明けましておめでとう。そう言ってみて、少し奇妙な感じがする。新年を迎えることに、何か喜ばしいこと、しかもその喜びを共同体に分かち合う(partager:パルタジェ)意味がどこにあるのだろうか。疑念がある。どこにもないんじゃないか。あるいはどこかにあるのだろうか。 あるとすればそれは書籍との出会いにも似ているだろう。誰もが賞賛するような優れた本などというものはないと言いつつ、古典のように本来は誰が読んでも価値があるとされるような本も他方存在する。そこで古典にそのような、ある普遍的な価値があるなら、誰もがそれを読むべきだと言えそうにも思える。そうでもない。そう言ってしまえば、冒頭のような少し奇妙な感じが伴う。 私は何を言おうとしているのか。書籍の価値は、それを読んだ人が、密かにある種の確信をもってパルタジェするときに、その行為を含めた過程に生まれるものではないだろうか。古典とはそうしたパルタジ