今敏(こん さとし、1963年10月12日 - 2010年8月24日) とは、日本の漫画家、アニメーター、アニメーション監督である。
兄はギタリストの今剛。
概要
武蔵野美術大学在学中に週刊ヤングマガジン「虜 -とりこ-」で漫画家デビュー。大学在学中は大友克洋氏(AKIRA第3巻~)のアシスタントとして活動、1997年に竹内義和の小説を原作とした映画「パーフェクトブルー」で監督デビューをした。
2001年に制作した監督作「千年女優」は文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞を受賞(同時受賞作:「千と千尋の神隠し」)・カナダのファンタジア映画祭では最優秀アニメーション作品賞&芸術的革新賞を、シッチェス・カタロニア国際映画祭では最優秀アジア映画作品賞を受賞した。
- 国外に作品を出展することが多い監督であり、そのため国内のみならず国外でも評価は高い。
- 細部に拘った描写が多く、場面がアニメ調であっても、絵コンテの段階から背景の描写などがとても細かい。
- 「千年女優」や「パプリカ」等、夢と現実が交差する作風はアニメ業界の中に置いても特殊な表現手法だったため、その手法に基づく評価が高い。
- 低予算でクオリティの高い作品を作成している。製作費は「千年女優」で1億2千万、「パプリカ」は3億円(参考に「スチームボーイ」が24億円、「ホーホケキョ となりの山田くん」が23.6億円、「イノセンス」が20億円)と低く抑えられている。シナリオを夫妻で作る、市販CGソフトで作画を行なうなどできる限りの予算圧縮を行なっている一方で、音響に関しては妥協せず、声優も有名どころを使用している。
- 「東京ゴッドファーザーズ」の監督インタビューの中でも各シーンにおける背景の緻密さを語っており、自由闊達な作風と転調が多いアニメ作品の中にあってリアルな描写には定評がある。
- 平沢進氏のファンであり、平沢氏のライブに行く姿が平沢ファンの間で目撃されている。
@hirasawaわざわざ御挨拶をたまわり痛み入ります、平沢さん。「環太平洋」の最終的変貌を期待しております 6:26 PM Aug 17th>webから hirasawa宛
…という風に、twitter上での挨拶を交わす親しい関係だった模様である。
突然の訃報
8月24日午前6時20分、今 敏は膵臓癌(膵癌)により永眠いたしました。享年46歳。故人の意向により葬儀は親族のみで行います。ここに生前のご厚誼を深謝し、謹んでお知らせ申し上げます。
株式会社KON'STONE 代表取締役 今 京子
という訃報が京子氏(敏氏の妻)によって公表された。
(また同Blog上に遺書がアップロードされている。下記「さようなら」参照)。
この突然の悲報を受けて、各地で様々な関係者がコメントを残している。
- 株式会社ガイナックスの取締役統括本部長・武田康廣氏は「今敏さんの訃報をさっきmixiで読んだ。47歳。もう吉祥寺の飲み屋で会う事がないのか。悲しすぎる。」
- 漫画家のゆうきまさみ氏は「今敏監督は僕にとっては絶対的に信頼のおける作家でした。あの作風がもう見られないとは悲しくて仕方がありません。」
- 千年女優・パプリカ等の音楽を担当した音楽家の平沢進氏は、公式発表がなされるまで沈黙を保っていたが、訃報が公表されるとTwitter上で「あれほど美しい死に顔を見たことはありません。」・「私は何度も棺を開けて今監督の顔見た。見る者の心を安らかにさせる偉大な死に顔である。」・「充分な力になれなかったことが悔やまれる。」と述べ、氏を悼むPVまで公開された。
- 舞台版千年女優の脚本・演出を手掛けた末満健一氏も、自身が運営する劇団「Peacepit」公式ホームページ上に追悼文を寄せている。
- 悲報のニュースは海外にも波及し、連合王国アニメネットワークやアニメネットワークニュース等においても悲報が伝えられた。
- 国内でもNHKや朝日など各社が報じていた。また、10年9月頃より数回に分けて追悼番組が放映されている。
最後の呟き
古くさいというより、古びた価値観にいまだに憬れているのかもしれないが。 2010年8月23日 21:40:29 webから
作品
アニメーション作品
- パーフェクトブルー(1997年)
- 千年女優(2002年)
- 東京ゴッドファーザーズ(2003年)
- 妄想代理人(2004年)
- パプリカ(2006年)
- オハヨウ(2007年)
- 夢みる機械(今氏の逝去によって製作中断中)