いったいなんでこんなことになったんだろうと反芻する。 思い返しても、この事態になることを止められるであろう箇所は見つからなかった。 強いていえば頭痛が起こらなければ良かったのか? 廊下が抜けて、庭園へ出た。 足元はさっき見た砂利道だ。 貼られた飛び石を道なりに進むと、ここにも小さな門があった。 小さな竹が垣根になった、
都真が作った『花』は生体ドール。 年頃は十四、五歳を設定した、どれも男の子。 製造識別に花の名前をつけていることから、お客様はドール本体のことを『花』と呼ぶ。 この温室まで来られるお客様は、そう多くはない。 都真にとって『花』を作ることは仕事じゃないから、『花』そのものの数も多くない。 欲しいと言って下さるお客様は、かなり待たされることになる。 僕はワゴンの上のハーブティーを透明のガラスの茶...
■『花』シリーズ 短編集 🔞BL (連載 短編) “生体ドール”『花』を巡った、短編集(3~4話くらいで完結)今日もお客さまはやってくる。生花店『花苑(かえん)』に『花』を求めて。→『花』薔薇/ 1 / 2 new / 3 / 4 /……→TOPへ...
Rose(和名・バラ)――入力 バラ科バラ目の植物の総称。 低木状または蔓状で品種は非常に多い。 古くから栽培され、鮮やかな花を咲かせる。 午前8時になると、都真(とま)が軽トラックを運転して帰ってくる。店の前に止まる音で、都真かどうかわかる。 「都真。おかえり!」 出迎えると、都真は嬉しそうに笑ってくれる。 「手伝ってくれる? ソウ」 トラックが止まったら出て行って、都真が市場で仕入れて...
「安心していい。部屋は取ってあるから」 そういう問題でもなくてっ!「困ります! だって、明日も学校だし!」 「一日ぐらい平気だって。夏原から聞いてる、って言ってなかったっけ?」 泊まりだなんて聞いてない!「困ります。降ろして下さいっ」「こんな知らないところで降ろされて、大丈夫?」 ふざけた口調で言う葉月に、ぐっと言葉に詰まった。 確かに葉月の言う通り、この辺りに一人で来たことなんてないけど。 (...
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