産みの親が育てることができない子どもに,継続的かつ安定した養育者と環境を保障する「特別養子縁組」。いま,特別養子縁組制度の見直しも検討されています。特別養子縁組とはどのような制度なのでしょうか。また,特別養子縁組によって結ばれた家族の思いとはどのようなものなのでしょうか。発達心理学が専門の富田庸子・鎌倉女子大学教授が解説します。 富田庸子(とみた・ようこ):鎌倉女子大学児童学部教授。鎌倉女子大学「家族のつながり」ゼミナールの指導教員として,『ふたりのおかあさん』(ちとせプレス,2019年)を制作。 子どもには,「家庭で育つ権利」があります 日本には,さまざまな事情で産みの親のもとで育つことのできない子どもたちが,およそ4万人もいます。その多くが乳児院や児童養護施設など,施設で暮らしています。国連子どもの権利条約は,すべての子どもが「その人格の完全なかつ調和のとれた発達のため,家庭環境の下で
