前回の記事では, 2次元のベクトルに対して, 内積を通して直交分解を理解しました. 2次元空間での内積 \((\cdot,\,\cdot)\) には, 大まかに言って次の3つの性質があります. (1) 任意の \(x\in \mathbb{R}^2\) に対して, \((x,\, x)\ge 0\)であり, さらに \((x,\, x)= 0\) と \(x=0\) は同値 (2) 任意の \(x,y \in \mathbb{R}^2\) に対して, \((x,\, y)= (y,\, x)\). (3) 任意の \(x,y,z \in \mathbb{R}^2\), 任意の実数 \(\alpha,\beta\) に対して, \((\alpha x +\beta y,\,z) = \alpha(x,\, z)+ \beta(y,\,z) \). それぞれ (1)を正定値性, (2)を対称性