■「Hiver2025」では 静かな夜には(工藤×良太11)更新中です。 近々、「いつだってこれだよ」(河崎×
創作BL小説です。オヤジ工藤と部下良太のすったもんだラブ、京助と千雪のどちらも譲らないぞラブなど、ひねくれ度高いですが基本ハピエン。業界、学園、バンド、社会人、海外あり。R18。
創作BL小説です。オヤジ工藤と部下良太のすったもんだラブ、京助と千雪のどちらも譲らないぞラブなど、ひねくれ度高いですが基本ハピエン。業界、学園、バンド、社会人、海外あり。R18。傲岸不遜男×強気、野球選手×美形、業界、バンド、学園、学生、リーマン、イケオジ多。BL、ML。字書き、あきつ、絵描き、alyosha、松本悠莉で活動しております。
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■「Hiver2025」では 静かな夜には(工藤×良太11)更新中です。 近々、「いつだってこれだよ」(河崎×
月夜の猫-BL小説です 静かな夜には12 BL小説 翌朝は、かろうじて雪も小降りになり、中標津町を出た一行は、一路道西へと向かった。 昼にはニセコに着いた一行は、一旦宿となる『ホテルニセコ』に荷物を預け、その足で撮影に出向く。 だが、それも、風蓮湖の時とは打って変わって、楽しげに辺りに生息する野生動物を
月夜の猫-BL小説です 寒に入り29 BL小説 子供の頃は、差別的な言葉でからかわれたとも言っていたが、本人の陽気な性格や笑うと目がなくなり、厚めの唇がにっと笑うとカワイイ! とSNSでのお茶目なショットやオフシーズンには芸人顔負けのしゃべりでバラエティなどに出たりしているせいで、中高女子から大人女子まで、
月夜の猫-BL小説です 静かな夜には11 BL小説 「明日はニセコだ。撮影予定は一日だけだから、あとは羽伸ばしていいぞ、みんな」 ワンボックスカーの中で、下柳が言うなり、おおおーーーっとみんなの口から雄たけびが上がる。 「せっかくだから、良太ちゃんも、スキーでもスノボでもやりまくっていけばいい」 「え、はあ」
月夜の猫-BL小説です 寒に入り28 BL小説 そんなことを考えている良太もまた、翌日は忙しかった。 携わっているスポーツ番組『パワスポ』の特集で、レッドスターズの新鋭、八木沼大輔を取り上げることになり、午前中はMホテルでその取材が入っていた。 慰労会二日目は、エステや観劇、買い物など手配だけしてそれぞ
月夜の猫-BL小説です 静かな夜には10 BL小説 「はい、俺の方はヤギさんいるし。俺、初めてヤギさんの本領見た気がします。何か迫力違うし、すごいですね」 工藤は笑った。 「ああ、そっちは寒いだろう?」 「ええ、すっげー寒いんですけど、最高気温もマイナスだし、でも、これが本物の自然かって感じで、白鳥とか大
月夜の猫-BL小説です 寒に入り27 BL小説 「前に良太に送ってくださったブランデーケーキ、頂いたんですけどすんごく美味しかったです!」 「あら、嬉しいわ。また焼いて送りますね」 口を挟んだアスカにも百合子はにこにこと笑顔を向ける。 「ケーキと言えば杉田さんもプロ並み。何せ、うちの社長の子どもの頃からケーキ
月夜の猫-BL小説です 静かな夜には9 BL小説 白鳥が声高に鳴いた。 大きく羽を広げ、羽音さえ、空気を伝わって耳に残る。 空に一点の曇りが宿った、と思いきや、舞い降りたのは大鷲だ。 風蓮湖。 海水が混ざる汽水湖だという。 今でも手つかずの自然が残り、約三百種の野鳥が去来する。 良太は、下柳たち
月夜の猫-BL小説です 寒に入り26 BL小説 しらっちゃけた会にならないようにと気を配った良太の考えより遥かに賑やかなものとなったのは、主に女性陣のお陰だ。 というより、女性陣はほぼ明るくておしゃべりで賑やかで美味しい物が好きな人が集まった感じで、あっという間にあちこちで笑い声が上がっている。 杉田さ
月夜の猫-BL小説です 静かな夜には8 BL小説 「良太、俺のことなんか、かまってらんないみたいだし」 「すねたような言い方すんな。俺には俺の仕事があんの。ほら、着いたぞ」 小笠原が自分に懐いてくれるのはいいのだが、実際問題として、良太が小笠原のマネージメントを全面的に引き受けるとすれば、今の仕事を全てほっぽ
月夜の猫-BL小説です 寒に入り25 BL小説 ドアが閉まるなり、工藤は良太の腕を引くとその後ろ頭を持ち上げるようにして唇を重ねてくる。 執拗でエロいキスに酸欠になりそうで喘ぎながら工藤のコートを掴む良太だが、そのうち夢中にさせられて身体から力がふっと抜けていく。 唇が離れると、良太は思い切り息を吸い
月夜の猫-BL小説です 静かな夜には7 BL小説 日本では午後五時を回ったところだから、ニューヨークは真夜中の三時頃のはずだ。 「あ、はい、明後日から根室のヤギさんに合流します。はあ、そうですか。わかりました。極力本人にも自覚させますから。はい、気をつけて。おやすみなさい」 携帯を切ると、そこはかとない寂
月夜の猫-BL小説です 寒に入り24 BL小説 最近は生意気に俺に指図なんかしやがって。 工藤の宴会嫌いとか、年齢が上の女性にはあまり強く出られないところなどを良太は把握して、うまく立ち回っている。 竹野に関しては他の共演者とうまくやって行けるかどうかが問題だとは思っていたが、誰かが上から目線でそんなこ
月夜の猫-BL小説です 静かな夜には6 BL小説 「だから、言っただろ? お前、結構イイセンいってたから、覚えてるやつが多いんだよ」 後部座席の小笠原が、シートの間から身を乗り出さんばかりに断言する。 「何がイイセンなもんか。とにかく、俺は今、お前のマネージャーなんだから」 「ちぇ、頑固なんだからよ、見か
月夜の猫-BL小説です 寒に入り23 BL小説 バタバタと動いていたので寒さもどこぞへ消えて汗だくになった良太は、七時まで十五分となったところでバスルームに飛び込んでシャワーを浴びた。 五分で出てくるとざっと髪にドライヤーを当て、セーターを被ってジーンズを履く。 時間がなくて手近にあったダッフルコートを
月夜の猫-BL小説です 静かな夜には5 BL小説 「…っせーんだよ」 良太はさっさとスタジオのドアを開けた。 「なんだよ」 小笠原は怪訝そうに良太を見た。 「工藤はヤクザなんかじゃねー!」 「へ?」 「今度、ふざけたことをぬかしたら、ただじゃおかねーからな」 ぽかんと口を開けたまま、しばし突っ立っていた
月夜の猫-BL小説です 寒に入り22 BL小説 お土産などもいっそ宅配してしまうのがいいかも知れない。 「そういえば、奈々ちゃんとこご両親が参加されるってことです」 「ほう?」 奈々と言えば良太にとっては曰くありありで、何しろ、奈々が親に黙って映画のオーディションを受けたことがわかって、良太は当初、激怒し
月夜の猫-BL小説です 静かな夜には4 BL小説 ニューヨークで初舞台を踏む志村嘉人に、小杉と工藤も同行して現地にいる。 世界で既にその名を知らしめている演出家筒井明彦演出の『ハムレット』の舞台出演だ。 過去のシェークスピア劇にとらわれない、斬新な演出が話題になっている。 その筒井と組んでプロデュース
月夜の猫-BL小説です 寒に入り21 BL小説 「みんなの希望日時をまとめると来週末ってことでAホテルは確保しました。二泊三日で、アスカさん、志村さんは撮影で一泊になりますが、親睦会は社員は全員OKです。ご家族の方がまだお返事保留の方がいますけど」 「そうか」 「一応、宴会場を借りて食事はホテルのメインレスト
月夜の猫-BL小説です 静かな夜には3 BL小説 二月も終わりに差し掛かり、たまに春めいた風が流れる日はあるものの、まだまだ身震いするような寒さが日本列島上空に居座っている。 「何やってんだよ! 五時にはきっかりスタジオに行かなくちゃなんないんだぞ」 広瀬良太は、ぐずぐずとまだコーヒーなんかを飲もうとして
月夜の猫-BL小説です 寒に入り20 BL小説 東洋グループ側からは、紫紀を始め、中平広報室次長、岡林広報室長、宮下東洋商事営業第一部本部長、渡辺東洋フィナンシャル営業第一部本部長など、主要幹部が列席すると言われて、良太は心の中で溜息をつく。 何? その顔触れ。 紫紀が直々に沢村にオファーしたことからも
月夜の猫-BL小説です 静かな夜には2 BL小説 石川が受話器を置くと、ややあって電話が鳴り、女子社員が出た。 「編集長、広瀬さんって小笠原さんのマネージャーから」 「はい、石川です」 受話器を取る石川に目をやりながら、女子社員が山野に向き直る。 「でもさ、仕方ないよ、今、一番人気だもん、彼」 「まーね
月夜の猫-BL小説です 寒に入り19 BL小説 「こういう席なので無粋な話は極力控えたいところですが、今回、CMの件、佐々木さんにも快諾頂いてありがとうございます」 「あ、はあ」 沢村は思わず仏頂面で紫紀を見た。 「あ、藤堂さん、良太ちゃんも、よろしくお願いいたします」 「はい、こちらこそぜひ、いいものにな
月夜の猫-BL小説です 静かな夜には1 BL小説 我侭なタレントに振り回されるのはテレビやラジオ業界だけではない。 情報を先取りして旬の話題を追いかける週刊誌はもとより、流行を創り出す一端を担う女性誌もその忙しさは並大抵ではない。 我侭タレントがスケジュールを散々変更させた上、やっと撮影にこぎつけた
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です 静かな夜には(工藤×良太9) BL小説 昭和なオヤジ工藤と、部下で秘書兼プロデューサー元野球少年で直球な良太のすったもんだラブ。ドタキャンした俳優の代役で良太がCMに出る出ないで工藤とひと悶着のあとイタリアでのロケを終えて会社に戻ってきていた良太は
■静かな夜には(工藤×良太11) boys love novel Hiver 2025 以前のエピソードに少し
月夜の猫-BL小説です 寒に入り18 BL小説 淑子に言葉をかけられて神妙に頷いている工藤を見て、良太はまた一人、工藤の苦手な相手を見つけた気がして、笑みを禁じ得ない。 この場合の苦手は、決して嫌いじゃないが、という前提だ。 クソババア、なんて自分の祖母のことを詰っていた工藤だが、案外、本人を目の前にし
月夜の猫-BL小説です 寒に入り17 BL小説 俄かに沢村の周りが賑やかになった。 沢村は煩わしくて仕方ないながらも、佐々木のことが気になって目で探していた。 佐々木は母の淑子と一緒に小夜子や義母佐保子、浜村会長らと話しているところだった。 そこに兄の宗一郎がいるのを見て、沢村は眉を顰めた。 思わ
月夜の猫-BL小説です 寒に入り16 BL小説 すると由樹も名刺を差し出した。 「まあ、よろしく。智ちゃんの従姉の大河内由樹です」 名刺には三友産業グループ、三友ホールディングス、専務取締役という肩書があった。 「プロデューサーさん、カッコいいわね」 「いえ、まだてんで駆け出しなので」 「パワスポとかやっ
月夜の猫-BL小説です 寒に入り15 BL小説 亭主の小夜子が正客である淑子に銚子と引き盃を渡し、盃が最初のグループ内に順に渡ったところで、酒を注いでいく。 次のグループからは、直子と洋子も亭主側の手伝いとして同じように銚子と引き盃を持って回った。 全員に行き渡ると、直子と洋子も末席の自分の席に着き、そ
月夜の猫-BL小説です 寒に入り14 BL小説 「ちょっと、良太、もう二度目でしょ? 今頃から根を上げてどうすんのよ」 「アスカさん、案外正座も平気なんだ?」 顔を顰める良太の足はまだジンジンする。 「これでも一応、お茶もかじってるし」 ツン、とアスカは自慢げな表情を見せる。 「そうなんだ?」 ふと良
月夜の猫-BL小説です Summer Break ようやくラストです BL小説 年が明けて世の中寒波が襲来のこのシーズン、 お正月も終わりですが、 Summer Breakようやくラスト、です。 すみません、唐突に充電切れすることがあり、 そうすると、次が出てこなくなることがあって。 というか、
月夜の猫-BL小説です 寒に入り13 BL小説 どうやら良太と工藤、沢村は金髪碧眼にフレームレスの眼鏡をかけた男と一緒のグループのようで、先頭に研二が座り、良太、沢村、金髪男、工藤という順に席入りした。 「沢村、お前、英語しゃべれるんだろ? 隣の人何者だよ」 「英語人種じゃねぇみたいだぜ? フランス語っぽ
月夜の猫-BL小説です Summer Break38 ラスト BL小説 何だかわからなかったが、その夜の工藤は割と酔っていたのか機嫌がよさそうに思えたものの、別荘に帰ってから猫の世話を済ませて翌日帰る準備をしていた良太の部屋を強襲して、やたら良太に絡んできた。 良太としてもせっかく東京を離れて二人きりでい
月夜の猫-BL小説です Summer Break37 BL小説 「初犯で執行猶予も終わってほとぼりが冷めた頃でも、いざ復帰となると、視聴者が金輪際許さないとばかりダメ出しするんで、スポンサーもうんとは言わない。せっかく実力のあるやつらがバカをやって這い上がれなくなる」 工藤が怒りを滲ませた口調で言った。
月夜の猫-BL小説です 寒に入り12 BL小説 「そういえば、匠も来るんですか?」 ふと思いついて、良太は工藤に聞いた。 「俺は聞いていないが、綾小路は贔屓筋だし、今日何も入ってなければ来るんじゃないか」 財界人らしき顔が大方集う中で、ここの一角だけ少し異質な雰囲気になっているようだと良太は感じた。 関
月夜の猫-BL小説です 寒に入り11 BL小説 さり気に見まわすと、昨年、沢村の父親の意向で会社の顧問弁護士の息のかかった調査員が沢村を法を逸脱した素行調査をしているという、良太にしてみれば未だもって消化不良な出来事があった時、データの中にあった沢村の兄らしき人物が、着物姿の夫人とともにリビングの隅にいるの
月夜の猫-BL小説です 寒に入り10 BL小説 成長してからは、良太も亜弓の言う意味がよく分かったし、自分の出来が良かったわけではないことも頷けた。 だがそのうち努力賞が自分なのだと開き直ったから今がある気がする。 冷静に考えてみると、去年、やたら悩んでいたのがバカみたいに思えてくる。 周りがみんなで
月夜の猫-BL小説です 寒に入り9 BL小説 「ちょ、待てよ! 不謹慎だろ!」 「うるさいやつだな、それはそれ、これはこれだろ」 工藤は良太の抵抗など意に介しない。 「何、ヘリクツ言ってんだよ!」 「慰めてくれるんじゃないのか?」 「エロオヤジなんか慰めるつもりはない!」 「とか何とか、こっちはしっかりそ
月夜の猫-BL小説です 寒に入り8 BL小説 「まあなあ。あ、忘れないうちに言っとくけど、例のドラマほぼ本決まりだから、キャスティング決まったらよろしくな」 「ちぇ、良太、やっぱ工藤にマインドコントロールされてるぞ」 「るさいよ!」 小笠原とああでもないこうでもないと言い合ったことで、良太は懸念していた慰
月夜の猫-BL小説です 寒に入り7 BL小説 でも兄弟姉妹とかとも連絡とってないのかなあ。 良太はしばし思いをめぐらした。 「しかしほんと、うちの社員て訳アリ過ぎ」 「いやあ、人間誰しも、いろいろあらあな」 小笠原がやけに達観したようなことを言う。 「悟りの境地になってんなよ」 「これがならずしていら
月夜の猫-BL小説です 勝手にしやがれ!8 BL小説 軽く追い上げられて、体を繋がれてしまうと、あとはもう工藤にいいように泣かされる。 「……あんた、またタバコ、本数増えただろ」 煙草の苦さまで味わわされた腹いせに、そんな悪態をついてみるが、工藤の髪やシャツに染みついた煙草の匂いに、ふっと安堵する自分もい
月夜の猫-BL小説です 寒に入り6 BL小説 そういえばあの横柄スラッガーも、年末にかおりらと飲んだ時、披露宴に呼ばれたことがないから、是非呼んでくれなどとほざいていた。 まあ、俺に何でも相談室をやらせるくらいだから、本音が言い合えるような相手というのはやはりいないんだろう。 「お、何かさり気に、いいカ
月夜の猫-BL小説です 勝手にしやがれ!7 BL小説 俺なんか、工藤のあとを一生ついて行こうなんて思ってるけど、ほんとのところ、いつまで一緒に、傍にいられるんだろう。 その時、テーブルの上の携帯がワルキューレを奏で始めた。 「はいっ、お疲れ様です」 慌てて携帯を掴むと、良太は勢い込んで電話に出る。 「え
月夜の猫-BL小説です 寒に入り5 BL小説 「何度目かで、何とか、家から通うとか、門限厳守とか、学校は必ず行かせるとか、ルールをクリアするのであればって条件付きでOKもらってさ」 「女子高生だったんだもんな、わからないでもない」 小笠原はわかったふうに頷きながら焼き鳥を齧る。 「奈々ちゃんのマネジャー兼
月夜の猫-BL小説です 勝手にしやがれ!6 BL小説 「ってか、その沢村だ」 さっきから頭の中でぐるぐるしているのは、沢村の問題発言のことだ。 「佐々木さんっていったって、そんな名前どこにでもあるしな」 だが、最近沢村の周りにいる佐々木といえば、あの、クリエイターの佐々木周平しか思いあたらない。 佐々
月夜の猫-BL小説です 寒に入り4 BL小説 憑依型なんぞとどこで仕入れて来たのか、難しい言葉を使ったりしているが、小笠原の語彙力のなさは自分と変わらない。 「よっしゃ、俺もハムレットになりきろ!」 ガツガツと唐揚げを頬張る小笠原を見つめて、良太は大丈夫なのか、とちょっと心配したものの、小笠原も舞台は初め
月夜の猫-BL小説です 勝手にしやがれ!5 BL小説 「お前……」 良太は頭の中がこんがらがって、次の言葉が出てこない。 「いいから、行けって」 沢村はドアを開けた。 「お前こそ明日、ちゃんとトークショー行けよ?」 「わかってる」 「話はまた今度聞くから」 「いいって……」 「……よくない! また連絡する」
月夜の猫-BL小説です 寒に入り3 BL小説 七十代では今時まだ若いだろうその生きざまは、良太が以前ブツブツ呟いていたように魑魅魍魎が跋扈するような業界にあってはいっそ清々しいまでに実直だった。 「何でお前がおめおめと顔を出すんだよ」 通夜が終わり、残った数名が棺の前に座った時、早速文句をつけてきたのは、
月夜の猫-BL小説です 勝手にしやがれ!4 BL小説 「十月の終わりだ……あの人に会って、自分でもマジかって疑ったんだが、ひと目惚れってやつ? それから何とかあの人と再会にこぎつけて、何度か会って………あの人も絶対、俺のこと好きだって、そう……思い上がってたのかもな………」 沢村はじっと真剣な表情で聞いてい
月夜の猫-BL小説です 寒に入り2 BL小説 車の中でスニーカーを靴に履き替えながら、工藤は入社したての、尖った自分をにこやかに押さえてくれた大野の顔を思い出していた。 局内でも有能なプロデューサーとして知られ、工藤が退社する頃には取締役になっていた。 大らかで、特異な出自ということで工藤を蔑視するよ
月夜の猫-BL小説です 勝手にしやがれ!3 BL小説 ドアが開いて、バスローブ一枚で出てきた男を見ると、良太はムッとした顔で中に入った。 「……良太、会いたかった……」 背後から良太を抱きしめる沢村にますます良太は呆れた。 「おい、苦し…………離せってば! 酒臭………!」 ようやく沢村が腕を緩めると、転
月夜の猫-BL小説です 2025年あけましておめでとうございます BL小説 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。 今年はどうか、地球上の人々も動物も、みんなにとって良い年でありますように! 年末は忙しなく、xmas2024では、ぎりになってから、 「勝手にしやがれ!」を始めてしまいました。 xma
月夜の猫-BL小説です 寒に入り1 BL小説 五日くらいまでは晴れていい年明けだったのだが、六日の朝から寒波の襲来で東京は年末の大雪にもまして交通にも人の動きにも影響が出た。 雪が十センチも積もれば、東京では大雪なのだが、本来の大雪に見舞われている地域に住む人々からは、その程度で大雪などと言うのはおかしい
■寒に入り(工藤×良太45) boys love novel お正月 2025 以前のエピソードに少し手を加え
「月鏡28」「限りの月29(お前にだけ狂想曲5)」「嘉月30(お前にだけ狂想曲6)」の後、沢村と佐々木の「好き
月夜の猫-BL小説です 勝手にしやがれ!2 BL小説 それでもまあ、この年末良かったと思うようなことがないわけでもないから、帳消しとまではいかずともその時ばかりは気分は上昇する。 例えば幼馴染でリトルリーグの頃からバッテリーを組んできた肇と、高校の時、部のマネージャーだったかおりが最近つきあい始めたことだ
月夜の猫-BL小説です 勝手にしやがれ!1 BL小説 会社の慢性的な人手不足のせいもあるが、師走に入ってからの広瀬良太はとにかく忙しかった。 もちろん、忙しいのは自分だけではないのはわかっている。 社長の工藤などは、ワーカホリックも度を越えて東奔西走しているのだ。 それはわかっているが、忙しいうえにこ
月夜の猫-BL小説です 勝手にしやがれ!(工藤×良太24) BL小説 沢村と佐々木の「恋ってウソだろ!」とリンクします。 師走に入り、会社の慢性的な人手不足のせいもあり、良太はいつにもまして忙しい毎日を送っている。しかも次から次へと厄介ごとがやってくれば、良太もついぼやきたくもなる…
月夜の猫-BL小説です 月鏡66 ラスト BL小説 「次、『今ひとたびの』で行く予定です」 きっぱりと良太は告げた。 「行く予定て、こないだ、ドラマ終わったばっかやろが」 案の定と千雪は文句を言う。 「来年の話ですから、キャスティングはまだですけど。大澤さんらのスケジュールは一応おさえてあります」 千雪
月夜の猫-BL小説です 月鏡65 BL小説 「ひょっとしたらうちのタレントや社員、が対象ということもあるかもだが、主にこの良太だ。いつも四人でなくても、都合がつく者だけでいい」 「え、ちょ、工藤さん! 俺だって自分で何とかできますし、何かって、もう魔女オバサンは襲ってこないでしょう?」 工藤のまたしてもな提案
月夜の猫-BL小説です 月鏡64 BL小説 「けど、こないだの仕事ってより温泉旅行提供してもらったみたいなもんだったし、そう、ご活躍ってほどの仕事もしてないのに、あんな破格な報酬もらっていいのか?」 加藤が代表して言った。 工藤が提示した報酬額を、良太が加藤の口座にみんなの分をまとめて振込してあった。 「
月夜の猫-BL小説です 月鏡63 BL小説 孫が可愛いと思わなきゃ、気にかけたりしないよな。 逢うことがそうそうできないから、余計に工藤のことは気になっていたんだろう。 だからってなんで俺、なんだよ! 俺なんか、ただの部下なんだからな! 工藤と久々顔を合わせて食事をしているのに、と、良太はグチグチと
月夜の猫-BL小説です 月鏡62 BL小説 「お前が何か考え込んでいるとか、ロクなことはないからやめろ」 鰤の刺身や米茄子の田楽、里芋の煮物、鱚や椎茸の天ぷら、海老の餡かけなど、この店自慢の料理が出されているというのに、良太がもそもそしていると、工藤もいい気分で酒が飲めない。 「はあ………」 ペンダントは
月夜の猫-BL小説です 月鏡61 BL小説 なまじっか同時期に司法試験に受かったりしている工藤なので、小田に対する要求も面倒なのだと、小田が良太にぼやいていた。 その上、沢村にまで超面倒な案件で頼られて、いくら仕事とはいえ、確かに、額も後退するよな、などと良太は思わず自分の額に無意識に手をやった。 やが
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる27 ラスト BL小説 年が明けた。 あれから、とりあえず面倒な事件は起きてはいない。 だが―――――― 工藤は眉を顰める。 樹、『Tree』から『T』とその世界では呼ばれているという。 メールでも携帯でもなく、有線の電話を使い、連絡を取るのも年に数回、実際会っ
月夜の猫-BL小説です 月鏡60 BL小説 これらのことを踏まえ後日早速、芸能誌にわざわざ青山プロダクションのでっち上げだというでっち上げの記事を掲載させたことも含めて、沢村宗太郎が顧問弁護士の真岡を通じて興信所の大坪に沢村だけでなくアスカのことまで探らせ、その際に二人の部屋に忍び込み、盗撮させたことなどで
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる26 BL小説 工藤の爆弾………か。 確かにそうかもしれない。 波多野の言葉を心の中で反芻しながら良太はエレベーターでフロントに降りた。 確かに、波多野の言うとおり、軽率だったかもしれない。 俺が何かバカをやったら、みんな工藤に返っていくんだ。 あああ、結局俺
月夜の猫-BL小説です 月鏡59 BL小説 週刊『東京芸能』が妙な記事を載せているのを見つけたと、嘱託カメラマンの井上がオフィスに寄って良太に雑誌をつきつけたのは翌朝のことだった。 アスカと沢村の顔写真がデカデカと見開きに載り、関係者の話として暗に青山プロダクションとアスカが人気選手を利用したやらせ記事を
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる25 BL小説 海外からの客の接待が予定されているという部屋は、セミスイートで、ゆったりくつろげるスペースがあった。 「どうぞ、お座りください」 「いえ、結構です」 良太はドアのすぐ近くに立って、きっぱりと言った。 「どうしたんですか? 藤堂さんからプロジェクトの方は順
月夜の猫-BL小説です 月鏡58 BL小説 「あの時はまだわからないって言ったんだけど、さては坂口さんに何かたきつけられた?」 さすが宇都宮、勘がいい。 「はあ、あの、ぶっちゃけ、ドラマのオファーなんですけど」 良太はこの際だと、正直に言った。 青山プロダクションの小笠原とダブル主演で、医者と刑事がバデ
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる24 BL小説 「良太が工藤さんのこと信じてやらんかったら、どないすんね」 信じたい、良太もそれは思う。 だけど――― 「まあ、お前にはえらそうなこと言うけど、好きな人の前に立ったら、みんな不安になるもんや…心はわかれへんから」 「千雪さんが? いつもこれっぽっちも隙が
月夜の猫-BL小説です 月鏡57 BL小説 「なるほどね、パートナーはワンコか。でも一人で留守番とか可哀そうじゃない?」 「ワンコの方がニャンコより一緒に動けますよ。まあ仕事だとちょっとあれですけど、千雪さん、よく一緒に連れ歩いてます」 宇都宮の杞憂に、良太が答える。 「なるほど……」 「あ、そうよ、トシち
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる23 BL小説 千雪も工藤を思いやっているのはわかる。 工藤高広の名前がマル暴のリストから消えない限り、被害者となった時でさえ、工藤は痛くもない腹を探られることになる。 「笑ってもいいですよ。工藤の後つけたり。で、やっぱ工藤が千雪さんに会いにきたってことを思い知らされ
月夜の猫-BL小説です 月鏡56 BL小説 「はあ、ほんと、もう、勘弁って感じですよ」 良太は大きくため息をつく。 「あいつ、マジ、バカだよね。前っから浮ついてたし、あいつとの共演話も過去あったけど、みんな蹴ってた」 竹野も怒りをぶちまけた。 「それ、正解っすよ。うちも気を付けてたんですけど、なんか付き合
月夜の猫-BL小説です 氷花22 BL小説 「離せ! 出てけ! クソドアホ! エロ魔人!」 千雪の罵倒など歯牙にもかけず、京助の手は千雪の服を剥ぎ取った。 「でかい声で騒ぐと聞こえるぜ?」 うっと千雪は口を噤む。 「いっか、聞かしてやるか、お前の可愛い声」 思わず千雪は京助の頬に平手打ちをかます。
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる22 BL小説 「よかったですね、良太が一緒じゃなくて」 電話を切る間際、『T』は言った。 工藤を襲ってきた男のうち、バイクの二人は即死、車の数人も重症を負い、入院したと、『T』は工藤の問いに対して淡々と答えた。 わざとバイクを転倒させたとは工藤は聞かなかった。 だが
月夜の猫-BL小説です 月鏡55 BL小説 「やからお前、工藤さんの後継ぐんなら本、読み! 原作はカズオ・イシグロ、日本人でイギリスに帰化して、前にノーベル賞もろた作家おったやろ? 映画見るんでもええけど、ええ映画やで」 「はあ………そういえば、そんな人いたような………The Remains of the D
月夜の猫-BL小説です 氷花21 BL小説 「兄弟のスキンシップってとこ? あいつはいつも、横暴なだけで」 茶化して笑う紫紀を千雪は胡散臭げに見た。 「ほんまに、うちの中でもジャイアンなんか、お前は!」 今度は京助の背中に怒鳴りつけると、紫紀は大いにうけて笑い出した。 「よくわかってるねぇ、千雪くん! 全
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる21 BL小説 明確に狙われているとわかったのは、夜九時を過ぎ、工藤は第三京浜を横浜へと車を飛ばしていた。 おそらく、千雪を連れ去ろうとした連中だろう、追い越し車線に並んだ、バンパーもへこんだサンダーバードに半グレ風の若い男が数人乗っている。 運転している男はかなり運
月夜の猫-BL小説です 月鏡54 BL小説 「どうせ人生一回こっきりじゃない? この際、世間にどう言われようと、愛を貫き通すっってところがいいんじゃない」 白石は悟り切ったように言う。 「裏でヤバいことしててもかよ?」 「人間やってたらそんな人いくらもいるわよ! 断頭台に消えたマリーアントワネットだって、
月夜の猫-BL小説です 氷花20 BL小説 「そう、諦めの悪い叔父は多分、ライバル、と思ってたんだろう小林教授のことも調べたらしく、教授の書かれた本とか持ってて、この人なら夏緒さんを任せても仕方ないか、なんて負け惜しみ言ってたが、ちょうど京助が高校生の頃だよ、叔父がたまたま教授の本を持ってうちに遊びに来ていた
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる20 BL小説 常々、言葉遣いはいい方ではないが、今はとげを含んでいるような言い草だ。 真夜中の二時をとうに過ぎていたことに、工藤はようやく気がついた。 エレベーターのドアが開くと、小笠原も乗り込んでくる。 「まさか、あんた、良太まで食ってたとは思わなかったぜ。それと
月夜の猫-BL小説です 月鏡53 BL小説 「もともと父親が私にくれたロンドン土産だったんだけどね」 良太は驚いた。 多佳子の用というのがそんなこととは思いもよらなかった。 高価なものかどうかは別として、そんな大切なものを良太は手に取る勇気はなかった。 「待ってください、そんな大切なものを俺がもらうわけ
月夜の猫-BL小説です 氷花19 BL小説 「ああ、そうか、君の父上は、K大学の小林教授だったね。京助が心酔して一年ほど京都にいたんだっけ。じゃ、その時に知り合ったの?」 「いえ、京都にいた頃は全然顔を合わせたことはなかったので」 ふと紫紀が自分たちの関係を勘ぐっているような気がして、千雪はあからさまに怪
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる19 BL小説 工藤は苦笑しながら首を振ると、良太の頬に手を伸ばす。 「バカやろう………」 指で涙を拭い、ゆっくりと口づける。 優しく、愛しみながら、工藤は良太をしばらく黙って抱きしめていた。 やがて良太を離すと、「もう、部屋に戻れ」と、工藤は言い、階段を下りて行く。
月夜の猫-BL小説です 月鏡52 BL小説 「政治家も嫌いですよ、工藤さん、反社会的勢力と同様に」 「いちいち嫌味な子だね」 しれっと口にする良太を多佳子はまた睨み付けた。 「ご用件を早いとこ言ってくれませんか? 工藤さんが留守の間、会社の切り盛りしなくちゃならないんで、そろそろ帰りたいんですが」 全く、
月夜の猫-BL小説です 氷花18 BL小説 「連絡はついたんですが、あいにく札幌に出張中で、すぐには戻れないということでした」 藤原は答えた。 「そうか。あとは医者に任せるしかない。ああ見えて咲子さん、強い人だから、大丈夫だよ、きっと。赤ちゃんも。京助、ついてるんだろ? 俺らは腹ごしらえをしよう。藤原もいた
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる18 BL小説 いまさらだよな。 俺の心がズダボロになろうが、今日は今日だし、明日もくるってことだ。 良太は諦めの境地で一つため息をつくと、今度は工藤と言い争っていた千雪の言葉が気にかかる。 ボディガードとか何とか、千雪さん、言っていたような……。 工藤のやつ、何
月夜の猫-BL小説です 月鏡51 BL小説 劇愛という言葉も多佳子の口から聞けば頷けるかも知れない。 「父母には親不孝をしたこともわかっちゃいるけど、どうしようもなかった。でもね、やっぱり息子はともかく娘はうちの業界には置いておけないと思ってね、手離したのよ。父母は可愛がって育ててくれたのにね」 身の上話
月夜の猫-BL小説です 氷花17 BL小説 すると、どう見ても湯上りらしい、スエットの上下にタオルを首に巻いた長身の男が、キッチンの入り口で驚いた顔で千雪をじっと見つめている。 京助が髪を黒く染めて立っているのかと一瞬在り得ない想像をした千雪だが、よく見ると印象がかなり柔らかいし、雰囲気も違う。 「咲子さん
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる17 BL小説 その時、千雪が良太に気づいた。 「良太……違うで、誤解すんな」 千雪の声が追いかけるが、良太はオフィスを逃げ出していた。 雪まじりの雨の中をせかせかとただひたすら歩いていた。 千雪には京助がいるからと思って忘れていた。 工藤は千雪を愛しているのだ、
月夜の猫-BL小説です 月鏡50 BL小説 当の良太は、フロントで受け取ったFAXの意味が分からず何だろうと見ていた時、左右に男が立ち、右に立った男に「声を出すな」と耳打ちされた。 二人に両腕を取られた良太は喚くわけにもいかず、黙って男たちに従った。 ほんとに現れやがったのかよ!? 自問しつつ、エント
月夜の猫-BL小説です 氷花16 BL小説 キッチンの床が真っ赤に染まっているのをチラリと見てしまった千雪は、一瞬青くなり、しばし呆然と咲子を運んでいく二人を見送った。 「大丈夫ですか? 咲子さん」 やがて戻ってきた藤原に、千雪は尋ねた。 「はい、公一と京助さんが今病院へ向かいました。何でも早期剥離の可
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる16 BL小説 谷川は良太よりあとに入社したとはいえ中途入社みたいなものだし、タレントは問題外だから、良太さん、なんて呼んでくれるのは真中の他にはいそうにない。 「あんなの、藤堂さんも考えていたことだ。俺の口から言わせて、クライアントをさりげなく納得させてるんだろ」 そ
月夜の猫-BL小説です 月鏡49 BL小説 京助は駐車場からまだ上がって来ておらず、檜山と千雪はエレベーターが降りてくるのを待っていた。 数人の客がバラバラとフロントに向かい、千雪は何気なく良太を見、またエレベーターの方を見てから、再びフロントに目をやった。 その時、フロントでFAXを受け取っていたは
月夜の猫-BL小説です 氷花15 BL小説 スキーと聞いてロマンチックな展開を期待してわんさか京助についてきた女の子たちも、ロマンチックどころか、ゲレンデで徹底的に京助に扱かれ、次にはスキーに誘っても敬遠されることになるのだ、という話も公一から聞かされていた。 「意外も何も、もともと中身は硬派なんだから、華
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる15 BL小説 工藤の命により小笠原のCF撮影に立ち会うことになった良太は、翌朝撮影が行われるスタジオに向かった。 広告代理店プラグインの藤堂を通じて紹介された男は波多野と名乗った。 今回のCMは、顧客や社会のニーズを基に、企業の業務プロセスや製品、ビジネスモデル、企
月夜の猫-BL小説です 月鏡48 BL小説 すると京助も言った。 「俺も送って行く」 「すみません……匠、大丈夫かな」 振り返ると、匠がほてほてとおぼつかない足取りでやってきた。 「俺も部屋戻る………」 「大丈夫?」 「……ん、もう眠い………」 良太と檜山は辻と京助に送られて部屋に戻った。 「じゃあ、お
月夜の猫-BL小説です 氷花14 BL小説 美しい山々の連なり。 雪をかぶった街並み。 寒ささえ透明なたたずまい。 そんな自然の中に浸るだけで十二分に千雪は感動的だったのだが。 「後ろに体重かけ過ぎだ!」 青空の下のパウダースノー。 「もっと力抜け!」 リフトに乗って眺めるのは絶景で。 「脚伸ばしな
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■「Hiver2025」では 静かな夜には(工藤×良太11)更新中です。 近々、「いつだってこれだよ」(河崎×
月夜の猫-BL小説です 静かな夜には12 BL小説 翌朝は、かろうじて雪も小降りになり、中標津町を出た一行は、一路道西へと向かった。 昼にはニセコに着いた一行は、一旦宿となる『ホテルニセコ』に荷物を預け、その足で撮影に出向く。 だが、それも、風蓮湖の時とは打って変わって、楽しげに辺りに生息する野生動物を
月夜の猫-BL小説です 寒に入り29 BL小説 子供の頃は、差別的な言葉でからかわれたとも言っていたが、本人の陽気な性格や笑うと目がなくなり、厚めの唇がにっと笑うとカワイイ! とSNSでのお茶目なショットやオフシーズンには芸人顔負けのしゃべりでバラエティなどに出たりしているせいで、中高女子から大人女子まで、
月夜の猫-BL小説です 静かな夜には11 BL小説 「明日はニセコだ。撮影予定は一日だけだから、あとは羽伸ばしていいぞ、みんな」 ワンボックスカーの中で、下柳が言うなり、おおおーーーっとみんなの口から雄たけびが上がる。 「せっかくだから、良太ちゃんも、スキーでもスノボでもやりまくっていけばいい」 「え、はあ」
月夜の猫-BL小説です 寒に入り28 BL小説 そんなことを考えている良太もまた、翌日は忙しかった。 携わっているスポーツ番組『パワスポ』の特集で、レッドスターズの新鋭、八木沼大輔を取り上げることになり、午前中はMホテルでその取材が入っていた。 慰労会二日目は、エステや観劇、買い物など手配だけしてそれぞ
月夜の猫-BL小説です 静かな夜には10 BL小説 「はい、俺の方はヤギさんいるし。俺、初めてヤギさんの本領見た気がします。何か迫力違うし、すごいですね」 工藤は笑った。 「ああ、そっちは寒いだろう?」 「ええ、すっげー寒いんですけど、最高気温もマイナスだし、でも、これが本物の自然かって感じで、白鳥とか大
月夜の猫-BL小説です 寒に入り27 BL小説 「前に良太に送ってくださったブランデーケーキ、頂いたんですけどすんごく美味しかったです!」 「あら、嬉しいわ。また焼いて送りますね」 口を挟んだアスカにも百合子はにこにこと笑顔を向ける。 「ケーキと言えば杉田さんもプロ並み。何せ、うちの社長の子どもの頃からケーキ
月夜の猫-BL小説です 静かな夜には9 BL小説 白鳥が声高に鳴いた。 大きく羽を広げ、羽音さえ、空気を伝わって耳に残る。 空に一点の曇りが宿った、と思いきや、舞い降りたのは大鷲だ。 風蓮湖。 海水が混ざる汽水湖だという。 今でも手つかずの自然が残り、約三百種の野鳥が去来する。 良太は、下柳たち
月夜の猫-BL小説です 寒に入り26 BL小説 しらっちゃけた会にならないようにと気を配った良太の考えより遥かに賑やかなものとなったのは、主に女性陣のお陰だ。 というより、女性陣はほぼ明るくておしゃべりで賑やかで美味しい物が好きな人が集まった感じで、あっという間にあちこちで笑い声が上がっている。 杉田さ
月夜の猫-BL小説です 静かな夜には8 BL小説 「良太、俺のことなんか、かまってらんないみたいだし」 「すねたような言い方すんな。俺には俺の仕事があんの。ほら、着いたぞ」 小笠原が自分に懐いてくれるのはいいのだが、実際問題として、良太が小笠原のマネージメントを全面的に引き受けるとすれば、今の仕事を全てほっぽ
月夜の猫-BL小説です 寒に入り25 BL小説 ドアが閉まるなり、工藤は良太の腕を引くとその後ろ頭を持ち上げるようにして唇を重ねてくる。 執拗でエロいキスに酸欠になりそうで喘ぎながら工藤のコートを掴む良太だが、そのうち夢中にさせられて身体から力がふっと抜けていく。 唇が離れると、良太は思い切り息を吸い
月夜の猫-BL小説です 静かな夜には7 BL小説 日本では午後五時を回ったところだから、ニューヨークは真夜中の三時頃のはずだ。 「あ、はい、明後日から根室のヤギさんに合流します。はあ、そうですか。わかりました。極力本人にも自覚させますから。はい、気をつけて。おやすみなさい」 携帯を切ると、そこはかとない寂
月夜の猫-BL小説です 寒に入り24 BL小説 最近は生意気に俺に指図なんかしやがって。 工藤の宴会嫌いとか、年齢が上の女性にはあまり強く出られないところなどを良太は把握して、うまく立ち回っている。 竹野に関しては他の共演者とうまくやって行けるかどうかが問題だとは思っていたが、誰かが上から目線でそんなこ
月夜の猫-BL小説です 静かな夜には6 BL小説 「だから、言っただろ? お前、結構イイセンいってたから、覚えてるやつが多いんだよ」 後部座席の小笠原が、シートの間から身を乗り出さんばかりに断言する。 「何がイイセンなもんか。とにかく、俺は今、お前のマネージャーなんだから」 「ちぇ、頑固なんだからよ、見か
月夜の猫-BL小説です 寒に入り23 BL小説 バタバタと動いていたので寒さもどこぞへ消えて汗だくになった良太は、七時まで十五分となったところでバスルームに飛び込んでシャワーを浴びた。 五分で出てくるとざっと髪にドライヤーを当て、セーターを被ってジーンズを履く。 時間がなくて手近にあったダッフルコートを
月夜の猫-BL小説です 静かな夜には5 BL小説 「…っせーんだよ」 良太はさっさとスタジオのドアを開けた。 「なんだよ」 小笠原は怪訝そうに良太を見た。 「工藤はヤクザなんかじゃねー!」 「へ?」 「今度、ふざけたことをぬかしたら、ただじゃおかねーからな」 ぽかんと口を開けたまま、しばし突っ立っていた
月夜の猫-BL小説です 寒に入り22 BL小説 お土産などもいっそ宅配してしまうのがいいかも知れない。 「そういえば、奈々ちゃんとこご両親が参加されるってことです」 「ほう?」 奈々と言えば良太にとっては曰くありありで、何しろ、奈々が親に黙って映画のオーディションを受けたことがわかって、良太は当初、激怒し
月夜の猫-BL小説です 静かな夜には4 BL小説 ニューヨークで初舞台を踏む志村嘉人に、小杉と工藤も同行して現地にいる。 世界で既にその名を知らしめている演出家筒井明彦演出の『ハムレット』の舞台出演だ。 過去のシェークスピア劇にとらわれない、斬新な演出が話題になっている。 その筒井と組んでプロデュース
月夜の猫-BL小説です 寒に入り21 BL小説 「みんなの希望日時をまとめると来週末ってことでAホテルは確保しました。二泊三日で、アスカさん、志村さんは撮影で一泊になりますが、親睦会は社員は全員OKです。ご家族の方がまだお返事保留の方がいますけど」 「そうか」 「一応、宴会場を借りて食事はホテルのメインレスト
月夜の猫-BL小説です 静かな夜には3 BL小説 二月も終わりに差し掛かり、たまに春めいた風が流れる日はあるものの、まだまだ身震いするような寒さが日本列島上空に居座っている。 「何やってんだよ! 五時にはきっかりスタジオに行かなくちゃなんないんだぞ」 広瀬良太は、ぐずぐずとまだコーヒーなんかを飲もうとして
back next top Novels 「ったりまえだろ、ファンイベントってから。行くのか?」 稔が
back next top Novels 良太はこのまま中にいるという坂本を乗せたまま車を駐車場に置い
back next top Novels 「そこは一応、なんとなーく第二弾の話を宇都宮にも匂わせてあるし
月夜の猫-BL小説です 誰にもやらない10 BL小説 「お嬢様たちにぜひ味をみていただきたいとっときのワインがあるんだ」 わっと歓声が上がる。 女の子たちはすっかり藤堂の巧みな話術に手玉に取られている。 さやかは、大沢や土橋らの、さり気なく気を引いている。 「コースケくんもね。ほら、積もる話もあることだし?」
back next top Novels 「少なくとも兄と俺は仲たがいなんかしてないし、父親は嫌いだけど
back next top Novels 「はあ、車のほうがいろいろ動いてもらえるからって、千雪さんが」
back next top Novels それはこっちの科白だ。 そんな話を聞きたくなくて、天国から
back next top Novels ACT 10
月夜の猫-BL小説です 月澄む空に2 BL小説 良太がプロデューサーとして名を連ね、土曜日の夕方放映されているドキュメンタリー番組『和をつなぐ』は地味に好評を得ており、仙台では俳人新田公博の取材を行うことになっている。 新田公博は四十五歳、仙台に住むその世界では若手になろう芭蕉を研究する俳人である。 もとも
back next top Novels 「しゃべらないとまともなんだよな、あいつ」 隣でカットを見て
back next top Novels act 3 &nbs
back next top Novels 「いや、まあ、そんなわけで、俺はやりたい放題させてもろてる。せ
月澄む空に(工藤×良太36)新規更新しました。 霞に月の、の後エピソードです。 季節が秋ですが、どうぞまたお付
next top Novels 八月が終わっても暑さはなかなか去らなかったが、夜ごと欠けていく月は煌々と
back next top Novels 「失礼ですけど、モデルさんとかじゃございませんの?」 女性は
back next top Novels 「あんたは、この部屋に似合いの、リッチでセレブできれいな女を相
「霞に月の」の後、「何となくクリスマス」の前になります。 相変わらず互いに忙しい日々を送る工藤と良太だが、大御
back next top Novels リフトで頂上まで登ると、「ちょっと休憩な」と、佐々木は積って
back next top Novels 楽しい遊びにどれだけ夢中になっていても腹は減るらしく、昼のレ
back next top Novels フィレンツェを二度目に訪れた時は友香と一緒だった。 もとも