完全オリジナルの怪談のブログとなります。 公開した作品はクオリティアップのため、加筆・修正する場合もございますのでご了承ください。 なお、当ブログの掲載内容には著作権が発生しますので、無断での転載・引用・複製は禁止とさせていただきます。
怪談 ~喫煙所~ 都内にある大手食品会社の社員である田中。地方にある支店でトラブルがあり、その対応のため直属の上司である部長と共にその支店へと出張してきていた。支店は駅前に広がるオフィス街の一角にある雑居ビル内にあり、周囲を同じような雑居ビルに囲まれていた。雑居ビルは6階建てで、その5階に支店がある。支店に到着するなり、今回のトラブルで迷惑をかけた関係各所への謝罪のため、日中はずっと部長と外回りとなった。夕方支店に戻ってからは本社とテレビ会議にて今後の対策と方針について話し合っていた。気がつけばすでに時刻は22時近くになっている。みな夕食を食べていなかったこともあり、ここで一旦休憩することとな…
怪談 ~残り香~ 大学生の和司は自宅から歩いてすぐにあるコンビニでバイトをしている。今は大学が夏休み中のため、時給の高い夜間のシフトに入っていた。その日もバイトに向かうため、21時過ぎにマンション12階にある自宅を出た。夜だというのにひどい暑さで、熱せられたじっとりとした空気が体にまとわりつく。エレベーターに乗り込み一階のボタンを押す。エレベーターは軽い振動と共に下に向かって動き出したが、すぐに停まった。エレベーター内のフロア表示は『10』を示している。扉が開くとそこには俯き加減の女性が立っていた。今まで見たことがない女性だった。年齢は40前後くらいだろうか、白のブラウスに黒いズボンというラフ…
怪談 ~友人~ 裕太は生まれつき心臓に持病があり、幼いころは度々発作を起こしては入退院を繰り返すような生活を送っていた。それは小学生になっても変わらず、発作を起こす度に学校を休んでいた。裕太はそのせいもあり引っ込み思案な性格で学校でなかなか友達ができなかった。小学5年生になった時に心臓の手術を受けたことで奇跡的に回復した裕太は、それ以来学校を休むことはなく、他の子と同じように生活できるようになっていった。そんな裕太にやっとできた友人が拓真だった。拓真は裕太とは真逆のタイプで、性格は明るく頭も良く活動的だったため、いつもクラスの中心にいるような人気者だった。 そんな二人が、同じクラスで隣同士の席…
怪談 ~躓き~ カウンター席しかないバーでオカルトが好きな常連客の3人がキリストの聖痕現象の真偽について話をしていたが、議論が尽きたのか、みな次第に口数が少なくなってきた。そんな時、常連の中で1番若い、皆から”坊ちゃん”と呼ばれる男が、「そう言えばこんなことがあったんだけど。」と、先日自身が経験した不思議な出来事を話始めた。 その日、坊ちゃんは友人との待ち合わせに遅れそうだったため、駅に向かって急いで歩いていた。その途中、駅近くの商業ビルの横にある広い歩道を足早に進んでいた坊ちゃんは、突然道の真ん中で何かに躓いた。ちょうどスマホを操作しながら歩いていたために完全にバランスを崩し踏ん張る事ができ…
怪談 ~監獄~ 手を離すと、後ろで鉄が重く軋む音がして今まさに通り抜けてきたばかりの扉が閉る。扉が閉まりきるときに金属がぶつかる甲高い嫌な音が鳴り響く。もう幾度となく聞いている音だが、その瞬間にはいまだに体がピクっと反応してしまう。扉の方を振り返ると、扉の上部にある覗き窓からこちらを見る看守の顔が見える。その看守の顔はまったくの無表情で、いつ見てもゾッとする。いつもなるべく見ないようにはしているが、毎日会わざるをえないため、どうしてもその表情のない顔を見てしまう。不快な気持ちを抑えつつ、私は前に向き直った。目の前には青白い明かりに照らされた通路が長く奥まで伸びている。通路の突き当たりまでは30…
怪談 ~似顔絵~ ※この作品は有料となります。全文をご覧いただくにはご購入をお願いいたします。 女子高生の桜は通っている学校の近隣のショッピングモールに遊びに行くことがあった。桜が好きなアイドルグループのショップがそこにあったためで、同じようにそのアイドルグループのファンであるクラスメイトの友人星奈と月に2~3回くらいの頻度で通っていた。ある日、桜は学校の帰りにショッピングモールに行こうと星奈を誘ったが、星奈はその日は別の予定があるために行けないと断られてしまった。いつもならば一人では行かずに帰宅する桜だったが、その日は一人でそのショッピングモールに行くことにした。実は桜にはアイドルグループの…
怪談 ~タトゥー~ ※この作品は有料となります。全文をご覧いただくにはご購入をお願いいたします。 都内の大学へ通う沙耶は同じ大学の友人の紹介で莉里という女性と知り合った。莉里は沙耶とは別の大学に通っていたが、同い年でしかも同じミュージシャンのファンであることが分かり、ライブに一緒に行くようになり次第に仲良くなっていった。それからは2人だけで買い物や食事に行くことも度々あり、いつのまにか親友とも言える間柄になっていた。ただ沙耶は莉里に対して一つだけどうしても気になることがあった。それはどんなに暑い日でも長袖を着けていることだった。夏で40度近い気温の日でも莉里は必ず手首まである長袖を着ていた。最…
怪談 ~通過~ 「うわぁ!」時間は20時を過ぎていた。場所は高層ビルの5階フロア、人が少なくなったオフィスに山下の叫び声が響き渡る。斜め向かいの席に座っていた山下の上司の田中はその叫び声に驚いて、山下を見た。叫び声と同時に椅子から立ち上がった山下は驚きの表情で田中の席の後方を見ている。やがて自分を見る田中の視線に気づいた山下は田中と目が合うと、われに返った。「すっ、すみません。」山下は田中と他にオフィスに残っている同僚社員に向けて頭を下げて謝罪する。「どうしたんだ。」田中は普段の生真面目な山下からは考えられない突然の行動に困惑していた。「すみません、別になんでもないです。」椅子に座った山下は気…
怪談 ~輪廻~ ※この作品は有料となります。全文をご覧いただくにはご購入をお願いいたします。 由夏は時代の寵児と呼ばれる若きカリスマ社長の晴輝と1年ほど前から交際していた。由夏は高校を卒業後、家庭の事情で進学ができずに、昼間はカフェで夜は居酒屋でとバイトを掛け持ちして家計を助けていた。そんな由夏が働いているカフェを晴輝が客として訪れたのが二人の初めての出会いだった。晴輝は店に来ると積極的に由夏に声をかけた。次第に打ち解けていった二人は店の外でも会うようになる。そして二人の交際が始まった。由夏にとって、高収入で社会的ステータスもある晴輝のような自分とは住む世界が違う男性と出会い、そして今その男性…
怪談 ~案山子~ 住宅街の一画に雑草が生い茂った空き地がある。広さ10坪ほどのこの空き地には所狭しと立ち並ぶ案山子の姿があった。 元々この辺りは、住宅地として整備される20年ほど前までは一面に畑が広がっており、当時はあちらこちらの畑に案山子の姿が見られた。今も住宅街から少しばかり離れれば昔ほどではないが畑は存在するが、最近ではどの畑にも案山子の姿を見ることはなくなっていた。 その案山子が立ち並ぶ空き地の周囲に住む住人たちは、その不気味な景観に嫌悪や恐怖を感じていて、空き地の持ち主に度々苦情を入れて案山子を撤去するように迫っていた。空き地の持ち主は、この空き地の隣に建つ古ぼけた家に住む60代の男…
怪談 ~顔~ カウンター席しかないバーでオカルトが好きな常連客の3人がエリア51の真偽について話をしていたが、議論が尽きたのか、みな次第に口数が少なくなってきた。常連客の一人、40代くらいで身なりの良いスーツ姿、皆から”先生”と呼ばれる男が、バーの女性マスターを見ると真剣な顔つきでカウンター内に置かれている小型のテレビを見ている。どうやらニュースを見ているようだ。客との会話に困らないように時事には詳しくなくてはというのが、ここのマスターの接客業への哲学だと前に聞いたことがある。傍から見ると仕事中にテレビを見るのはどうかと思われるかもしれないが、店にいるのはいつもの常連3人ならば何の問題もない。…
怪談 ~すりガラス~ 小学6年生の修斗は、自宅に帰ると母が浮かない顔をしていることに気づいた。明るい性格の母にしては珍しいことだった。最近皆にとってつらいことがあっただけに心配だった。「どうしたの、なにかあった。」母は言おうか言わないかで悩んでいるように見えたが、少しの間の後に修斗の問いかけに答えた。「さっき一度家に帰ってこなかったよね。」母は自信がない様子で修斗にそう尋ねた。「ううん、今ちょうど帰ってきたばかりだよ。なんで、なんかあったの。」修斗がそう聞くと、実は、、、と母が直前にあったことを話始めた。 修斗の自宅は木造の一軒家で、玄関にはすりガラスが入った扉がある。母が玄関の前の廊下を通り…
怪談 ~右手~ 「じゃあ次は誰の番だ。」カウンター席しかないバーで常連客の3人が順番に怖い話や不思議な話を披露していたが、皆が持ちネタが無くなったのか、次に話そうとする人はいなかった。「じゃあ次はマスターで。」そう名指しで指名された女性マスターは困り顔になった。「私、そういう話は苦手なのよね。」「そう言わずに、何でもいいからお願いします。」常連の中で1番若い男がおねだりをするように甘えた声で言った。「そう言われてもね、、、。そうだ、市さんならなんかそういう話があるんじゃない。」話を振られた市さんとは、カウンター席の一番端っこで1人静かに水割りを飲んでいる初老の男性だ。常連の3人以外で今店にいる…
怪談 ~近し存在~ 連日仕事に追われて多忙な日々を送る渡部。その日も新たな客先に挨拶に行くため、朝早くに自宅を出て最寄駅から電車に乗って客先の会社へと向かっていた。目的地の駅は様々な路線が乗り入れているターミナル駅で利用客が多い駅だった。電車を降りると客先の会社が入るビルがある方面の出口を目指して渡部は歩き始めた。駅構内は狭く人でごった返していて真っ直ぐに歩くのもままならない。そんな雑踏をかき分けるように進んでいくが、しばらく歩いたところで、通路の端の方にある柱の下にスーツ姿の男性がうつ伏せで横たわっていることに気づいた。渡部はあの人はどうしたのだろうと気になったが、周囲を歩く人たちは軽く視線…
怪談 ~工事現場~ 悠真は手元にあったスマホを取ってその画面を見る。時間は23時を過ぎていた。朝から一日中外回りをしていたため悠真は仕事を終えたときには疲れきっており、19時ごろに家に帰るとそのままソファーに倒れ込んだ。寝るつもりはなかったが、どうやらそのまま眠ってしまったらしい。晩御飯を食べずに寝たためか強い空腹を感じる。悠真は何か食べられるものがないか冷蔵庫を開けた。冷蔵庫の中は空っぽで水のペッドボトルや調味料しか入っていない。悠真はやっぱり何もないかと1人呟いた。一人暮らしの悠真はあまり自炊をする習慣がないため、そもそも家に食料品がないことは分かっていた。元々ソファーで一休みした後には近…
怪談 ~留守番電話~ 健太は自宅のベッドの上で横になり一人で眠っていた。突然枕元に置かれていたスマホから大きな音が鳴り響く。その音に驚き飛び起きた健太は、焦点の合わない目で壁にかけられた時計を見る。時計の針は2時15分を少しだけ過ぎたところをさしていた。「こんな時間に誰だ。」不機嫌にそう呟きながらスマホを手に取り、画面を見る。スマホの画面には電話番号が表示されているのみで、名前などは表示されていない。スマホの電話帳に未登録の番号みたいだが、健太の記憶の中でも表示されている番号には見覚えがない。電話番号の頭の数字からその電話は携帯電話からではなく固定電話の番号だということだけはわかった。こんな真…
初老の男は深い森の中にいた。男は自分が誰なのかがわからなかった。だが男は自分が何故ここにいるのかは知っていた。 鬱蒼とした森の中を、木漏れ日の微かな光が、こちらに近づいてくる人の姿を浮かび上がらせる。それは若い男だった。若い男は何かに気づいたように初老の男の方を見た。そして驚いた様子を見せるがそれも一瞬のことで、すぐに平然となると頭を軽く下げた。挨拶をしてくれたようだ。若いがなかなか礼儀正しい人のようだ、と初老の男は思った。若い男はあたりを見回すと、「この辺りでいいか。」とつぶやいた。そして一本の大木に近づくと何かを確かめるように木の表面を数回力を入れて叩いた。それで納得したのかうんうんと頭を…
優奈は飲食店で働いているため、仕事が終わり電車で最寄りの駅へ着くころにはだいたい23時を回っている。駅から自宅までは歩いて10分くらいの距離で、住宅街の中の街灯のある道を通るため、それほど身の危険を感じることはなかったが、それでも夜道に人が居たりすると少し緊張をする。その日もいつも通り、仕事が終わり駅から自宅に向けて夜道を歩いていた。道は車道と歩道が白線で区切られているだけの狭い道だった。その日は夜になっても暑く、少しの距離を歩いただけでも体中から汗が噴き出てくる。早く家に帰ろうと急ぎ足で歩いていると、ちょうど街灯と街灯の間で明かりが途切れて薄暗くなっているあたりの道の端に、こちらに背中を見せ…
大学生の悠人は同じ大学の友人陽介と、大学から最寄りの駅に向かって歩いていた。陽介が最近に付き合い始めたオカルト系の彼女の結衣の話で二人は盛り上がっていた。「この前なんかデート中に駅のホームで急に霊が見えるなんて始まっちゃって困ったよ。」「お前、そんなのよく我慢できるな。」「だって結衣の見た目100%俺の好みだし、結衣と一緒に歩いていると、通り過ぎる男たちからの妬みと羨望の眼差しで、優越感がたまらなくてな。」「お前マジで最低だな。」悠人は苦笑した。そのとき突然陽介があっ、と声を上げ立ち止まる。どうしたのかと悠人は陽介に尋ねると、道の向こう側の反対車線に信号に止まっている一台の車を指さす。それは赤…
隆康は某企業の大阪支社に勤めているが、翌月から東京本社への転勤が決まっていた。そのため、隆康は週末の休みを利用して東京へと来ていた。目的は東京での住居を決めること。ただ明日には帰らなければならないため、出来れば今日中にある程度目星を付けておきたかった。そのため、東京に来る前にインターネットで調べて良さそうなところをいくつかピックアップして不動産会社にアポイントを取っていた。午前中に2件、午後に別の不動産会社で3件の内見を予定していた。まずは午前中の1件目のマンションへと行った。部屋の中は賃料のわりに広く綺麗で、一目見て気に入った。築浅で駅からも近いこともあり、そこで即決しようかと思ったが、ただ…
小学5年生の兄の陽大と小学3年生の弟の蒼大の兄弟は、夏休みに母に連れられて母の故郷へと遊びに来ていた。母の故郷は東北の山間にある小さな村だった。近くの大きな街までは車で30分かかるような不便な場所ゆえ若い人は村から1人また1人と出ていってしまっていた。そして数年前には最後の卒業生を送り出した学校も廃校となった。その後も過疎化がさらに進み、村内には空き家の方が目立つような現状だった。だが祖父母は、そんな村でも長く住んだ村を離れる気にはなれないと、今でも村に残っているのだだった。そのような村ではあったが、都会に育ったの陽大と蒼大は自然が豊かな田舎での生活は新鮮であった。 村は四方を山に囲まれた場所…
夜になっても昼間の熱気の余熱のせいか、一向に気温が下がらない。風もなく体に纏わりつく生温い空気に、全身にじっとりと汗がにじみ出てくる。額を濡らした汗で前髪が張り付いるが、梨花はそんなことは気にならない様子で、スマホの画面をじっと見つめていた。その目は真っ赤で瞼も腫れぼったく、目の下には涙の後が幾重にも重なってみえる。「亮二、なんで電話に出てくれないの。出てくれないと私、、、死んじゃうよ。」そう行って梨花は再び涙を流すのだった。 梨花は今、自宅のあるマンションの屋上から飛び降りて自殺をしようとしていた。理由は彼氏にフラれたから、、、それだけだった。しかり梨花にはそれだけでも死ぬ理由には十分に思え…
都内近郊のベッドタウンとして開発されたG町。G町は都内からの交通アクセスが良く便利だと評判となり、駅の周辺に広がっていた森林を造成した宅地には、多くの人たちが移住してきて家を構えた。そのため街は次第に大きく変貌していくことになった。 淳一も数年前にこの地に妻の浩子と二人で引っ越してきた移住組だった。子供のいなかった淳一と浩子はもともと都内の賃貸マンションに住んでいたが、常々都内を離れいつか静かなところで暮らしたいと話をしていた。そんなこともあり、浩子が50歳になったのを機に都内からG町に一軒家を購入して引っ越してきた。淳一たちが越してきた家はそんなに大きな家ではなかったが、二人で住むには十分な…
「鈴木くん、残業か」背後から声を掛けられた鈴木は、睨みつけるように見ていたパソコンの画面から目を離し、声がしたほうを見た。そこには、ぽっこり出た特徴的な腹をした沢田課長が、黒い手提げカバンを手に抱えてて立っていた。「はい。」少し間があってから、鈴木は力なくそう返事をした。「そうか。仕事を頑張るのはいいが、あまり残業が多いと今は上がうるさいからな。それに先月下の階であんなこともあったし。ほんと気を付けてくれよ。」淡々とした口調で話した沢田課長は、言い終わるとうんうんと頷いていた。その様子に、実際はあまり興味はないが、立場上としてとりあえず言いましたという感じがありありと伺える。鈴木は「わかりまし…
弥生は、風邪を拗らせて高熱を出した娘の碧を連れて深夜に救急病院へと来ていた。医者の診断の結果、肺炎になりかかっていることがわかったため、碧はその場で即入院することになった。碧の父親の慎吾は、タイミングが悪く海外へと出張に行っていて明後日までは日本に帰ってこない。弥生は1人で不安だったため、実家に住む母親へと電話をしたが呼び出し音は鳴るも繋がらなかった。深夜という時間を考えればしょうがないと思った。生憎と言っていいのかちょうど良かったというべきかわからないが、大部屋が全部埋まっていたため碧は個室に入ることとなった。そして朝になるまで弥生は病室で、碧の寝るベッドの傍にイスを置いて座り、眠ることはな…
篤が大学を卒業して勤め始めた会社は実家からでも通える場所にあったが、昔から一人暮らしに強い憧れがあった篤は、社会人になったのを期に念願の一人暮らしをすることにした。まだ新卒で給料は少ないため、選んだマンションは1DKで、築45年とかなりの古びたものだった。また貯金もそれほどあるわけではなかったので、中古ショップをあちこちと回っては理想に近い家具なども集めた。初めて持った自分の城にAはとても満足していた。 ただ、そんな揚々とした気分は長続きしなかった。部屋の中で徐々に異変を感じるようになっていた。篤が部屋にいるときに、部屋の中で自分以外の何かの気配を感じることがあった。また、部屋の中で何気なく振…
香織さん(仮名)が15年前に体験した話です。 私は当時に勤めていた食品会社の都内の本社から、某県にある自社工場へと転勤となりました。その工場はその県の中でも、都市部からかなり距離が離れた郊外にあり、交通の便も悪いことから車通勤が必須でした。私は中古車を購入して、転勤と同時に車通勤を始めました。その工場はバイパス通りに面しており、工場の敷地へ入る正面入り口はバイパス沿いにありました。朝の通勤時はバイパスから直接工場の敷地に入れるのですが、帰りにパイパスの反対車線に出るためには、工場の裏門から出て県道を通り、パイパスの高架下にあるトンネルを抜けて反対側へと出る必要がありました。工場へと転勤になった…
「ブログリーダー」を活用して、通りすがりさんをフォローしませんか?