今日はクリスマスイブである。しかし僕にはそんなことはどうでもよかった。いつもどおり仕事へ行かなければならなかったし、かといってそれを悲観しているわけでもなかった。なにしろ朝起きて、支度をし、車に乗り込み、カーステレオを付けるまで今日がクリ
その日、私は世界を壊した。本を読むのが好きだった。ふとした瞬間に、お気に入りの一冊を欲しがった。そんな時、私は小脇に抱えたカバンを探した。その中で私のお気に入りの一冊は、ひっそりと息を潜めていた。時折、雨音に紛れて隠れてしまう日は、私は一番
星のない夜。提灯の明かりに照らされて、彼女は泳いでいた。赤い着物にオレンジ色のへこおびが揺れる。その小さい体を揺らしながら、まるで暗闇を探しているようだった。不意に、彼女が小さな水桶を覗き込む。それきり彼女の姿は見えなくなった。僕もそれを真
何もない丘に、壊れた扉がぽつんと一つ。今にも壊れそうだと軋んだ声で泣いていた。俺がパタリとドアを閉めたら、見る間に崩れて落ちていった。まいったな。早速帰り道を失ってしまったらしい。困り果てて緑の勾配を眺めていると、どこからか懐かしい歌が聞こ
ざっくりと紹介だけ。だいたい把握できればOKと思って書いていきます。世界はめぐり、動き続けるので編集は随時。似通った容姿のキャラクターが多様に存在するのは仕様です。彼らはお互いに実像であり虚像。己の実を信じて扉をまたぎ、そこに存在し続け、融
階層型扉都市。怪奇と爽春の狭間。不可思議な増築が繰り返されたような都市形をしている。そこかしこに扉がついていて、その場所は常軌を逸する。地形の関係上、建築物や路地はとても入り組んでおり、尚も増築中である。異なる世界線に続いている扉も多数あり
その指先に恋をした。なんて言ったら、笑うだろうか。人の手を見るのが好きだ。作り物のような綺麗な手の人に恋をするんだと思っていた。けれど、僕の隣で笑っている君の手はまるで子供のようで、僕がこがれていたソレとはまるで違っている。それでも僕は君を
有名な文学作品に”見えるけれどたどりつかない城”の話がある。本当にそんな城があったら面白いのに。と、何も知らない俺は思っていた。そう、その城はどこにでも存在する。誰も気づいていないだけで、どこにでも存在しているんだ。俺の近くにも。もちろん、
目的もなく書店に入ることがしばしばある。ふらふらと本棚の間を歩いては、目に留まる本を手にとってパラパラとめくった。人気のミステリー作家の新作ドラマで話題の恋愛小説アイドルが表紙を飾る名作集そのスキマにひっそりと佇む、お気に入りの作家の新作(
”うん”と返信したら、すぐにまた返事が来た。”明日貰いに行っても良い?”どうしようかと思ったけれど、”用意しておくよ”と返信した。翌日眠い目をこすり、朝からパンを焼いているとドンドンとドアを叩く音がした。全く何時だと思っているんだ。もう来た
冷蔵庫の扉の裏に並んでいる白い球体。固い殻に身を包み、何かを大切に守っている。アレはいったいなんだと思う?アレはね、目玉だよ。大きな目玉が隠されていて、世界が開けるのを待っているのさ。カツカツ パリン器に落とした大きな目玉。俺と目玉のにらめ
何処まで続いているんだろうねと僕らは問う。その道は果てしなく続いている。行ってみようと声をあわせ、僕らは車を走らせた。その道は何処までも続いていて、終わりなどないように思えた。何処まで走っていけるんだろうと僕らは笑う。その道は果てしなく続い
その人は真っ黒な眼球に、真っ白な瞳孔を持っていた。どうしてその人と会話を始めたのかはわからないけれど、どういうわけか俺たちは一緒に桜を見ることになった。遅い遅いと嘆かれた桜の開花はやっと訪れ、公園はその他大勢でにぎわっている。空は快晴。桜は
まだ飴が降っていた頃、世界は砂糖菓子で出来ていた。金平糖の星空。綿菓子の雲。飴細工の緑にマシュマロの花。僕らも飴細工だった。甘い静けさに支配された風景が懐かしい。飴が降った時にだけ、ポロンポロンと愛らしい音が聞こえてくる。あのメロディーに勝
森の奥深くにその古井戸はたたずんでいる。木々の間にひっそりと身を潜めて、流れ着いた風を次々と飲み込んでいく。そう、ここは風の終着地。風がもっとも偉大だと思うのはどうしてだと思う?世界中の手紙という手紙を運んでくれるからだと思うんだ。「こんな
俺の掌でガチガチと歯を鳴らす、この口についてわかったことがいくつかある。どうやら声帯はないらしい。歯を鳴らすばかりで声らしい声はない。そもそも声帯は咽にあるものだ、口に無くても当たり前かと勝手に納得した。掌に口があって、手首に声帯がある。そ
見るからにやる気のなさそうな受付の男に半券を渡し足を踏み入れた博物館は、特別展示の最中だというのにまるで人影がなかった。特別展示というのだから、それは酷い人ごみだろうと意気込んできたのだが、どうやら余計な心配だったようだ。これならじっくりと
昨日さ、酷いニュースを見たんだよ。君も見た?あれは酷い事件だったね。犯人、すぐつかまると思う?って、そんな顔しないでくれよ。みんなこの話をするとそうやって眉をひそめるよね。変だと思うかもしれないけど、誰もが眉をひそめたそのニュースを見て、俺
その木には、真っ赤な木の実が生っていました。いいえ、違います。アダムとイブが心を奪われた、あの木の実ではありません。もっと小さな木の実です。あまりに綺麗な赤だったので、思わずその実を摘み取ったのです。とても不思議な味がしました。なんという名
世界でもっとも有名な呪文をご存知だろうか。財宝が隠された、重厚な扉を開ける呪文といえばこれしかない。「ひらけごま」大冒険における常識といっても良い。「何でゴマなんだ」と馬鹿にする奴らも多いけれど、この呪文で、アリババは財宝を手に入れたし、ゴ
「ウサギって寂しいと死ぬんだってー」「じゃぁお前、読経でもしてやれよ」「俺もさー、寂しいと死んじゃうって言ったら、 あっちゃん一緒にいてくれる?」「殴っていいか?」「あっちゃんが寂しいときはー、 俺が一緒にいるから安心していいぜっ!!」「・
材料・水 適量・石ころ(角のあるものがよい) 4Kg・砂(水気の少ないものがよい) 2Kg・唐辛子(粉末) 適量・ホールトマト缶 1缶・勇気
海の魚川の魚池の魚世界でもっとも美しい魚は、もっとずっと近くにいる。小さなグラスの中をゆらゆらと泳ぐその姿に、誰もが心を奪われる。小さな気泡の間を縫って、小さな世界で優雅に泳いでいる。グラスを傾けると瞬く間に消えていくその魚は、再びグラスが
海辺にてこの石ころの全てが、私の夢なんだと思うわ。だって、私には夢がたくさんあるんだもの。たいした事じゃないのよ?ただ、こうしたいって思うこととか、出来たら良いなって思うこととか、そういうの。そういうささやかなことだって、私は立
そんなつもりは無いんだけれど、グロテスクかもしれないので隠しました。自己責任で続きをどうぞ。
「今日はどうぞ、醒める前にお召し上がりください」その日、彼女は僕にそういった。僕は決して猫舌などではない。沸かしたての熱い湯を、そのまま飲み干すことは出来ずとも、熱いコーヒーで体を温めることで一日をはじめる位には猫舌ではない。け
素敵な友人に魅せられて。わたしもやってみようとおもうんだ。ここは、だいすきをつづっていくページです。0001 空0002 海0003 廃墟0004 小説0005 映画0006 物語0007 恋愛0008 純愛0009 悲恋0010 星001
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