指導でここまで踏み込んだ文書は、あまり見たことがない。次こそは許しませんよ、というメッセージだろう」 総務省は3月5日、SNS「LINE」や検索サービス「Yahoo! JAPAN」などを運営するLINEヤフーに行政指導を行った。その指導内容を記した文書を見た通信業界関係者は、驚きの声を上げた。 LINEヤフーは2023年9~10月、LINEの利用者や取引先の情報など約51万9000件を外部に漏洩させていた。総務省はこのうち2万件以上が電気通信事業法上の「通信の秘密」の漏洩に当たると判断した。 具体的な指導項目として、LINEヤフーの親会社に50%出資する韓国のIT大手、NAVERとのシステムの切り離しや、グループ全体のセキュリティガバナンス体制の強化などを要請。その取り組み方針などを4月1日までにとりまとめたうえで、今後少なくとも1年間は、四半期ごとに総務省に対応状況を報告することを
東海道新幹線はこの数年で大きく変化した。 車両をN700A、N700Sに変更したことによるスピードアップ、信号システムの変更による「のぞみ」の増発と、利用者にとってプラスとなる変化もあった。だが、マイナスとなる変化も起こっている。 喫煙ルームが廃止へ まずは、コロナ禍の影響による売店の廃止だ。「のぞみ」が停車する東京、新横浜、名古屋、京都、新大阪のホームには、「当面の間休業」の札が貼られた売店がある。品川、三河安城、岐阜羽島のホームはドリンクの自動販売機売店が設置されているだけで売店はない。 次にワゴンによる車内販売サービスの廃止だ。2023年10月31日、「のぞみ」「ひかり」の車内ワゴン販売サービスが終了(「こだま」は2012年に終了)、現在は「のぞみ」「ひかり」のグリーン車の乗客を対象に、スマートフォンで飲み物や食べ物を注文、パーサーが注文品を届ける「モバイルオーダーサービス」を実施し
GMS大手の「イトーヨーカ堂」が、北海道と東北、信越にある「イトーヨーカドー」の全17店舗を、今春から順次閉店することがわかった。 近年、GMSは苦境を強いられており、特に地方立地店舗では郊外型店舗への客足流入などで苦しい状況が続いている。撤退店舗の半分は譲渡先の企業が決定したというが、まだ半分は譲渡先が決まっておらず、もし完全閉店となれば、買い物難民が生まれる恐れもある。 一時は日本を代表するGMSとして名を馳せたヨーカドー。そんなGMSの王者は、どこで道を誤ってしまったのか。今回は、ヨーカドー拡大の歴史を追いながら、その立地戦略に注目してヨーカドー苦境の理由について迫っていこう。 ヨーカドーの前身は「羊華堂洋品店」 ヨーカドーの前身である「羊華堂洋品店」は1920年、東京・浅草に誕生した。創業者は吉川敏雄で、後にヨーカドーを立ち上げる伊藤雅俊の叔父にあたる人物。太平洋戦争ののち、この洋
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インターネット接続テレビの普及が加速している。インテージの2023年のアンケート調査によると、全国の42%の人々がテレビをインターネットに接続して使用している。 過去の記事では、インターネット経由での動画配信の普及とテレビ受像機の利用形態(「データが証明『YouTubeに食われる放送局』の実態」)や民放の広告ビジネスに与える影響(「データで判明『TV揺るがすサブスクの脅威』の本質」)を考察した。 本稿では、コロナ禍に急成長した有料動画配信サービスに浮かび上がってきた課題や、インターネットにつながるテレビの可能性を、実際の視聴データを基に考える。 テレビ放送を視聴する時間は半分未満に まず、スマートテレビにおけるテレビ放送と動画配信の最新状況を確認しよう。マーケティング利用の許可を得て収集されたインテージのスマートテレビ視聴データ「Media Gauge(メディアゲージ)」の中で、動画配信も
この約30年間で日本の半導体メーカーはかつての強さを失い、過半を握っていた世界シェアを10%程度へと大きく落としたが、日本の半導体製造装置メーカーは30%前後のシェアを維持し続けており、高い競争力を保っている。 売上高ランキングのトップ10に東京エレクトロン、アドバンテスト、SCREEN、KOKUSAI ELECTRICの4社が名を連ね、そのすぐ下にも日立ハイテク、ニコン、キヤノンらがおり、「日本製の半導体製造装置がなければ半導体を製造できない」といっても過言ではない。 各工程で際立つ日本企業の活躍 半導体の製造では、基材となるシリコンウエハーに電子回路を作り込んでチップを作製するプロセスを「前工程」と呼ぶ。ロジックやメモリーなど作製するチップの種類によって異なるが、半導体の前工程ではチップが完成するまでにおおよそ700の工程を踏む。 半導体製造プロセスは、フォトマスクを介して回路パターン
多くの人が体験する過剰な「マルチタスク」 現代のビジネスシーンでありがちな脳の酷使、マルチタスク環境について少し考えてみたい。 1日の中であれもこれもと種類の違う仕事がふりかかってきて、さらに打ち合わせや会議や電話応対など、差し込み仕事がどんどん入ってきて、同時並行でタスクをこなさないといけない場面を多くの人が経験しているはずだ。 私自身はマルチタスクがとても苦手だ。マイクロソフトでは、「電話番」と呼ばれるマルチタスク業務が尋常でない期間がある。 普段はソフトウェアの開発に集中できるが、数週間に1週程度、お客さんから上がってくるインシデント(システムの問題や障害レポート)にのみ対応する期間があって、そうなると、複数のインシデントに対応しなければならず、いろいろな人から連絡が入り、開発側からのリリースもやらないといけなかったり等、マルチタスクが一気に押し寄せる。 そんな環境を乗り切るヒントを
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10月2日開かれたジャニーズ事務所の記者会見で「指名NG記者」のリストが存在していたことが暴かれ、大きな衝撃が走った。その後、リストに載っていた記者たちがそれぞれに遺憾の意などを表明するに至り、賛否両論、様々な意見が飛び交っている。 一方、騒いでいるのはメディアの中の人が主でもある。これまで一連の経緯を眺めていた一般の多くの人々にとっては、「またか」という感想しかなかったのではないだろうか。 多くの日本人にとって「無関係」でない理由 ジャニーズ事務所の問題がこれほどまでに世間を揺るがし、炎上のネタになるのは、大規模な性加害の隠ぺいやマスコミとの癒着といったスキャンダラスな部分もあるが、私たちにとって無関係ではない“普遍的な問題”が底流にあるからだ。 いわば日本社会の病巣が極端な形で、かつ戯画的に表れているからにほかならない。それは、一言でいえば、「集団の硬直性」と「いびつな通過儀礼」である
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そうなる理由は、マルクスの「資本」の概念から容易に理解できます。資本とは際限のない価値増殖運動にほかなりません。価値増殖すること以外に、資本には何の目的も関心もありません。ゆえに資本は、人間の幸福やあるべき道徳に対して完全に無関心です。私は、資本のこの性格を「資本の他者性」と名づけました(『マルクス 生を呑み込む資本主義』講談社現代新書、2023年)。だから、「ブラック企業」という言葉はおそらく不適切なのです。企業は利潤の最大化、すなわち価値増殖を至上の目的としている限り、そもそも「ブラック」に決まっているのです。 それでも、こうした企業の反社会的性格を抑制するために、経営者たちはさまざまに企業倫理を考え出してきました。それは、利潤の追求だけでなく、社会貢献や労働者の雇用を守るといった目標を追求しなければならないという考え方でした。しかし、この30年余り、新自由主義化が進むなかで、「株主主
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