『そんなときは書店にどうぞ』は、書店や出版社の人々との交流を描いたエッセイ。映画『夜明けのすべて』の舞台裏や書店とのやりとりが赤裸々に、そしてユニークに綴られています。個性豊かな書店(と出版社)の人々読み始めはちょっと不安でした。だって結構...
『そんなときは書店にどうぞ』は、書店や出版社の人々との交流を描いたエッセイ。映画『夜明けのすべて』の舞台裏や書店とのやりとりが赤裸々に、そしてユニークに綴られています。個性豊かな書店(と出版社)の人々読み始めはちょっと不安でした。だって結構...
『幸福な食卓』はとある家族のお話。この家族は普通じゃないかもしれない。でも、家族のかたちはそれぞれ。心が通じ合っていることこそが大事。『幸福な食卓』あらすじある日の朝食のとき、父さんが「父さんは今日で父さんを辞めようと思う」と、言い出した。...
本屋大賞を受賞した瀬尾まいこさんの『そして、バトンは渡された』。多様性が叫ばれる今だからこそ、受け入れられた物語だと思います。「普通」や「幸せ」は、ひとりひとり違うものだから。『そして、バトンは渡された』あらすじ何人もの親の間を、バトンを渡...
『龍女の嫁入り 張家楼怪異譚』は中国・唐時代を舞台にした怪異譚。幽霊を引き寄せてしまう青年と、彼に嫁いだ龍王の孫娘。この若夫婦が幽霊や妖怪の騒動に巻き込まれていきます。『後宮の烏』シリーズの白川紺子さん初の単行本です。『龍女の嫁入り 張家楼...
浮世絵ファッションを現代のイラストで再現『お江戸ファッション図鑑』
『お江戸ファッション図鑑』は、町娘から花魁、庶民から大名まで。浮世絵に描かれた幅広い身分のファッション、髪型を紹介したイラスト本。イラストも美麗だし、年代別に髪型やファッションを紹介しています。これがめちゃくちゃわかりやすい!この本を読んで...
『面白すぎて誰かに話したくなる 蔦屋重三郎』は、彼の生涯や写楽のプロデュース、当時の政治や経済を踏まえて時代の寵児・蔦屋重三郎を語る一冊。大河ドラマ『べらぼう』の副読本としてもおすすめです。蔦屋重三郎の生涯蔦屋重三郎(蔦重)は、吉原育ち。吉...
『写楽 閉じた国の幻』は、写楽の正体に迫ったミステリ小説です。果たしてこれはミステリなのか、それとも学術的な研究なのか。途中でわからなくなってきます。それくらい設定がリアル。もしかしたら、こんな「写楽」の可能性もあるのじゃないか…と。『写楽...
M-1、漫才の解説書『答え合わせ』石田明(NON STYLE)
『答え合わせ』は、漫才師・NON STYLE石田明さんによるM-1、漫才の解説書。これを見ればM-1がより面白くなると思います。石田さんは一部で「教授」と呼ばれるほどM-1、漫才の解説に定評のある方。実は私、今でも一番好きな芸人はNON S...
カリスマ女性作家の、知的ガチトークバトル『古典夜話:けり子とかも子の対談集』白洲正子、円地文子
『古典夜話: けり子とかも子の対談集』は、名随筆家であり、骨董収集家で目利きの白洲正子、古典文学に造形の深い小説家・円地文子。この博識な女流文学者2人が語る古典・芸術よもやま話です。対談ではおふたりとも何気なく話しているようですが、内容はか...
『東京 わざわざ行きたい 街の本屋さん』は、本好きにとっては旅行案内であり、宝探しの地図のような本。本好きのみなさん、ぜひこの本を片手に本屋目的で旅や散策を楽しんでみてください。西荻窪から始まる何がすごいってこの本、最初の街が西荻窪なんです...
俳優・小林聡美さんのエッセイ『茶柱の立つところ』。日々の出来事がコミカルに描かれています。今回、久しぶりに読んだけれど、肩肘張らない感じがとてもいい。肩肘張らないエッセイ若い頃やマダム時代も、日常をコミカルに描いていた小林聡美さんのエッセイ...
神楽坂にあるブックカフェ、かもめブックス。かもめブックスは、校正会社・鴎来堂さんの経営するブックカフェ。そのためほかのブックカフェとはまた一味ちがったセレクトの本が楽しめます。かもめブックスちなみに、買った本はこちら「本を読む人のための書体...
森薫さんの中央アジア漫画『乙嫁語り7』では、女性同士の結婚制度「姉妹婚」が紹介されていました。19世紀には廃れてしまった風習らしいのですが、その元ネタとなるのがこの『ペルシア民俗誌』という本です。中東の姉妹婚・ハーハル・ハーンデ『ペルシア民...
『団地のふたり』は50代の幼なじみ二人の団地スローライフを描いた作品。2024年にNHKでドラマ化されました。『団地のふたり』あらすじ奈津子と野枝(ノエチ)は団地で育った保育園の頃からの幼なじみ。昔はそれなりに活躍していたけれど、今は実家の...
国分寺にある胡桃堂喫茶店。「本屋さんがカフェを始める」ではなく、「カフェが本屋(と出版)を始める」という独特なスタイル。美味しい料理とスイーツ、そしてコーヒーと共に本が楽しめる安らぎの空間です。胡桃堂喫茶店胡桃堂喫茶店は黒い外観の二階建ての...
『99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方』竹内 薫
『99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方』は、「科学は決して万能ではない。」その事実をわかりやすく解説してくれる科学リテラシー本です。科学は決して万能ではない科学は本来哲学だった。何か「問い」があり、それらを解明するために科学と...
『リカバリー・カバヒコ』を読むと、文字通り心がリカバリーされる。少しの勇気と希望と温かさを感じられる、愛おしい物語。『リカバリー・カバヒコ』あらすじ日の出公園にあるカバのアニマルライド。塗装はハゲ欠けているこのカバには不思議な言い伝えがある...
『秘密の花園』ノートは、作家・梨木香歩さんによる『秘密の花園』の解説本。堅苦しい解説ではなく、梨木香歩さんの感想や解説を交えた文章は本当に「ノートのように」物語の見どころ(読みどころ?)がやさしく、わかりやすく書かれています。『秘密の花園』...
『ほろよい読書 おかわり』青山美智子,朱野帰子, 一穂ミチ,奥田亜希子,西條奈加
お酒がテーマのアンソロジー第二弾『ほろよい読書 おかわり』。お酒が飲めても、飲めなくても、ほろよい気分が味わえる名作揃いです。『きのこルクテル』青山美智子ライターの永瀬は酒が飲めない。しかし、取材で訪れたバーでバーテンダーの女性に一目惚れし...
ビストロ・パ・マルシリーズ4『間の悪いスフレ』では、コロナ禍でのフレンチレストランの苦悩や若い人へのエールが印象的でした。『間の悪いスフレ』あらすじ小さなフレンチレストラン、ビストロ・パ・マル。ここでは客たちの悩みや謎を、シェフが料理で解決...
『マカロンはマカロン 』ミステリーというには、あまりにもやさしく、温かい物語の数々。どの物語もテーマとなる料理があり、そのどれもが美味しそう。装丁もフランス料理のメニュー風に、フランス語と日本語で書かれています。以下、気になったものの感想を...
ビストロ・パ・マルシリーズ2『ヴァン・ショーをあなたに』近藤 史絵
『ヴァン・ショーをあなたに』は下町の小さなビストロ・パ・マルを舞台にした料理ミステリ。ヴァン・ショーとは、ホットワインのこと。三舟シェフがワケありのお客にふるまう、香り高い飲み物です。今回は語り部であるギャルソン高築くんの視点を離れた物語が...
ビストロ・パ・マルシリーズ1『タルト・タタンの夢』近藤 史絵
『タルト・タタンの夢』を読むと、フランス料理が食べたくなる。おいしくて楽しい料理ミステリです。下町の小さなビストロ、「パ・マル」。シェフの三舟さんは長髪を後ろに束ね、ひげを蓄えた風貌はサムライを思わせます。(私は笑い飯の西田さんを想像しまし...
ブックサンタは、本好きな方におすすめのチャリティーです。NPO法人「ブックサンタ」が毎年クリスマスに行うチャリティーで、その活動は日本全国に広がっています。 本を子どもたちに本を贈るサンタになれるなんて、ステキな体験だと思います。 ブックサ
BAR追分シリーズの続編『情熱のナポリタン―BAR追分』。新宿三丁目にある「ねこみち横丁商店街」。 その路地の一番奥にあるのが「BAR追分」。昼間は、ご飯の「バール」夜は本格的な「バー」。 ふたつの顔をもつBAR追分に集まる、人々の物語。
『オムライス日和 BAR追分』は新宿三丁目の奥にある「ねこみち横丁商店街」、その路地の一番奥にあるのが「BAR追分」が舞台の物語。 昼間は美味しいご飯の「バール」、夜は本格的な「バー」。ふたつの顔をもつBAR追分に集まる、人々の物語。 猫の
『きみのお金は誰のため ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」』田内 学
お金とは何か。『きみのお金は誰のため』ではこの難しい問題を、身近な例を交えてわかりやすく解説してくれています。 登場人物に関する謎解き要素もあり、楽しみながらお金について学べる本です。 『きみのお金は誰のため ボスが教えてくれた「お金の謎」
BAR追分は、お酒のように、読者を心地よく酔わせてくれる物語です。 『BAR追分』あらすじ 新宿三丁目の交差点付近、昔は追分と呼ばれた場所の裏路地は「ねこみち横丁」と呼ばれている。 種々雑多な店がひしめいくねこみち横丁のどん詰まりには「BA
お酒がテーマのアンソロジー『ほろよい読書』織守きょうや, 坂井希久子, 額賀澪, 原田ひ香, 柚木麻子
『ほろよい読書』では、日本酒や果実酒、お酒の入ったお菓子まで。さまざまなお酒のスタイルが飲む人の人生を彩ります。 お酒を片手に、読みたくなる本です。 『ショコラと秘密は彼女に香る』織守きょうや 仲里ひなきは伯母に内緒で彼女の想い人の家を尋ね
『眠る盃』は、向田邦子さんが各種雑誌に寄稿されたエッセイ集ですが、すごいんですよこれが。 まず掲載雑誌が多種多様。名エッセイ『父の詫び状』を発表した『銀座百点』。文学雑誌から『anan」、『ジュノン』などの若い女性向けの雑誌、『マダム』から
先日、Threadsのフォロワーが100人になりましたので、記念に100にちなんだお話をご紹介します。 中島京子さんの『夢見る帝国図書館』の中で、登場人物が幼い頃読んだ本を大人になって探すエピソードありました。 そういえば、わたしにもあった
『こぽこぽ、珈琲』は、珈琲をテーマにした随筆、エッセイを集めたアンソロジー。ひとくちに「珈琲」といっても、作家によって表現はさまざま。 喫茶店の珈琲が好きな方、珈琲を入れる器具にこだわる方、お気に入りの喫茶店の紹介、コーヒーを飲みながらの会
『空とぶカバとなぞのパリポリ男』は、今から40年以上前の児童書。羽の生えたカバと出会った少女が謎のパリポリ男からカバたちを守るお話です。 まぼろしの本 子供の頃に読んでからずっと気になっていたのです。でも、再販はされていないし、もうタイトル
『お帰り キネマの神様』は、原田マハさんの小説『キネマの神様』の続編ではありません。 山田洋次監督によって映画化された内容を新たに小説化したものです。 大きな変更、見事な変更 何を言っているかわからねえと思うが、私も何言っているかわからねえ
映画を愛する人々に起きた、キネマの神様からの奇跡『キネマの神様』。 『キネマの神様』あらすじ 円山歩は、都市開発会社でシネコン開発担当者だった。しかし社内のトラブルに巻き込まれプロジェクト半ばで退社に追い込まれる。 同じ頃、父親ゴウが心臓発
『図書館のお夜食』は、書店員や司書など、年齢も経歴も違うスタッフたちが、自分と仕事について向き合っていく物語です。 作中、本の中に登場する料理が「まかない」として提供されます。それが本当に美味しそうで…! もしもこんな図書館があったら、ぜひ
東京都立多摩図書館は、雑誌に特化した図書館です。収蔵雑誌の種類は19,000誌。100万冊以上ものストックを誇ります。 館内にはマニアックな雑誌がたくさんあり、眺めているだけでも楽しいです。 都立多摩図書館の利用法 ここでは普通の図書館と異
ガリレオシリーズ『透明な螺旋』。湯川先生の出生の秘密が明かされます。 以前、「ガリレオ」のドラマで湯川先生が両親のことを語るシーンがありました。そういえば、湯川先生の両親てどんな人なんだろう…? 『透明な螺旋』あらすじ 昭和40年代、若い女
三越アンソロジー『時ひらく』辻村 深月, 伊坂 幸太郎, 阿川 佐和子, 恩田 陸, 柚木 麻子, 東野 圭吾
三越百貨店をモチーフにしたアンソロジー短編。表紙の装丁も三越の包装紙「華ひらく」がデザインされています。 「思い出エレベーター」辻村深月 迷子の男の子が三越を巡るうちに、かつての両親や伯母、そして大好きだったおじいちゃんと少年の姿を見つける
人気作家による猫小説アンソロジー『猫はわかっている』。ミステリ、社会問題、ドタバタエッセイ風など、作家ごとに猫との関係性が違っていて興味深い作品ばかりです。 世界を取り戻す 村山由佳 仕事に家庭に忙しい女性編集者が、取材先の動物病院で瀕死の
文字のしおりとは、正文社印刷所という会社が考案した、読んで字のごとく文字の(切り抜かれた)栞です。 Threadsのフォロワーさんにご紹介いただいてからというもの、自分でも購入し、正文社印刷所のSNSをフォローするなど、文字のしおりにハマっ
『追想五断章』は五つの小説を探すミステリ。『氷菓』のアニメを見て以来、ずっと読みたかった米澤穂信作品です。 『追想五断章』あらすじ 伯父が営む古書店に居候する菅生芳光は、北里可南子という女性から「父親の書いた五編の短編小説を探してほしい」と
後宮の烏スピンオフ『海神の娘 黄金の花嫁と滅びの曲』白川紺子
後宮の烏スピンオフ第二弾『海神の娘 黄金の花嫁と滅びの曲』は前作『海神の娘』より前の時代のお話。 戦争が絶えない沙文と沙来。それぞれの国の領主とその妻である海神の娘、彼らを支える人々を中心に描かれます。 『海神の娘 黄金の花嫁と滅びの曲』あ
『銀河英雄伝説』の田中芳樹先生の『ラインの虜囚』。ナポレオン没後のフランスを舞台に、ひとりの少女と、彼女を助ける3人のおじさんたちの冒険譚。 冒険と活劇、そして謎解きが加わり、子どものようにワクワクしながら読みました。 『ラインの虜囚』あら
『うろんな客』は、大人向けのブラックユーモアに溢れた絵本。そして、柴田元幸さんの翻訳センスがすばらしい。 BSの読書番組『あの本、読みました?』で紹介され、読んでみました。怖いような、それでいて面白いよう、不思議な物語でした。 「うろん」と
翻訳家・鴻巣友季子さんの『明治大正 翻訳ワンダーランド』は、明治・大正時代の翻訳者の功績について書かれた本。 昔の翻訳家は、未知の欧米の風習や文化の描写を創意工夫・悪戦苦闘の末、翻訳していたのです。 悲劇がハッピーエンドに?明治のトンデモ翻
昔の翻訳本には、古い日本語が詰まっています。 それが、今読み返すとヘンテコな表現になっていて面白いのです。 『続あしながおじさん』のスコットランド風焼き菓子 1961年版『続あしながおじさん』では、孤児院の院長を務める主人公サリーが、マック
『宙わたる教室』は定時制高校の科学部が火星のクレーターの再現に挑む青春科学小説。 読んだあと、本を抱えて幸せな気持ちになれる物語です。そしていくつになっても、学ぶことは楽しい。 タイトルと単行本の装丁は、70年代のジュブナイルSFのような雰
O・ヘンリの短編『魔女のパン』と『善女のパン』。実はこの2つのタイトル、まったく逆の意味なのに、中身は同じ小説なんですよ。 なぜ同じなのかというと… 最近では『魔女のパン』が主流ですが、新潮文庫版では『善女のパン』と訳されています。 『魔女
『考古学者が発掘調査をしていたら、怖い目にあった話』大城道則 , 芝田幸一郎, 角道亮介
『考古学者が発掘調査をしていたら、怖い目にあった話』は、現地でのトラブルや心霊体験など、考古学者たちが実際に発掘現場で体験した「怖い」話が詰まっています。 まさか現実の考古学者たちも、インディ・ジョーンズのように危険な目にあっているとは…。
『古本食堂 新装開店』では、珊瑚さんには彼氏ができ、美希喜ちゃんも進む道が決まって順風満帆かと思いきや、さまざまな問題が二人を襲います。 『古本食堂 新装開店』あらすじ 新たにカフェスペースを設けることになった鷹島古書店。しかし、珊瑚さんと
そろそろ、学生のみなさんは読書感想文に追われているころかもしれません。 この時期のアクセスキーワードをみると、「読書感想文 コピペ」だの、「(本のタイトル) 読書感想文」など、よからぬキーワードが浮上します。 確かにふだん読書の習慣のない人
文庫解説とは、文庫の巻末に添えられた作者以外の人物によって書かれた解説。あまり意識していないけれど、そこには解説者による本への愛と深い理解が詰まっているのです。(そうじゃない時もあるけど) 解説を読む本、読まない本 以前、BSの読書番組「あ
『精霊の守り人』は、日本人が待ち望んだ母国語で書かれた異世界ファンタジーの傑作。 剣や魔法といった西洋ファンタジーとは違う、アジア風の異世界を舞台に、女用心棒が少年を守る物語です。 母国語で読める、私たちが読むべきファンタジーにようやく出会
『夢見る帝国図書館』は、上野国際こども図書館の前身、帝国図書館にまつわる物語。 現実と幻想、過去と現在が織り込まれた独特な世界観と、そこに関わる女性の人生が切なくて心を掴まれます。 『夢見る帝国図書館』あらすじ 主人公が風変わりな女性・喜和
美濃牛は古今東西のミステリへのオマージュとミノタウロス神話をモチーフに描かれた殺人事件。 作者は『ハサミ男』の殊能将之さん。斬新などんでん返しで驚かされました。 『美濃牛』では最初に犯人の名前が提示されているのに驚かされましたが、真相に至る
『虹果て村の秘密』は、ミステリ作家有栖川有栖さんによる子ども向けのミステリ。子ども向けといっても、名だたる推理作家が本気で書いたのですから、大人が読んでも十分におもしろいのです。 『虹果て村の秘密』あらすじ ミステリ作家になりたい秀介と、刑
『サンドの女 三人屋』は、商店街で三形態の店を営む三姉妹と、彼女らに関わる男たちの物語。前作『三人屋』から数年後のラプンツェル商店街が舞台です。 『サンドの女 三人屋』あらすじ ラプンツェル商店街の三人屋は、朝(モーニング)、昼(うどん)、
『沈黙の王』は最初の漢字を創造した殷(商)の名君・高宗武丁の冒険譚。 「古代中国歴史小説」と聞くと堅苦しい印象がありますが、『沈黙の王』は戦あり・魔法(呪術)ありの冒険ファンタジー小説として充分読めるストーリーです。 『沈黙の王』あらすじ
『ハサミ男』はシリアルキラーが模倣犯を探すミステリ。二重三重に隠されたものが一気に溢れ出した時、驚きの真相が明らかになります。 ネタバレなしの感想 まず最初に思ったのは「どこから…?」です。ラストのどんでん返し的な展開はいったいどこから仕組
『JK、インドで常識ぶっ壊される』のJK視点で語るインド体験は、インドが苦手な私でも夢中になる新鮮な魅力がありました。 インクレディブル・インド 『JK、インドで常識ぶっ壊される』を読んでいると「え??」「うそでしょ?」と思わず声が出てしま
『海神の娘』は『後宮の烏』のスピンオフ作品。『後宮の烏』の世界の南方、島国、花勒・花陀・雨果・沙文の国主と海神の娘との婚姻譚。 『後宮の烏』に登場した国々の話が読みたかった私にとって待望の物語です! 『海神の娘』あらすじ 『海神の娘』は海神
タイトルに「うらめし」とあるので怖い話かと思いきや、悲しくて切なく、ロマンティシズムに溢れた作品でした。 切なく多彩な怪談集 『あやし うらめし あな かなし』には、様々な幽霊が出てきます。 心中の末、苦しんで死んだ女郎の苦しみ(『赤い絆』
『古本食堂』、といっても、食堂ではありません。神保町の古書店に集まる人々の悲喜こもごもと、美味しいごはんのお話です。 『古本食堂』あらすじ 珊瑚は急死した兄・滋郎の古書店を受け継ぐため、北海道から上京して店を再開することにした。 もう一人の
人気ドラマ「相棒」の脚本家・太田愛さんの本格クライムミステリ『幻夏』。読み終わって、なんとも言えない気持ちになりました。 ある家族を襲った冤罪事件。それに連鎖するようにどんどんと悪い方向へ転げ落ちていく。 そして、その家族を不幸へ陥れたのは
『花菱夫妻の退魔帖 四』では鈴子に近づく謎の老婦人、養い親を殺した犯人の手がかり、そして謎の宗教…。夫妻の周囲がにわかに剣呑になってきました。 『花菱夫妻の退魔帖 四』あらすじ 淡路島から戻ってからも、花菱夫妻のもとには「お祓い」の依頼が舞
『東京ロンダリング』、面白いテーマの小説でした。 過去に賃貸物件で事件が起こった場合、客に提示する義務がありますが、しかしその後、一度でも人が住んでしまえば、伝える必要がなくなる。 そのため、「ワケあり物件に住む仕事(ロンダリング)」がある
『花菱夫妻の退魔帖 三』では、花菱家の故郷・淡路島へ。そこで鈴子は怨霊「明石の君」についての手がかりを探します。 『花菱夫妻の退魔帖 三』 儀礼のため淡路島を訪れた花菱夫妻。鈴子たちは家に就く怨霊「明石の君」を祓うため、孝冬の親族に協力を仰
日常と非日常が入り交じる、南国への逃避行『エルニーニョ』中島 京子
『エルニーニョ』はDV彼氏から逃げる女性が、不思議な少年と出会い旅をする物語。直木賞を受賞した中島京子さんの『小さいおうち』後、初の書き下ろし小説です。 日常と非日常が入り交じる描写が魅力的です。 「エルニーニョ」あらすじ 恋人ニシムラのD
『四十九日のレシピ』の伊吹有喜さんのデビュー作『風待ちのひと』読了。読み終わった時、疲れた心がちょっと癒やされました。 『風待ちのひと』あらすじ 妻の不倫や母の死で精神的にダメージを受けた須賀。彼は、海沿いの町・美鷲に亡き母が残した家の整理
『花菱夫妻の退魔帖二』では、鈴子や孝冬の家族の謎が深まったり、謎の宗教団体が絡んできたりと、気がかりなことばかり。 でも、花菱夫妻当人たちはとても睦まじいのが微笑ましい。孝冬さんの愛が少し重たそうですが…。 『花菱夫妻の退魔帖二』あらすじ
夏が来ると読みたくなる『マレー蘭印紀行』。詩人の金子光晴が昭和初期に旅した東南アジアの旅行記です。今でも旅行者たちの愛読書として読み継がれています。 『マレー蘭印紀行』とは 作者の金子光晴は当時、妻・三千代の不倫に悩まされていました。光晴は
『後宮の烏』の白井紺子さんが描く、大正ロマンと幽霊退治『花菱夫妻の退魔帖』。 霊が見える鈴子と、「お祓い」を行う孝冬、夫婦の幽霊退治と二人の出生にまつわる秘密が描かれます。ミステリ仕立てですが、着物の描写もすてきなので、着物好きな人にもぜひ
夏休みは都会のホテルで過ごす『桃源郷の短期滞在客』O・ヘンリ短編集
『桃源郷の短期滞在客』は夏休みに都会のホテルで過ごすお話。といっても現代の話ではありません。舞台は今から100年前のニューヨーク。 「最後の一葉」や「賢者のおくりもの」で有名なO・ヘンリの短編集の中の物語です。 『桃源郷の短期滞在客』あらす
『くらのかみ』は夏になると読み返したくなる本です。 名作『十二国記』『ゴーストハント』の作者・小野不由美さんが描く子供向けの、けれど本格的なホラーミステリ。 古い田舎の家、みんなと遊ぶ夏休みのワクワク感、夏が終わる切なさ。 そんな夏の描写と
『後宮の烏』から数十年後の霄国を舞台にした『鳥衣の華』。巫術師の少女・月季とその許嫁である零陵が、島に現れた幽鬼の謎に迫ります。 待ち望んでいた『後宮の烏』のサイドストーリーです。 『鳥衣の華』あらすじ 国家の危機と神々の闘いが集結し、数十
『後宮の烏7』はいよいよ最終巻。神々との戦いと人の戦い、そして烏妃という存在に終止符が打たれます。 『後宮の烏7』あらすじ 烏連娘娘の半身を探すため、界(ジェ)島に向かう寿雪。一方、沙那賣(さなめ)家の当主は寿雪を疎い、次男に命じて北方での
結界は破られたものの、前王朝の証である寿雪の白銀の髪がさらされ、寿雪の魂も行方不明に…。 『後宮の烏6』あらすじ 寿雪の変わりに烏(烏連娘娘)が現れて、これまでの経緯を語る。 寿雪の魂を戻すには、「血を分けた肉親」が必要とされ、冬官・千里の
『後宮の烏5』ではいよいよ物語が動き出します。 烏妃である寿雪の中にいる女神・烏連娘娘を開放するため、寿雪は敵対関係にある巫術師・白雷を引き込みます。一方、高峻は解放後の寿雪の安全を確保するため、それぞれ準備を始め…。 『後宮の烏5』 あら
『後宮の烏』は、これまで後宮の中での出来事でしたが、女神・烏連娘娘にまつわる謎が一部解明され、物語は少しずつ世界を広げていきます。そして、これまでのように寿雪が高峻や夜明宮の人々と過ごした、気軽なお茶の時間が少なくなりました。 それだけ、事
『後宮の烏3』から、この世界の地図と、烏妃たちの住む霄国の地図、登場人物の表記がつきました。 アニメ主題歌で女王蜂のアヴちゃんが「四角い海」と歌うように、この世界は平坦で、その両端に神々が住む島があります。 地名もまた独特で、別の国の発音を
前回は烏妃と、烏妃である寿雪、双方の正体が判明しました。しかし、烏妃と烏連娘娘にはさらなる秘密があるようです。 『後宮の烏 2』あらすじ 妃でありながら皇帝の妻ではない烏妃。彼女は女神・烏連娘娘を身に宿し、不思議な力を使うことができる。 実
2022年にアニメ化された『後宮の烏』。架空の世界を舞台にした中華ファンタジー。アニメが素晴らしかったので、原作も読んでみました。 『後宮の烏』あらすじ 後宮の奥・夜明宮に住む烏妃は、妃でありながら皇帝の夜伽をせず、不思議な術を使う特別な存
『墨のゆらめき』は書家とホテルマンの代書屋コンビが繰り広げる、奥深い言葉と書の世界。 オーディオブック・Audibleで発表後、単行本化されたオーディオファースト小説。 朗読は声優の櫻井孝宏さん。登場人物全員とナレーションまで一人で演じ分け
『リボルバー』はゴッホが自殺に使用したとされる銃、リボルバーを巡る物語。アートを知らなくても、ミステリとしても楽しめます。 『リボルバー』あらすじ ゴッホとゴーギャンの関係を研究する冴が働くオークション会社に、ある日謎の女性、サラからサビだ
原田マハさんのアート小説『楽園のカンヴァス』。アートに興味のある人はより面白く、興味のない人にもミステリのように楽しめる作品です。 『楽園のカンヴァス』はアンリ・ルソーの「夢」を題材にした物語です。ルソー研究者の主人公たちが、コレクターに招
前から読みたかった『バッタを倒しにアフリカへ』をようやく読了。面白かった! 『バッタを倒しにアフリカへ』では、博士の(バッタへの)異常な愛情と研究への情熱、そしてアフリカ・モーリタニアでの異文化体験。 それらを体験をわかりやすく、ギャグや流
わたしがグラシン紙(リュウサン紙)にハマったきっかけは古書でした。 半透明の紙につつまれた本を見ると「ああ、古書店に来たんだなあ。」とワクワクしたものです。 ある時、購入した古本にたまたまグラシン紙のブックカバーがかかっていました。さっそく
「文字のしおり」は文字通り、文字で作られた栞です。Threadsのフォロワーさんから教えていただきました。 私は常々ユニークで可愛らしくて、楽しい読書がより楽しくなる栞を探してましたが、「文字のしおり」はまさに私の探していた理想のしおりでし
『日と月の后 下』では、最愛の夫・一条天皇を亡くした彰子が、夫の意思を継ぎ周囲の人々を救う国母へと成長していきます。 ・『日と月の后 上』はこちら 我欲の道長と、懲りない伊周 彰子は父親の道長と、その政敵である伊周に苦労させられます。 ただ
『日と月の后』は、紫式部が仕えた中宮彰子が主人公。父・藤原道長に逆らい夫・一条天皇を支えていきます。 少女が後宮で人の欲望や愛を知り、国母(天皇の母)へと成長していく物語です。 『日と月の后 上』あらすじ 藤原道長の娘・彰子は、12歳で一条
『外科室』は泉鏡花が明治時代に発表した恋愛小説。儚くも美しい、刹那の恋が描かれます。 その『外科室』を現代のイラストレーター・ホノジロトヲジさんが独特の解釈で描いたイラストが魅力的な一冊です。 『外科室』あらすじ やんごとなき身分の伯爵夫人
以前に読んだ『源氏物語解剖図鑑』が面白かったので、今度は百人一首をモチーフにした『百人一首解剖図鑑』を読んでみました。 和歌の現代語訳はもちろん、時代背景や自然現象を細かく解説。この和歌が読まれた背景にはこんなことが…、など意外な発見があり
前回『成瀬は天下を取りにいく』では、成瀬の個性的なキャラクターが魅力でした。 しかし今回、『成瀬は信じた道をいく』では成瀬と関わる人々が個性的でした。成瀬と島崎のコンビ・ゼゼカラファンの小学生、クレーマーの常連主婦、受験生YouTuberな
『成瀬は天下を取りに行く』は、滋賀県大津市を舞台にした青春小説。さすが本屋大賞をぶっちぎりで受賞したのは伊達じゃない。新鮮な面白みのある作品でした。 『成瀬は天下を取りに行く』の最初の舞台は2020年。コロナ禍真っ最中です。イベントや行事は
『ブッダも笑う仏教のはなし』では、身近なもので仏教を教えてくれます。 笑い飯の哲夫さんが仏教好きというのは、なんとなく知っていました。が、まさか本を書くほど仏教ガチ勢だったとは…。 やはり本業がお笑い芸人さんだからか、文章のリズムがよく読み
『吉原手引草』で、は吉原一の花魁・葛城の失踪について関係者たちがそれぞれの立場で語る形式で物語が進んでいきます。 物語の中心人物である葛城花魁が一切語らないのがまた、この話をいっそう面白くしています。 第137回直木賞受賞作品。 『吉原手引
『源氏物語解剖図鑑』と固いタイトルですが、決して難しくはありません。 これまで、私の『源氏物語』の知識は、主に漫画『あさきゆめみし』で得たものだけでした。 しかし2024年の大河ドラマ『光る君へ』放送に伴い、「もう少し源氏物語を知りたい…。
泉鏡花の幻想的な世界を、現代のイラストレーター・しきみさんが表現した乙女の本棚シリーズ『夜叉ヶ池』。泉鏡花の幻想的な物語をしきみさんの美しいイラストが飾ります。 夜叉ヶ池 あらすじ 旅の学僧が山奥で行方不明の友人・晃と再会する。晃は妻の百合
物理的にも心情的にも「電子書籍で絶対に読めない本」を3冊集めてみました。紙の特徴や印刷、装丁を生かしたこれらの本は、電子書籍やオーディオブックでは味わえない体験を与えてくれます。 『世界でいちばん透きとおった物語』杉井 光 「電子書籍化不可
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『幸福な食卓』はとある家族のお話。この家族は普通じゃないかもしれない。でも、家族のかたちはそれぞれ。心が通じ合っていることこそが大事。『幸福な食卓』あらすじある日の朝食のとき、父さんが「父さんは今日で父さんを辞めようと思う」と、言い出した。...
本屋大賞を受賞した瀬尾まいこさんの『そして、バトンは渡された』。多様性が叫ばれる今だからこそ、受け入れられた物語だと思います。「普通」や「幸せ」は、ひとりひとり違うものだから。『そして、バトンは渡された』あらすじ何人もの親の間を、バトンを渡...
『龍女の嫁入り 張家楼怪異譚』は中国・唐時代を舞台にした怪異譚。幽霊を引き寄せてしまう青年と、彼に嫁いだ龍王の孫娘。この若夫婦が幽霊や妖怪の騒動に巻き込まれていきます。『後宮の烏』シリーズの白川紺子さん初の単行本です。『龍女の嫁入り 張家楼...
『お江戸ファッション図鑑』は、町娘から花魁、庶民から大名まで。浮世絵に描かれた幅広い身分のファッション、髪型を紹介したイラスト本。イラストも美麗だし、年代別に髪型やファッションを紹介しています。これがめちゃくちゃわかりやすい!この本を読んで...
『面白すぎて誰かに話したくなる 蔦屋重三郎』は、彼の生涯や写楽のプロデュース、当時の政治や経済を踏まえて時代の寵児・蔦屋重三郎を語る一冊。大河ドラマ『べらぼう』の副読本としてもおすすめです。蔦屋重三郎の生涯蔦屋重三郎(蔦重)は、吉原育ち。吉...
『写楽 閉じた国の幻』は、写楽の正体に迫ったミステリ小説です。果たしてこれはミステリなのか、それとも学術的な研究なのか。途中でわからなくなってきます。それくらい設定がリアル。もしかしたら、こんな「写楽」の可能性もあるのじゃないか…と。『写楽...
『答え合わせ』は、漫才師・NON STYLE石田明さんによるM-1、漫才の解説書。これを見ればM-1がより面白くなると思います。石田さんは一部で「教授」と呼ばれるほどM-1、漫才の解説に定評のある方。実は私、今でも一番好きな芸人はNON S...
『古典夜話: けり子とかも子の対談集』は、名随筆家であり、骨董収集家で目利きの白洲正子、古典文学に造形の深い小説家・円地文子。この博識な女流文学者2人が語る古典・芸術よもやま話です。対談ではおふたりとも何気なく話しているようですが、内容はか...
『東京 わざわざ行きたい 街の本屋さん』は、本好きにとっては旅行案内であり、宝探しの地図のような本。本好きのみなさん、ぜひこの本を片手に本屋目的で旅や散策を楽しんでみてください。西荻窪から始まる何がすごいってこの本、最初の街が西荻窪なんです...
俳優・小林聡美さんのエッセイ『茶柱の立つところ』。日々の出来事がコミカルに描かれています。今回、久しぶりに読んだけれど、肩肘張らない感じがとてもいい。肩肘張らないエッセイ若い頃やマダム時代も、日常をコミカルに描いていた小林聡美さんのエッセイ...
神楽坂にあるブックカフェ、かもめブックス。かもめブックスは、校正会社・鴎来堂さんの経営するブックカフェ。そのためほかのブックカフェとはまた一味ちがったセレクトの本が楽しめます。かもめブックスちなみに、買った本はこちら「本を読む人のための書体...
森薫さんの中央アジア漫画『乙嫁語り7』では、女性同士の結婚制度「姉妹婚」が紹介されていました。19世紀には廃れてしまった風習らしいのですが、その元ネタとなるのがこの『ペルシア民俗誌』という本です。中東の姉妹婚・ハーハル・ハーンデ『ペルシア民...
『団地のふたり』は50代の幼なじみ二人の団地スローライフを描いた作品。2024年にNHKでドラマ化されました。『団地のふたり』あらすじ奈津子と野枝(ノエチ)は団地で育った保育園の頃からの幼なじみ。昔はそれなりに活躍していたけれど、今は実家の...
国分寺にある胡桃堂喫茶店。「本屋さんがカフェを始める」ではなく、「カフェが本屋(と出版)を始める」という独特なスタイル。美味しい料理とスイーツ、そしてコーヒーと共に本が楽しめる安らぎの空間です。胡桃堂喫茶店胡桃堂喫茶店は黒い外観の二階建ての...
『99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方』は、「科学は決して万能ではない。」その事実をわかりやすく解説してくれる科学リテラシー本です。科学は決して万能ではない科学は本来哲学だった。何か「問い」があり、それらを解明するために科学と...
『リカバリー・カバヒコ』を読むと、文字通り心がリカバリーされる。少しの勇気と希望と温かさを感じられる、愛おしい物語。『リカバリー・カバヒコ』あらすじ日の出公園にあるカバのアニマルライド。塗装はハゲ欠けているこのカバには不思議な言い伝えがある...
『秘密の花園』ノートは、作家・梨木香歩さんによる『秘密の花園』の解説本。堅苦しい解説ではなく、梨木香歩さんの感想や解説を交えた文章は本当に「ノートのように」物語の見どころ(読みどころ?)がやさしく、わかりやすく書かれています。『秘密の花園』...
お酒がテーマのアンソロジー第二弾『ほろよい読書 おかわり』。お酒が飲めても、飲めなくても、ほろよい気分が味わえる名作揃いです。『きのこルクテル』青山美智子ライターの永瀬は酒が飲めない。しかし、取材で訪れたバーでバーテンダーの女性に一目惚れし...
ビストロ・パ・マルシリーズ4『間の悪いスフレ』では、コロナ禍でのフレンチレストランの苦悩や若い人へのエールが印象的でした。『間の悪いスフレ』あらすじ小さなフレンチレストラン、ビストロ・パ・マル。ここでは客たちの悩みや謎を、シェフが料理で解決...
田辺聖子さんの古典解説は面白い。難解なをユーモアあふれる文章で紹介してくれるので、気軽に古典文学を楽しめます。 「蜻蛉日記をご一緒に」は、もともと田辺聖子さんの講演会の内容を書籍化したもの。口語体で書かれているのでわかりやすく、するするっと
経済学と銘打っていますが、実は心理学に近い考え方だと思います。なぜ損をするほど無謀な賭けにでてしまうのか、なぜ無駄遣いをしてしまうのか。 そんな日常のお金の使い方にも役に立つのが『よくわかる行動経済学』です。 そもそも行動経済学とは? 行動
冲方丁さんの『はなとゆめ』は、清少納言の枕草子をベースに、平安時代の宮中の様子や陰謀を、史実を交えて描かれた小説。 主人公・清少納言の視点から描かれています。 2024年大河の主役紫式部ですが、こちらは紫式部のライバル陣営のお話です。 『は
冠婚葬祭をテーマにした4つのオムニバス小説『冠・婚・葬・祭』。中島京子さんが冠婚葬祭というテーマから垣間見れる、人生のワンシーンを独特の視点で描いています。 空に、ディアボロを高く 地方記者だった裕也は、成人式の記事に誤報を載せてしまったこ
昔見た向田邦子新春ドラマシリーズは、たいてい戦争前の時代、女系家族の穏やかで静かな生活が描かれます。 しかしその一方で、その家の女性が道ならぬ恋に落ちるストーリーに、子ども心にスリルとエロさを感じました。 久しぶりにみた向田邦子新春シリーズ
「上海セピアモダン―メガロポリスの原画」は、「魔都」と呼ばれた怪しくも蠱惑的な都市・上海の魅力に迫る一冊です。 上海の誕生から、戦争中や文革まで、現代史とともにモダンな上海をお楽しみください。 魔都上海の歴史 上海では阿片戦争後、外国の租界
『上海モダンの伝説』は戦前に「老上海」と呼ばれた「魔都」に魅せられた日本人たちを取り上げています。 幕末から昭和初期まで種々雑多な日本人が上海を訪れています。革命家、諜報機関、宗教家、作家や芸術家など、職業も身分も異なる人が上海へ集まるので
嶋津輝の長編小説『襷がけの二人』。昭和初期、女主人と女中の友情と女性の自立の物語です。 千代とお初、使用人と主人の立場が逆転する設定に驚きましたが、さらに読み進めると意外な展開にが待ち受けていました。 第170回直木賞候補作になりました。
『駐車場のねこ』は普通の人と、ちょっと普通じゃない人たちの物語。この「わからない感じ」が面白くて少し怖いのです。 文庫化の際に『スナック墓場』から『駐車場のねこ』へタイトルが変更されました。 きっと新人作家の文庫として売るには少しでもキャッ
「まんまこと」シリーズ第9弾。町名主のお気楽息子・麻之助が江戸の人々の悩みや困りごとを解決していきます。 前回の『いわいごと』で同じ町名主の娘、お和歌と再婚した麻之助が父親に。 先妻・お寿ずが出産で命を落としたため、お和歌の妊娠に不安を抱く
万城目さんにかかれば、京都では何が起こっても不思議ではありません。たとえそれが過去の人々との遭遇であろうとも。 『鴨川モルホー』、『モルホー六景』以来、久しぶりの京都を舞台にした青春小説。果たして今回はどんな不思議が京都で起こるのでしょうか
『ポスストオフィスマニア』は森井ユカさんが海外の郵便デザインを取材しまとめたデザインブック。ポストカードや切手などの他、ポストや郵便配達車まで、あらゆる郵便デザインを紹介しています。 ポストオフィスマニアAmazonKindle楽天楽天Ko
瀬尾まいこさんの本を読むと、いつも優しい気持ちになれます。『優しい音楽』はどこにでもいそうな恋人達の、愛しくてせつなくて、ちょっと笑える物語。 「恋人達」の話と見せかけて実は「家族」を描いているのが、瀬尾まいこさんらしいですね。 優しい音楽
戦前、最も身近な外国だった上海。当時の上海には芥川龍之介などの数々の著名人が訪れました。文豪の谷崎潤一郎もその一人で、大正7年と15年に上海を訪れています。 谷崎潤一郎が上海での出来事や出会った人々、旅のトラブルについてまとめたのが『上海交
漫画の続きをエッセイで読んだ。「なんで?」とお思いでしょうが、実際に私が読書で体験したことなのです。 現代の漫画に登場した逸話の続きを、大正時代のエッセイ(随筆)の中で見つけました。なぜ、そうなったかというと… とある中国茶器の逸話 この話
瀬尾まいこさんの『春、戻る』は、主人公のもとへ突然、「兄」と名乗る年下の男性が現れるという、突飛な展開からはじまります。 果たして彼の正体は何なのか、目的は? 日月 知らない人から突然、兄って言われたら、私なら通報するな。 『春、戻る』あら
万城目学さんの描くエッセイは、なんとも不思議な出来事ばかり。現実と虚像が日常と非日常が入り混じっています。 不思議で面白い小説を書く人は、やはりエッセイも不思議で面白いのです。 一言感想 エッセイというより、もはやショートショート 風が吹け
行動経済学とは簡単に言うと「お金の使い方って、気持ちで変わっちゃうよね」ということです。 「なんだか難しそう…」、「私には関係ない」と思ったそこのあなた! 行動経済学は日常での買い物でも応用できる、実用性の高い学問です。そんな行動経済学のし
『おしまいのデート』は、普通の人々の、よくあるようなお話です。けれど、瀬尾まいこさんが描くと、どのお話もいとおしく、切なくなります。 瀬尾まいこさんは、私たちが邪険に扱ってしまう普通の日常を、丹念に拾い集めて磨き上げ、私たちの前に見せてくれ
田辺聖子さんの『朝ごはんぬき?』は、女流作家とその家族の様子を、秘書である主人公の視点で描いたコメディタッチの小説です。 女流作家とその家族の一風変わった生活がユーモアたっぷりに描かれていて、読んでいると思わずニヤリとしてしまいます。 『朝