関西電力が丸紅などとオーストラリアで計画していた水素製造事業から撤退することが分かった。プラントや収支計画などの基本設計を詰めるなかで、製造コストが想定以上に高く、採算に合わないと判断した。関電は二酸化炭素(CO2)を排出しない水素発電の事業化を目指しているが、他の地域での製造や調達を検討する。豪州北東部のクイーンズランド州で進めていた再生可能エネルギーを使って水素を製造・液化するプロジェクト
川崎重工業は水素供給網の整備に向けた実証試験の計画を大幅に見直した。もとはオーストラリア(豪州)から水素を調達する国際的なサプライチェーン(供給網)確立を目指した計画だったが期限内に豪州で水素を調達することが難しくなった。当初予定していた2030年度の実証完了が競争力確保の絶対条件として水素調達を国内に変更。水素運搬船もサイズダウンするなど「現実解」に舵をきる。「あたふたしていると海外に抜かれ
一般社団法人環境金融研究機構 | Research Institute for Environmental Finance: RIEF |HOME |日本企業主導のオーストラリアでの水素製造輸入計画、相次いで「頓挫」。岩谷産業主導の「グリーン水素」事業と、川崎重工主導の「グレー水素」。技術リスク評価の「甘さ」露呈(RIEF) | 日本企業主導のオーストラリアでの水素製造輸入計画、相次いで「頓挫」。岩谷産業主導の「グリーン水素」事業と、川崎重工主導の「グレー水素」。技術リスク評価の「甘さ」露呈(RIEF) 2024-11-16 02:37:12 (写真は、オーストラリアで開発した「グレー水素」を輸入するはずだった川崎重工の特注船「すいそふろんてぃあ」号の2021年12月の『船出』の様子=HySTRAのサイトから引用) 日本の大手企業が華々しく打ち上げたオーストラリアでの水素開発事業が、相次い
川崎重工は2024年11月15日、神戸工場の水素を30%混焼できる大型ガスエンジン発電設備の運用を開始したと発表した。体積比で30%の水素が適用可能な発電出力5MWを超える大型ガスエンジン発電設備としては、国内初になるという。 同社は高効率・低NOx(窒素酸化物)をコンセプトとした天然ガス・都市ガスを燃料とするガスエンジン「カワサキグリーンガスエンジン」の開発に取り組んできた。またガスエンジンに水素を適用する技術開発に取り組む中で、神戸工場で稼働している都市ガスを燃料とする、発電出力7.5MWの大型ガスエンジン発電設備を水素混焼仕様へ改造を進めてきた。 このほど一連の試運転を完了し、都市ガスまたは最大30%の水素と都市ガスの混合燃料が適用可能なガスエンジン発電設備として運用を開始した。エンジン型式は「KG-18-T」で、定格出力は7.5MWとなっている。この設備で発電した電力を神戸工場に供
11月16、17の両日、富士スピードウェイ(静岡県小山町)で最終戦を迎えるENEOSスーパー耐久シリーズ(S耐)2024 Empowered by BRIDGESTONE。 本番を前にした10月末、富川悠太が向かったのはサーキット…ではなく、愛知県内の水素ステーション。そこにあったのはROOKIE Racingの32号車、“液体”水素を燃料とする水素エンジンカローラ。 その理由は、サーキット以外の場所で液体水素を充填する実証実験を行うため。 通常は、“気体”水素をFCEV(燃料電池車)に供給している水素ステーションだが、貯蔵時は液体。将来の液体水素車の実用化を見据えて、既存のステーションで気体・液体どちらも充填できるようにすることが、今回の実験の狙いだ。 サーキットでは何度も行ってきた液体水素の充填。その経験があるからこそ、ともに開発を進めてきた岩谷産業の仲間は、場所が変わっても、「S耐の
2024年11月16日 液体水素エンジンGRカローラ 最終戦での新たな可能性の拡がり-走行時のボイルオフガス活用技術への挑戦に向けた仲間づくり- トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)は、11月16日~17日に行われる、「ENEOS スーパー耐久シリーズ 2024 Empowered by BRIDGESTONE 第7戦 S耐ファイナル 富士」に、液体水素を燃料とする「#32 ORC ROOKIE GR Corolla H2 Concept」(以下、液体水素エンジンGRカローラ)で参戦します。 また今回、走行中に発生するボイルオフガス*活用を想定したコンセプトモデルを展示し、ともに技術開発に挑戦する仲間を募ります。
国内2輪車メーカー4社などで構成する水素小型モビリティ・エンジン研究組合(HySE)は12日、サウジアラビアで2025年1月3―17日に開催される「ダカールラリー2025」に改良した水素燃料エンジン車で参戦すると発表した。従来モデル「HySE―X1」からエンジン、車体を進化させた「同―X2」を投入する。高回転域の出力特性向上や低中回転域での燃費改善、水素タンクの増設などの新たな技術課題に挑んだ。 X2は総排気量998cc。従来に比べて車両サイズは大きくなったものの、車両重量はタイヤの変更などで増加を最小限に抑えた。車体レイアウトを改良し、水素タンクを従来の3本から4本に増設できるようにした。 次世代のパワートレーン(駆動装置)搭載車両のために設けられるカテゴリー「ミッション1000アクト2」に参加する。HySEは水素小型モビリティーの課題抽出を目的に、24年の同ラリーにX1で参戦しクラス4
地球温暖化への関心の高まりから、ジェット燃料を使用して大量のCO2を排出する航空機の利用に、欧米を中心に「フライト・シェイム(飛び恥)」との批判が強まっている。航空業界のCO2排出量は世界全体の3%程度だが、乗客1人を1キロメートル運ぶ際のCO2排出量は鉄道の6倍。このため、民間航空業界を管轄する国連の専門組織「国際民間航空機関」(ICAO)は2022年、国際線の航空機が排出する二酸化炭素(CO2)を2050年に実質ゼロ(カーボンニュートラル)とする目標を採択した。世界の航空機産業は今、脱炭素化に向けて大きく舵を切っている。 スタートした次世代航空機の開発プロジェクト 2050年のカーボンニュートラルに向け、ICAOは、「新技術の導入」「運航方式の改善(燃料節約)」「持続可能な航空燃料(SAF)の活用」の組み合わせによってCO2排出量削減を図り、基準となる排出量を超過した分は、排出権取引に
物質・材料研究機構(NIMS)は2024年10月28日、液化水素を含む低温水素ガス環境下での材料特性評価が可能な試験設備が完成したと発表した。2025年度末までにデータの信頼性などを検証し、2026年度からの本格稼働を目指している。 完成した実験棟は水素防爆構造で、4つの試験設備と容量が2万4000リットル(l)の液化水素貯水槽を設けている。20~200Kの温度域と常圧~10MPaの圧力域で、幅広い材料について引張試験、疲労試験、破壊靭性試験などの機械的特性に関するデータを取得可能だ。さらに、中空試験片を用いることにより、20~353Kの温度域かつ100MPa程度の高圧水素ガス環境での試験にも対応する。 水素の社会実装に向け、鍵となるのは供給コストの削減だ。そのためには、安全性を確保しつつ安価な材料を用いて水素サプライチェーンを構築する必要がある。しかし、既存の試験設備では、200K以下の
水素が身近なエネルギーとして利用されるためには、安価かつ安定した水素の流通が必要です。 水素を大量に製造し、効率的に輸送・貯蔵し、利用するまでの流れ(サプライチェーン)を確立していくことが大切です。 水素サプライチェーンについて 水素を「つくる」 オーストラリア・ビクトリア州にある炭田より採掘される褐炭を用いて、現地にて水素を製造します。 オーストラリア・ビクトリア州の褐炭採掘場 写真提供:HySTRA 褐炭とは、石炭の種類の一つです。石炭は炭化の度合いによって分類され、石炭化度が高い順に、無煙炭、瀝青炭、亜瀝青炭、褐炭、亜炭等に分けられます。石炭火力発電では主に瀝青炭が利用されますが、褐炭は瀝青炭と比較し、水分量が50%~60%と多く低品質で、乾燥させると自然発火しやすいなどの特徴を持つことから、輸送に適さず、これまで採掘された炭田周辺での利用にとどまっていました。 この褐炭を活用し水素
乾電池をヒントに開発 「クルマだけでは水素の普及に限界がある。もっと身近なエネルギーとして感じてもらうためには、一般家庭で使える環境を実現しなければならない。そのアイデアを考えていたときに、社内から出てきた発想のヒントが電気を貯める乾電池だった」。 こう語るのは水素ファクトリー水素製品開発部ウーブン水素実証グループの恒川泰伸氏。 トヨタの「ジャパンモビリティショー ビズウィーク 2024」での取り組みが注目されている。それが「ポータブル水素カートリッジ」。一般の人でも水素を交換式バッテリーのように持ち運びができるもの。さながら大きな乾電池のような形状だ。 通常、コンセプトモデルなどが展示されるケースが多いが、このカートリッジは水素ステーションなどでの安全基準を策定する高圧ガス保安協会の基準を満たしており、既に量産レベル。消火器ほどの大きさで重量は8・5㌔。大人が両手で持てば、そこまで重くは
◆高効率を達成、商用化へ IHIは8日、再生可能エネルギー由来のグリーン水素を原料としたグリーンアンモニアの製造試験に成功したと発表した。そうまIHIグリーンエネルギーセンター(福島県相馬市)で小規模試験を行い、高効率でのアンモニア製造ができることを確認した。今後は1日当たり数十~数百トンのアンモニアを製造できるように装置の大型化を進め、2030年代の商用化を目指す。製造したアンモニアは石炭火力発電所の燃料転換などで使えると見込む。 >>電子版を1カ月無料でお試し!! 試読キャンペーンはこちらから >>この記事の続きは『電気新聞』本紙または『電気新聞デジタル』でお読みください
IHI(東京都江東区)は11月7日、再エネ由来のグリーン水素を原料としてCO2フリーのアンモニアを製造する装置を開発したと発表した。また、福島県相馬市の「そうまIHIグリーンエネルギーセンター(SIGC)」内の水素研究棟「そうまラボ」で小型スケールの試験を実施し、グリーンアンモニアを効率的に製造できることを確認した。 IHI(東京都江東区)は11月7日、再エネ由来のグリーン水素を原料としてCO2フリーのアンモニアを製造する装置を開発し、効率的にグリーンアンモニアを製造できることを確認したと発表した。 電気の力で水素を製造する「Power-to-X技術」を活用
私たちは、生活のなかでさまざまなエネルギーを利用しています。 特に「電気」は、欠かすことのできないエネルギーです。 日本で使われる電気の多くは、石油や石炭など化石燃料を使用する火力発電所でつくられており、地球温暖化の原因となる二酸化炭素が排出されています。 神戸市では、二酸化炭素を排出しない電気をつくる未来ををめざして、国の支援のもと、民間企業とともに、発電の燃料を水素に替える実証事業に取り組んでいます。 水素コージェネレーションシステム(CGS)について 水素を燃やし、発生する熱風で発電機を動かして電気をつくる実証設備(ガスタービン)です。 燃料に水素、天然ガス(もしくはそれらの混合気体)を用いることができ、さまざまな実証事業を行っています。 実証事業が行われている現地(ポートアイランド)の写真 写真提供:川崎重工業株式会社 発生する熱風は、「熱源」としても利用することで、効率のよ
山梨大学は、電気エネルギーで水素と酸素を得る、水電解デバイスの性能を向上させるアニオン膜を開発した。再生可能エネルギー電力などを使った、グリーン水素製造デバイスへの応用が期待される。 山梨大学は2024年10月28日、電気エネルギーで水素と酸素を得る、水電解デバイスの性能を向上させるアニオン膜(Quaternized Terphenylene Alkyl Fluorene、QTAF膜)を開発したと発表した。早稲田大学との共同研究による成果で、再生可能エネルギー電力などを使った、グリーン水素製造デバイスへの応用が期待される。 QTAF膜は、安定性が高いポリフェニレン型高分子を主骨格に用いて、側鎖にアンモニウム基、部分フッ素基を組み合わせる構造とした。ポリフェニレンの構成成分を疎水部と親水部に分割し、疎水部はベンゼン環が3つ連結したターフェニル構造として分子の剛直性を高めた。中央のベンゼン環に
太陽光を活用し、理論的な限界よりも低い電圧で水から水素を作ることに成功したと、産業技術総合研究所(茨城県)のチームが発表した。水素は温室効果ガスを出さない次世代のクリーンエネルギーの一つで、製造の低コスト化や、低炭素社会の実現への寄与が期待される。 水素はおもに水を電気分解して作るため、電力の低減が課題だ。電気分解には最低1・23ボルトの電圧が必要で、これ以下では理論的にできないとされる。 チームは、太陽光を吸収して化学反応を起こす「光触媒」が、鉄イオンを還元する反応に着目。還元された鉄イオンが水を酸化して水素を作る反応と組み合わせ、太陽光と電気分解をハイブリッドした新しい装置を作った。 すると、電気分解に必要なエネルギーの一部を太陽光のエネルギーが補うことで、限界よりも低い0・9ボルト以下の電圧で、水素が製造できた。 チームは、酸化タングステンなどを使った高効率の光触媒も開発。シート状に
日機装の子会社であるClean Energy & Industrial Gasesグループは、米国バス会社向けに液化水素ステーションを新たに米カリフォルニア州に完成、開所した。 日機装は2024年10月28日、同社子会社のClean Energy & Industrial Gases(CE&IG)グループが米国バス会社SunLine Transit Agency(サンライン)向けに液化水素ステーションを新たに米カリフォルニア州に完成および開所したと発表した。CE&IGグループは、米国と韓国で安定運行が可能な商用車向けを中心に水素ステーションの受注を得ている。今回の開所により、全世界における納入件数は2025年に35カ所を超える見込みだ。 新たに開所した液化水素ステーションは、サンラインのバス32台に水素燃料を供給する。35MPa対応車両と70MPa対応車両のどちらの充填方式(H35、H70
上海で開かれた「中国国際輸入博覧会(CIIE)」=現代自動車中国法人提供(c)NEWSIS 韓国・現代自動車は、中国・上海で開催された中国国際輸入博覧会(CIIE)で水素事業に注力する姿勢を明らかにした。現代自動車の水素事業責任者であるユン・ヨンイル常務は5日、「中国は世界の水素エネルギー推進に不可欠な市場」と述べ、成長が見込まれる中国市場への水素関連投資を強調した。 CIIEでは、現代の水素トラック「MIGHTY Fuel Cell」や水素電気車「NEXO(ネッソ)」の中国版、さらに現地で生産した水素燃料電池を搭載した水素バスなどが展示され、現代自動車の水素技術が大々的にアピールされた。中国政府が2030年以降に段階的なカーボンニュートラルを目指しており、水素エネルギーの需要増加が見込まれている背景から、現代自動車も投資を続けている。 現代自動車は2019年に中国市場に進出し、広東省広州
韓国政府は11月1日、韓悳洙(ハン・ドクス)首相主宰で「第7回水素経済委員会」を開催した。同委員会には産業通商資源部、企画財政部、科学技術情報通信部など政府機関関係者に加えて、斗山グループや現代自動車、SKイノベーションE&Sなどの民間企業も出席し、世界の水素経済をリードするための具体的な実行案が議論された。 同委員会では、次の国内2カ所を「水素特化団地」(注)に指定し、ソウル首都圏企業の水素特化団地への移転時の補助金を優遇し、共同研究開発・実証事業・人材育成などを支援することとなった。 江原道東海市・三陟市:液化水素貯蔵・輸送特化団地 慶尚北道浦項市:発電用燃料電池特化団地 同委員会では、この他にも、付加価値が高い大型液化水素運搬船技術への支援を盛り込んだ「液化水素運搬船の超格差先導戦略」や、都市全般に多様な水素エコシステムを構築するための「水素都市2.0推進戦略」に係る議論も行われた。
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