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新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

アミアン大聖堂⑦ プロジェクションマッピングは建築当初の極彩色の群像を再現した。

2019-04-30 | フランス・アミアン

 アミアン大聖堂のプロジェクションマッピングは、さらに続いてゆく。

 まるで絵本のようなカラフル状態に。

 それが、刻々と色を変えて行く。

 諸王のギャラリーにもそれぞれの像が現れた。

 今度は下部から色彩が立ち上ってくる。

 絵具をぶちまけたような鮮やかさでファザード全体が覆われた。

 そこからまたまた青を基調としたカラフル壁面に。

 と思ったら、今度は赤の大聖堂が出現した。

 そして終了のサインが浮き上がった。

 ここで、一連のプロジェクションマッピングは一旦終了したが、もう1つのシーンが待っていた。

 というのは、今度はそれぞれの像1つ1つに衣装を着せた極彩色の静止画が映し出されたのだ。

 3つの扉口のさまざまな像がみなカラフルな衣を纏っている。

 こんな具合に。

 建築当初はこういった装飾がなされていたのだろうか。

 扉口から眺めると、まさにここは天国への入口。

 諸王のギャラリーの王たちも派手派手なお洒落をして立ち並んでいる。

 バラ窓もキラキラ。

 本当に幻想的な光景に遭遇できたことで、感謝の思いに胸が膨らんだ。

 この夜は雨が降ったりやんだりの不安定な天候だったが、マッピングの最中だけはピタリと雨が止んでくれた。おかげで素敵なスペクタクルをたっぷり堪能することが出来た。

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アミアン大聖堂⑥ 華麗、荘厳、変幻自在。大聖堂のプロジェクションマッピングが始まった。

2019-04-26 | フランス・アミアン

 実は冬の時期にアミアンを訪れたのには1つの目的があった。この都市では夏場と冬の2つの時期に大聖堂の壁面をスクリーンにしたプロジェクションマッピングを行うので、それを見るためだ。

 7年前に訪れた時はちょうど開催が終わった直後で、悔しい思いをした。それで、「いつかは」と考え続けて今回やっと開催時期に合わせて訪問することが出来た。

 午後7時からの開始ということで、少し前の時間に広場に到着。その時には観客はパラパラだったが、開始直前になると続々と人が集まって来た。そして午後7時。重厚な音楽と共にマッピングが始まった。

 薄暗かった大聖堂のファザードがふわりと明かりが灯り、

 白い波が湧き出した。

 それが白く塔を縁どって、

 青に変わってゆく。

 菱形の模様が壁面を駆け巡り、

 円形に変化し、

 扉口に描かれた像が映し出された。

 万華鏡のような円が出現し、

 次にはファザードが黄色に変化した。

 内部に建ち並ぶ列柱が勢ぞろい、

 一瞬聖堂の輪郭が消えて、ステンドグラスが浮き上がる。

 今度はファザード全体がオレンジで塗りつぶされた。

 そして、多色の風車が回り始める。

 こうして変幻自在のプロジェクションマッピングはさらに続いてゆく・・・・
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アミアン大聖堂⑤ 洗礼者ヨハネの悲劇の運命。その彼の聖遺物がこの大聖堂に!

2019-04-23 | フランス・アミアン
 南側周歩廊の聖フィルマンの生涯に対して、北側周歩廊には洗礼者ヨハネの物語が群像彫刻で再現されている。

 洗礼者ヨハネとは、キリストに洗礼を施した聖者で、キリスト教の歴史上重要な人物だ。

 ヨハネが市民たちにキリスト教の教えを説いていた。

 ここでキリストに洗礼を行っている。

 多くの人々に説教するヨハネ。

 神の子の羊を示すヨハネ。

 そんな中、時の王ヘロデは自らの弟の嫁であるヘロデアを強引に自らの妻にしてしまうが、ヨハネはそれをいけないことだと批判する。怒ったヘロデ王はヨハネを逮捕してしまう。

 ヘロデ王はある時、城内で華やかな宴を催した。

 そこで、王は娘サロメの踊りを誉め、「好きなものをなんでも与えよう」と話す。サロメは「ヨハネの首が欲しい」と申し出る。これによってヨハネが処刑されてしまった。

 その首はサロメとサロメをそそのかした母ヘロデアの前に差し出された。

 この物語は、のちにオスカー・ワイルドによって戯曲化されて大評判となり、サロメ=悪女という定評が出来てしまったが、こんなドラマチックな聖書の物語もここに群像彫刻として残されている。

 この北側周歩廊には、ちょっとグロテスクなものが保管されている。その生涯の物語が描かれた洗礼者ヨハネその人の頭がい骨の一部がこの教会にあるのだ。それが、こちら。

 この聖遺物は13世紀初頭に第4次十字軍がコンスタンティノープルから持ち帰ったもので、このことがきっかけで大聖堂が建設されることになったといわれる。
 当時のアミアンは、毛織物産業などで潤っており、裕福な商人たちの豊富な資金が大聖堂建設を実現させたわけだ。



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アミアン大聖堂④ 初代司教の生涯が、見事な石の群像彫刻で再現されていた。

2019-04-19 | フランス・アミアン

 南側の周歩廊に移動する。この廊と内陣を隔てる内陣障壁には見事な群像彫刻が並んでいる。

 この障壁にあるのは、大聖堂初代司教である聖フィルマンの物語。4つの場面に分けて造られている。その場面場面が実に精巧に作りこまれていて、じっくりと眺めてしまった。

 順を追って見てみよう。一番左はフィルマンがアミアンに到着した場面。出迎える市民たちのっ興味深そうな表情が面白い。アップは冒頭の写真だが、中でも白い帽子のアミアン娘の美しい表情が印象的だ。

 次にフィルマンが市民に洗礼を施している場面。こうして次第にキリスト教が市民たちの間に浸透して行く。

 3番目は、状況が一変する。フィルマンの布教は4世紀のこと。当時はまだキリスト教は非公認の宗教。お上からは「邪教を広めた」との罪で、逮捕されてしまう。

 最後は、フィルマンが首を斬られて殉教する。この場面は、見つめる市民たちの前で、枠から外れた外側に打ち首のシーンが設置されている。

 この群像彫刻下には墓と遺体が納められており、すっかり聖フィルマンのものだと思っていたら、別の司教の墓だった。

 これらの像は柔らかな彫り具合から木のように見えたが、実は石を彫って彩色を施したものだという。16世紀の職人の確かな技量が伝わってくる。まさに後期ゴシック彫刻を代表する傑作だ。

 南側側廊には「黄金の聖母」と呼ばれる聖母像が置かれている。赤ん坊のイエスを左腕で抱き、かすかに微笑みを湛えた聖母はどこまでも麗しい。

 完成当時は黄金色に彩色され、南扉口にあった。

 しかし、保存の必要から今は扉口にはレプリカが置かれ、実物は堂内で保護されている。


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アミアン大聖堂③ 紅の衣をまとった聖母マリア、すすり泣く天使、そして234mの迷宮。

2019-04-16 | フランス・アミアン

 中に入ると、まずは初めに天井の高さに息を呑む。

 天井の高さ42.3m。数あるゴシック建築の中でも最大級の高さを誇る。交差リヴが軽やかなリズムを奏で、その天井から朝の光が差し込み、波状のアーチが明るく前後左右に広がってゆく。

 奥行きは145m、広さ7700㎡。果てしないほどの広がりを支える柱は、側面に装飾柱を加えて全く重量感を消し去っている。

 主祭壇のある内陣は鉄柵で仕切られて入れないが、上方に見える窓の青さが目に染みる。

 身廊中央まで歩くと床に描かれたラビリント(迷宮)に気付く。このラビリントは234mもの長さで聖堂床面のほぼ全体に広がっている。

 中央には石板があり、着工年と建築を指揮した大司教エブラールと3人の建築家の名前が記されている。

 北と南の交差部からは2つのバラ窓を見ることが出来る。

 後陣に回った。3つの礼拝堂があるが、中央は聖母マリアに捧げられた礼拝堂だ。赤と青の鮮やかなステンドグラスが設置されていた。

 そこにちょうど朝日が差し込み、ステンドグラスの色が周囲にこぼれ出してきている。

 側廊のあちこちに色の恵みが広げられて、幸せ感が漂っている。

 特に黄金のマリア像は、その身にあでやかな紅の衣を纏って、一層神々しく輝いていた。

 そのまま後ろを振り向くと、右手をこめかみに当てた天使像がみつかる。17世紀、ニコラ・ブッセの手になるこの天使像は、第一次世界大戦の時、戦時下の生活の苦しみ、悲しみを天使の沈痛な表情と重ね合わせたことで、「すすり泣く天使」と呼ばれるようになったという。

 聖歌隊席には約4000体もの像があるとされるが、残念ながら中には入れない。隙間から見つけた小さな像を何とか1枚。16世紀初頭、10人ほどの熟練工がこれらの像を丹念に仕上げていった。

 ジャンヌダルクの像も。フランスの教会では本当によく見かける。

 説教壇への階段も面白い。


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