前回の記事で、東京大学が今回の告発を受けてどこまで調査をひろげるのかを論点にした。告発された教授の中には10年にわたる7本の論文で疑義が指摘され、常習性が疑われる。東京大学分子細胞生物学研究所の加藤茂明氏(当時は教授)が告発されたときは、指摘された24本だけでなく、東大在籍中の全論文の調査をし、結果、51本の論文に「不適切な図がある」と判定されている。今回も、仮に告発書にあった複数の論文が不正と判定された場合には、同じように全論文調査を検討してほしい。 今回の記事では、告発書に使われていたまったく新しい解析方法について紹介したい。論文に載っている棒グラフや折れ線グラフなどから、もとの観測値を復元しているのだ。この手法を使うと、これまでは見つけることのできなかった不正をあぶり出すことができる。こうした解析方法が存在すること自体が、捏造常習者には脅威となるはずだ。 従来の不正検出方法前回の記事
