※『atプラス』08号(2011年5月刊行)143-153頁に掲載。 「ケアの社会学入門」という特集を組んだ本誌07号の批評をせよ、と編集部から依頼されてから間もない2011年3月11日に、東日本大震災がおきた。 4月11日現在で、死者は13,013名、行方不明者は14,608名と伝えられている。両者の合計は27,621名にのぼり、1995年の阪神・淡路大震災の死者(約6,500名)の4倍をこえている。加えて、約15万の人びとが避難生活を余儀なくされている。特別養護老人ホームの高齢者とそこで働くヘルパーが、数十名、そのまま津波にのみこまれ、死亡、行方不明になったケースも、いくつか報道されている。 本誌07号の特集で論じられていたケアは、高齢者や障害者にかかわる介護や介助に限定されていた。しかし、3月11日を経験した現在、ケアという言葉は、もっと広い文脈と射程において考えられるべきものに(再