バカリズム脚本ドラマを支える雑談、その徹底したリアリズム。会話劇を得意とする作家は多くいるが、バカリズムの手掛ける会話には一つの大きな特徴がある。それは、登場人物らがおそろしく“察しがいい”ということだ。会話におけるディスコミュニケーションを笑いやドラマに展開していくというのはよく目にするのだけど、バカリズム作品の場合は「あぁ、それね」とすぐに理解し合うし、言ってもないことを、「えっ、今、〇〇って思ってたでしょ?」と言い当てていく。これはバカリズムが狭い範囲での親密なコミュニティを題材にしているからであろう。今作における異様なまでの高橋(角田晃広)の察しの良さ。 あのさ、ひょっとしてだけど、もう言っちゃってない? ねぇ、今さぁ、時期が早まっただけで、能力使わなくも剥げてただろうって思った? えっ、今、おれのことちょっとヤバいやつだと思った? これはもうエスパーである(高橋は宇宙人であるから