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昆虫は記載種だけでも100万種を超えるほどの多様性を誇り、陸上ではあらゆる環境へと適応して地球で最も繁栄している生物ともいわれている。しかし、不思議なことに、海洋環境に適応している種の数は非常に少ない。 今回、東京都立大学と杏林大学の研究グループは、昆虫が海にいない理由について、節足動物である昆虫にとって重要な体構造である「外骨格」に着目した新仮説を提示した。それは、元々は海にいた甲殻類の一部が陸上環境へと進出し、やがて昆虫に進化する過程で、マルチ銅オキシデース2(MCO2)と呼ばれる昆虫独自に進化した酵素と酸素分子を用いて外骨格硬化を行うようになった、とする本グループの理論に関係がある。酸素を利用して外骨格を硬くする昆虫の形質は、酸素が豊富な陸上環境へ適応する過程では有利だったが、陸上(空気中)と比較して30分の1しか酸素が含まれない水中への再進出に際しては、一つの障害となっている可能性
東京工業大学は、東京医科歯科大学との大学統合に向け、新大学の名称を「東京科学大学(仮称)」として文部科学省の大学設置・学校法人審議会へ提出したのを受け、教育課程や卒業など大学統合後の取り扱いについて公表した。 教育課程や学位、収容定員は新大学移行まで変更せず、統合後に変更について検討する。学生の身分は統合日まで東京工業大学か東京医科歯科大学に所属しているが、統合日を持って全学生が新大学の所属に変わる。 卒業、修了の扱いは統合日以降、新大学の卒業、修了となり、学位記も新大学の名称で発行される。ただ、現大学の名称を付記するかどうかについては検討中としている。大学入試は新大学移行当初、現在と同等で実施するが、変更する場合には余裕を持って事前に通知する。 参考:【東京工業大学】東京医科歯科大学との大学統合(新大学「東京科学大学(仮称)」設置)に伴う取り扱い
ロボットが何か失敗をしたときに複数がいっしょに謝罪したほうが、相手により受け入れられやすいことが、国際電気通信基礎技術研究所の木本充彦研究員、同志社大学文化情報学部の飯尾尊優准教授らの研究で分かった。 その結果、2台で謝るほうが謝罪を受け入れてもらいやすくなるうえ、別のロボットが片づけをする仕草を見せると謝罪の効果が大きくなることが分かった。研究グループは人が失敗したときと同様に、複数で謝罪することで失敗を受け入れてもらいやすくなるほか、ロボットが有能と判断されるのではないかとみている。 コロナ禍をきっかけに全国の飲食店などで給仕するロボットが増えている。ロボットが何か失敗をしたときに、別のロボットがいっしょに謝ったり、片づけを手伝ったりする機能を設計段階で盛り込んでおくことが、今後必要になると考えている。 論文情報:【PLOS ONE】Two is better than one: Ap
研究者の多様な業績を一元化し瞬時に評価できるデータベース、東北大学が開発 大学ジャーナルオンライン編集部 東北大学は、学内外に散在する研究者の情報を自動的・効率的に集積し、必要なときに必要な情報を可視化できる“次世代型研究者データベース”を開発した。 従来、国内の研究者データベース(researchmapやKAKEN)や海外の論文情報データベース(ScopusやWeb of Science)、内閣府エビデンスシステム(e-CSTI)などにより、論文数や被引用数、科研費獲得額や寄付金額といった研究者の画一的指標は比較的容易に集積・分析が可能だった。一方で、大学には秘匿性がある企業との共同研究や、学生指導、管理運営業務など、外部データベースに集積しにくい教育・研究活動も存在しており、これらは研究者自身が研究時間を割いて学内のデータベースに入力するほかない。入力されたデータは研究者によって量や質
奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科の荒牧英治教授らは、患者の療養生活の支えとなる知りたい病気の闘病記などを的確に検索できる新システム「病の体験記サーチ」を開発、運用を始めた。 さらに、病気と向き合う人の支えになった図書を広く募集する「心に残った一冊アンケート」を定期的に実施し、応募者の紹介文とともに閲覧できるようにした。 病気の闘病記は同じ病気で苦しむ患者を勇気づけたり、闘病生活に参考情報を与えたりする。しかし、個々の闘病記は図書名だけだと何の病気に関するものなのか分かりづらいことが多く、目的に合う図書を探すのが難しかった。 参考:【奈良先端科学技術大学院大学】知りたい病気の療養生活に関する図書を的確に検索できる「病の体験記サーチ」を運用開始~利用者の情報ニーズに寄り添った項目を盛り込み選択の幅を広げるシステムを開発~(PDF)
東京大学の坂元晴香特任研究員と上田ピーター客員研究員は、オンラインで「日本人の性的行動に関する全国調査」を実施した結果、諸外国に比べて日本は性的活動が低調であり、またその満足度も低いことが明らかになった。 性交渉経験について、女性の15.3%、男性の19.8%がこれまでの生涯で性交渉相手なしと回答した。欧米でも性交渉未経験者の割合は年々増加傾向にあるというが、それと比較しても日本における割合は高い水準である(例:英国では25-34歳の女性の10%、男性の7%で性交渉経験が無いと回答)。 過去1年間に性的パートナーがいなかった割合も女性で45.3%、男性で44.5%にのぼり、他の先進諸国に比べて突出して高く(例:ドイツでは過去1年間に性交渉経験がないとの回答が男女ともに約20%前後)、日本では性的活動が不活発であることもまた明らかとなった。性生活に不満と回答した人は女性で17.6%、男性で2
東北大学大学院の小泉政利教授らの研究グループは、少数民族の言語の脳内処理過程を研究した結果、話しやすい語順を決める主な要因は思考の順序、理解しやすい語順を決める主な要因は文法処理の複雑さであり、両者は異なることを世界で初めて実証した。 カクチケル語(マヤ諸語の1つ)は、中米グアテマラの中部で話される消滅危機言語。文の語順が比較的自由(VOS、SVO、VSO、OVSなど)で、VOS語順が最も文法的に単純な基本語順となっている。研究グループは、カクチケル語の母語話者が、話したり聞いたりする際の脳内処理過程を計測し、言語学、心理学、脳科学の観点から研究してきた。 研究グループの実験では、OS言語であるカクチケル語の理解や産出の際、統語処理の複雑さに応じてVOSが他の語順よりも脳活動での処理負荷は低い(容易に理解される)と判明した。しかし、産出頻度(表現時にどの語順をどの程度用いるか)は思考の順序
国の中央省庁25府省庁に在籍する博士号取得者が2,274人に上ることが、内閣官房内閣人事局、内閣府科学技術・イノベーション推進事務局、文部科学省高等教育局の共同調査で分かった。約3分の2は入省以前に博士号を取得していた。 その結果、2022年4月1日現在で中央省庁の25府省庁に在籍する博士号取得者は2,274人で、約3分の2が入省前に博士号を取得していた。採用で最も多いのは43.3%の研究職。次いで、27.0%の行政職、20.2%の教育職となっている。 採用府省庁は防衛省がトップの621人、以下、厚生労働省の596人、国土交通省の368人、環境省の126人、文部科学省の117人、農林水産省の113人、警察庁の78人、経済産業省の71人、外務省の69人と続く。 博士号取得者の採用方針を策定しているのは、宮内庁、公正取引委員会、警察庁、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、環境省、国土交通省の8
群馬大学の島孟留講師らの研究グループは、マウスを用いて、4週間の低糖質・高タンパク質食摂取が作業記憶能を低下させ、海馬での神経の新生や成長・生存に関係するタンパク質のmRNA量を低下させることを見出した。 研究グループは、健康なマウスにLC-HP食(カロリーの比率は炭水化物24.6%、タンパク質57.6%、脂質17.8%)、または対照食(同じくそれぞれ58.6%、24.2%、17.2%)を4週間、同量摂取させた。その結果、対照食摂取群に比べてLC-HP食摂取群で体重の増加率や血糖値、体重当たりの脂肪重量は有意に低く、体重当たりの腎臓重量は有意に高くなった。 これらのマウスの作業記憶を、Y字迷路試験を用いて評価すると、LC-HP食によりY字迷路の成功率(作業記憶)が低下した。この際、乳酸の輸送担体の発現量に影響はなかったが、新生神経細胞の印となるDcx(ダブルコルチン)のmRNA量※や神経細
東京大学大学院の橘侑里氏(博士課程:研究当時)らの研究グループは、アレルギー性鼻炎の症状を持つマウスの鼻腔に12-HETEと呼ばれる脂質の濃度が著しく上昇していることを発見。この物質の産生を抑制するとアレルギー症状が緩和された。 そこで研究グループは、卵白アルブミン(アレルゲン)をマウスに投与し、アレルギー性鼻炎の症状を呈するモデルマウスを作製した。このマウスの鼻汁を回収して分析したところ、12-HETE(不飽和脂肪酸の1つ)という脂質の著しい濃度上昇を確認した。 12-HETEの合成酵素ALOX12が鼻粘膜に浸潤してきた好酸球に発現していたため、マウスにALOX12の阻害薬を投与した。その結果、炎症細胞の浸潤を始めとした鼻炎の症状が改善した。次に、このマウスに12-HETEを追加投与すると、鼻炎症状が再発した。このメカニズムとして、12-HETEがアレルギーの症状を悪化させるT細胞の分化
タンパク質設計問題を解決する数学公式を名古屋大学が発見、圧倒的な高速化を実現 大学ジャーナルオンライン編集部 名古屋大学大学院の高橋智栄博士後期課程学生らの研究グループは、シミュレーションや実験をせずにタンパク質設計をするための数学公式を世界で初めて導出することに成功した。この数学公式により、膨大な計算量のシミュレーションの必要がなくなり、圧倒的に高速な設計が可能になった。 研究グループは昨年、タンパク質進化に関する新しい仮説と機械学習の手法を組み合わせることで、従来手法に比べて圧倒的に高速なタンパク質設計を実現することに成功していた。今回さらに、複雑系物理学・情報統計力学の理論を適用することにより、シミュレーションが不要なアミノ酸配列の推定のための数学公式を導出することに成功した。 これにより、タンパク質設計にかかる時間を昨年発表した効率的な設計手法を用いた場合より、さらに10分の1 程
食品に食べられるデータを埋め込む技術、大阪大学がフード3Dプリンタで実現 大学ジャーナルオンライン編集部 大阪大学大学院の佐藤宏介教授らの研究グループは、フード3Dプリンタを用いて食品の内部に特殊なパターンを形成することで、食べられるデータの埋め込みを世界で初めて実現した。食の安全性向上や新たな食体験の開拓が期待される。 研究グループは今回、フード3Dプリンタでクッキーを作成する際、内部の特定の位置へ異なる色の生地を配置したり空間をつくったりして、内部に空間コード(2次元コード、ARマーカーなど)を形成する技術を開発。生地焼成時に内部のパターンが表面に現れず、食感や強度にも大きく影響しない内部構造設計技術を確立した。これは、豚肉ミンチでも成功した。 さらに、食品内部構造の透過撮影技術により、人の目には見えないデータの読み出しを実現。背面から光を照射して内部の空間コードを表面に浮かび上がらせ
しじみを煮込むとスープが白濁するが、なぜ白くなるのか、これまで明らかとされていなかった。しじみ産地として知られる宍道湖を有する島根県で、白濁の原因物質がタンパク質のトロポミオシンであることが解明された。島根大学の研究グループが、しじみ汁を対象にタンパク質を分離して検出するなどの手法を用いて突き止めた。 そこで、SDS-PAGE(ポリアクリルアミド電気泳動)の実験でしじみ汁からタンパク質を分離し、さらにMALDI-TOFMS(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法)による分析を行った結果、このタンパク質がトロポミオシンであることが突き止められた。 牛乳の白濁はカゼインというタンパク質がカルシウムを結合していることが関係しており、豚骨スープの白濁にはタンパク質に加えて脂質も関与している。しじみのトロポミオシンでも調べてみたが、カルシウムなどのイオンや脂質は無関係だった。 他方、はまぐり、ホタテ
2025年度入試科目、一部の有力国立大学が公表するも私立大学では公表進まず 神戸 悟(教育ジャーナリスト) 東京大学が7月15日に2025(令和7)年度入試の出題教科・科目を公表し、新課程入試における東京大学の個別試験の国語、数学、地歴公民などの出題科目・範囲が判明しました。予想された通りの科目もあれば当初予想とはやや異なる部分もありました。これに先立つ5月20日に公表した大阪大学や7月22日公表の筑波大学、9月16日公表の北海道大学の出題教科・科目を参考にして、他大学も早々に決定して公表するものと見られていましたが、現状では特に私立の有力大学で公表の動きが遅いようです(2022年10月11日現在)。過年度生への経過措置を含めて慎重になっているものと考えられます。確かに既公表大学の一部の教科・科目は、高校における履修の現状を認識しているとは思えない設定もあります。これから公表する、検討中の
2022年9月26日より、立命館大学は約5,000人の学部生・大学院生を対象に、英語授業においてAI自動翻訳サービス「Mirai Translator®」の試験導入を開始した。学校法人立命館と株式会社NTTドコモとの連携協定のもと、株式会社NTTドコモのグループ会社である株式会社みらい翻訳がサービスを提供する。大学の正課の英語授業で利用に一切の制限を設けず「Mirai Translator®」を導入するのは日本初(みらい翻訳調べ)。 今回の試験導入は、AI自動翻訳ツールを大学の英語授業で利用することで、学習成果や学生の心理面などにどのような変化が生じるかを検証する。英語スキル不足による学習への不安感を払しょくさせ、本来習得すべきプレゼンテーション能力の向上や、アウトプット精度の向上など、社会で使える英語スキルを、学生自身が能動的に体得することを目指す。 試験導入期間は2022年9月26日~
バラバラに見えるメロンの網目模様に、共通の統計的法則が存在 山梨大学が発見 大学ジャーナルオンライン編集部 マスクメロンの網目模様が、ある共通した幾何学的法則に従うことを、山梨大学の島弘幸教授らの研究グループが初めて発見した。 メロンの網目は、成長途中で果肉が膨張することによって表皮にひび割れが生じ、ひびの隙間を埋めるように内部から分泌された物質(スベリン)が固まることで形成される。このようなひび割れ模様は、干上がった田んぼの泥や、老朽化したコンクリートなど、内部からの圧力による類似した破断プロセスで多くの自然現象にも観察できる。果たしてそこに、何か共通した法則は潜んでいるのだろうか。 結果として、本グループは、市販の複数のマスクメロンの網目模様のきめ細やかさを統計的に解析することで、網目で囲まれた果皮断片の面積が、共通の確率分布に従うことを初めて見出した。破片面積分布(ある面積の破片が、
もし、東京五輪が開催されなかったら、新型コロナウイルスの感染者はどう推移していたのか。東京財団政策研究所が新型コロナ感染に関する公開データから世界42カ国の事例を参考に推定したところ、国内の感染者数が半減していたとする結果が出た。 加重平均には新型コロナ関連の公開データから予測因子を抽出し、世界42カ国の事例を参照したところ、東京五輪閉会日時点の人口100万人当たりの7日間平均感染者数109.2人は、推定値の50.6人に対して115.7%多くなっていた。東京五輪期間中の累積感染者数14万3,072人は、推定値の8万9,210人より61.0%多かった。 東京五輪では選手や関係者を外部と遮断するバブル方式が採用されたが、研究グループは選手や関係者が例外措置として入国したことや選手の感染対策ルール違反が大きく報道されたことなどから、一般市民の感染対策順守に影響が出てローカルな感染が増えた可能性が
東北大学大学院医学系研究科の下川宏明客員教授らの研究グループは、低出力パルス波超音波治療がアルツハイマー病に有効で安全であることを動物実験と治験によって世界で初めて明らかにした。超音波で自己治癒能力を活性化する画期的な治療法で、超音波照射機器は厚生労働省から先駆的医療機器指定制度の対象品目に選ばれた。 認知機能の低下は動物実験で血管を拡張させる一酸化窒素が脳内で低下することが原因と分かっている。低出力パルス波超音波治療を受けたマウスは、脳内で一酸化窒素が増加していた。研究グループは低出力パルス波超音波治療が微少血管の内皮細胞で一酸化窒素合成酵素の発現を促し、結果として微小な血流循環障害を改善させたとみている。 この研究結果を基に東北大学病院で早期アルツハイマー病の患者22人を対象に治験したところ、同様の結果が出た。さらに、治療回数を重ねるたびに有効となる症例が増えることも分かった。 研究グ
大学4年生の6割強が大学院進学を希望し、進学を希望しない学生の4割近くが家庭の経済状態や奨学金返済に対する不安を理由に挙げていることが、文部科学省の全国調査で分かった。調査結果は大学生や大学院生らの修学支援策を検討する文科省の有識者会議初会合で報告された。 それによると、大学院への進学を希望する学生は全体の62.3%。人文・社会系の学生は25.8%にとどまったものの、理工・農学系の学生は84.5%に達した。奨学金利用の有無で進学希望に差は見られなかった。 大学院への進学希望を持たない学生のうち、54.6%は「過去に進学を考えたことがある」と答えた。進学を希望しない理由では「大学院で学修・研究を深めたいという気持ちがない」「早く社会に出て仕事の経験を深めたい」とする声が多かったが、38.1%は家庭の経済状態や奨学金返済に対する不安を挙げている。 大学院に在学中、授業料納付を免除され、修了後の
TOP > コラム > 時代に先駆け、データサイエンス&文理融合型の学びを推進。 イノベーションの源泉となる『総合知』を創出する 「人間の時代」をけん引する文化情報学部の学びとは 2005年の開設以来、“データサイエンスを用いて文化を研究する”文理融合型の学びを推進してきたのが、同志社大学文化情報学部だ。なぜいま文化なのか、学部長の下嶋篤教授と、同学部のデータサイエンス教育を設計してきた宿久洋教授にその狙いを聞いた。 そしてこうした人間の本質を理解するには、古来から現在、未来へと続く、人間の叡智(=文化)を研究することが必須であると考えています。本学部が、データサイエンスのターゲットとして『文化』に目をつけた理由はここにあります」と下嶋教授。 そもそもデータサイエンスは、統計学や情報学などの知識を活用し、データから新たな価値を引き出す学問。同学部では、サブカルチャーや歴史、ファッション、メ
佐賀大学理工学部の冨永昌人教授らの研究グループは、京都大学の白井理教授らとの共同研究で、皮膚に貼るだけの超高感度なアルコールガスセンサを開発した。 研究グループは、アルコールと特異的に反応する酵素を用いて、酵素の反応を直接的に電気信号に変換できる高効率検出デバイスを開発した。このデバイスは、約30ppb(ppb=10億分の1、1ppbは1立方メートル中に1立方ミリメートルの気体を含む状態)のアルコールガス濃度を検出できる。実際に手首にデバイスを貼り付けて、アルコール(15%日本酒、おちょこ約一杯の22.3 mL)を飲酒したところ、手首から放出されるアルコールガスを検出し定量することができた。 検出部分は、定期的な交換が必要だがディスポーザブルタイプになっており(携帯型血糖値センサのようなイメージ)、生分解性のセルロース材とカーボン材から構成され環境負荷の低い素材を用いている。 今後、高感度
マスクの使用実態と付着する細菌・真菌の検証、世界で初めて近畿大学が解析 大学ジャーナルオンライン編集部 近畿大学医学部の朴雅美講師らの研究グループは、マスクの使用状況や生活習慣と、マスクに付着する細菌・真菌との関連性を世界で初めて解析。衛生的で正しいマスク着用法の啓発に活用できるとしている。 研究グループは、ボランティア109人にマスク使用に関するアンケート(素材、使用日数など)より使用実態を調査。マスクの内側・外側に付着した細菌と真菌を培養し、菌の数・種類を調べた。 その結果、細菌の数はマスクの内側で多く、真菌の数はマスクの外側で多かった。また、マスクの使用日数が長いほど、真菌の数は有意に増加したが、細菌の数は増加しなかった。さらに、公共交通機関の利用有無や、うがいの習慣などの条件が菌の増減には影響しなかった。 今回検出された細菌・真菌の大部分は通常病気を起こさない菌だが、黄色ブドウ球菌
近年、国立大学に新設される学部で文理融合を標榜する学部が増えています。2023年度も金沢大学(融合学域スマート創生科学類)、静岡大学(グローバル共創科学部)などの新設が予定されています。これらに加えて、一橋大学(ソーシャル・データサイエンス学部)も文理融合と言って良いでしょう。ところで、今年の6月から中央教育審議会の大学分科会に新しい部会(大学振興部会)が加わりましたが、そこでの論点は文理横断・文理融合教育です。今や国家政策となりつつある文理融合系学部です。 大学振興部会の第1回の議題は文理横断・文理融合教育 文部科学省の教育政策を審議する中央教育審議会には、いくつかの分科会が設けられています。その中で主に大学など高等教育政策は、大学分科会が担っています。その大学分科会のもとには様々な部会やワーキンググループが設けられていますが、今年の6月から新たに大学振興部会が加わりました。 大学振興と
コーヒー・カフェインと認知症予防に強固な関連性、新潟大学が日本人高齢者で調査 大学ジャーナルオンライン編集部 新潟大学大学院の中村和利教授らの研究グループは日本人の中高年のコーヒー、緑茶、カフェインの摂取量と認知症リスクとの関連を調査し、コーヒー高摂取と認知症低リスク、およびカフェイン高摂取と認知症低リスクの強固なエビデンスを得た。緑茶の効果は明確ではなかった。 解析の結果、コーヒー摂取量が多いほど認知症の発生率は低下し、摂取最大の一日3カップ以上摂取のグループの発生率は飲まないグループの0.53倍だった。この関連性はどの年代でも見られ、女性より男性で顕著だった。また、緑茶摂取量が多いほど認知症の発生率は小さくなる傾向は見られたが、統計学的に確かな低下ではなかった。 さらに、カフェイン摂取量が多いほど認知症の発生率は低下し、摂取最大のグループ(中央値449mg/日)の発生率は最小のグループ
コロナ禍でゆがんだ社会の絆が恐怖や偏見、対立を助長する 京都大学の提言 大学ジャーナルオンライン編集部 京都大学大学院医学研究科の鄭志誠研究員と藤野純也さん(博士課程学生:当時)は、社会の絆(きずな)の2面性を新型コロナウイルス感染拡大下の実態と関連づけて調べ、人々の絆や共感といった一見ポジティブとみなされやすい概念が社会にもたらしうる負の側面を示した。 本研究者らは分析的文献レビューと質的調査により、社会の絆や共感がもつ両側面をコロナ禍の体験と関連づけて分析を行った。その結果、コロナ禍においても、人々のつながりを大切にする態度や共感的な表現は、ソーシャルメディア等を通じて孤独感を和らげ、社会の絆を高めていたが、他方で人々とのつながりが同調圧力を生み、過剰に自分の状態(例:コロナ陽性)に対するうわさや中傷を恐れたり、自分とは異なるグループ(例: 非ワクチン接種者)への偏見や攻撃的行動を誘発
大阪大学大学院の境慎司教授とウィルダン・ムバロク氏(博士後期課程)らの研究グループは、アニサキスなどの線虫表面を生きたまま、スーツを仕立てるように柔軟な薄膜でコートする方法を開発。アニサキスはがんの「匂い」を探知してがんを探索できるため、この薄膜で抗がん物質を輸送させれば、新たながん治療法の開発が期待できる。 研究グループは、このがんの「匂い」を検知してがん部位へ移動する能力を活用する研究を開始。アニサキスを、がん細胞を殺傷する物質の輸送体とするため、匂い検知能力や運動性に影響しない、厚さ0.01mm程の柔軟なゲルの薄膜を20分程度で線虫表面に形成させる方法の開発に成功した。 実験では、血液中のブドウ糖から過酸化水素を生成できる酵素(グルコースオキシダーゼ)を組み込んだゲル薄膜で線虫をコートし、がん細胞を含む培養液に入れたところ、24時間後にがん細胞を死滅できた。また、紫外線透過防止素材を
現在の高校1年生が大学入試を受験する2025(令和7)年度入試。その入試科目は今年度中に公表されることになっています。すでに国立大学協会が「情報Ⅰ」を原則として課すことを1月に公表しています。東京大学も3月に大学入学共通テスト(以下、共通テスト)の利用教科・科目を公表していますが、配点、選択パターンや個別試験科目などはまだ公表されていません。ただ、大阪大学など有力な大学が詳細な情報を公開するなど動きも見られます。現段階でのポイントについて見ていきます。 早稲田大学人間科学部は共通テスト「情報」が選択可能共通テストの出題教科・科目や試験時間、現行の教育課程履修者(2025年度入試では旧課程履修者)の経過措置はすでに発表されています。また、国立大学協会からも「情報」を加えた6教科8科目受験を原則とすることが公表されています。各大学がこれらを受けて、どのような入試科目となるか注目されていますが、
九州大学、ひきこもりの血液バイオマーカーを発見 ひきこもり者の識別も可能に 大学ジャーナルオンライン編集部 九州大学の研究チームは、九州大学病院が擁する世界で唯一の「ひきこもり研究外来」で解析を行い、ひきこもり者を特徴づける血中成分を報告した。 本研究チームでは、九州大学病院に世界初のひきこもりを専門とするひきこもり研究外来を立ち上げており、今回、ひきこもり者と健常者の血液メタボローム解析を行い比較検証することで、ひきこもり者に特徴的な血中成分(バイオマーカー)を探索した。その結果、ひきこもり者の血中では、健常者と比較してオルニチン、アシルカルニチンが高く、ビリルビン、アルギニンが低いことがわかった。また、男性のひきこもり者においては、血清アルギナーゼが有意に高いことを発見した。 これら血液データと臨床データをもとに、機械学習判別モデルを作成したところ、ひきこもり者と健常者の識別、ひきこも
長時間労働がメンタルヘルスに悪影響を与えるといわれるが、残業自体ではなく、長時間労働による睡眠不足と不規則な食事がメンタルヘルスを害していることが、東京医科大学精神医学分野の渡邉天志医師、志村哲祥医師らの研究で明らかになった。 その結果、長時間労働は心身のストレス反応に直接影響しないことが分かった。しかし、長時間労働が食事の不規則さや睡眠時間の短縮を招き、それらがうつや心身のストレス反応を引き起こしていた。 研究グループは労働時間の短縮が実現しても、睡眠不足や不規則な食事が続けば症状が改善しないが、長時間労働が続いても睡眠時間が確保され、食事が規則正しく摂取できれば、メンタルヘルスへの影響を限定的な範囲に抑えられるとみている。 ただ、今回の研究では因果関係の証明はできていない。研究グループは後続の研究で因果関係の解明を期待している。 論文情報:【International Journal
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