東京・元赤坂の迎賓館赤坂離宮が所蔵する藤田嗣治(1886~1968年)の「幻の作品」を含む天井壁画全6点が8月11日から29日までの期間限定で、初めて一堂に展示される。「乳白色の下地」と細い黒線で描いた裸婦像などで第一次世界大戦下のパリ画壇を席巻した異邦人画家は、1930年代半ばの世界的な壁画ブームに乗って、日本に帰国した際に次々と大作に挑んだことが知られている。 今回特別展示される6点は35(昭和10)年11月、日本初のフランス菓子店「コロンバン」の銀座店のために制作。戦火を免れるために店内から運び出されて保管されていたが、75年1月に宮殿から衣替えされたばかりの迎賓館に寄贈されたものだ。このうちの一点「犬を抱く女性と楽士」は、2006年に東京国立近代美術館他で開催された生誕120年回顧展など各種展覧会でも展示されたことがなく、まさに初公開となる。
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