『壱人両名 江戸日本の知られざる二重身分』(尾脇秀和 著) 「江戸時代は、色々な種類の史料がたくさん残されている時代です。裁判記録はもちろん、村の庄屋がつけた日記も残っています。侍も、同僚のことを罵(ののし)って“さっさと帰るあいつの仕事、結局オレが全部やっている”などと愚痴を日記に書き付けていたりします。10年以上、古文書を読む仕事をしてきましたが、そういうごく普通の人々の暮らしを知ることが、私にはとても面白いんです」 と、日本近世史を専門とする歴史学者の尾脇秀和さんは語る。10年にわたる研究成果を『壱人両名』として最近刊行した。いまの日本では、戸籍は一人一つしか持てない。ところが江戸時代には、百姓や町人でありながら武士であったり、あるいは武士でありながら町人であったり、複数の名前や身分を同時に持っている人たちが結構いた。 尾脇さんがその存在に気がつくきっかけになったのは、京都郊外の農家
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