はい、塩化カリウム
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概要
安楽死(英:euthanasia)は、回復のない見込みのない患者を、生きつづけることの苦しみから解放させるために取る処置。楽に死ぬこと。医学的判断に基づいた人道的処置とされるが、自分で死を決める自殺とも言えるし、他者によってなされる死という点では「他殺」の形式を備えてもいる。当人の意志が確かめられない場合、どのような根拠によって誰が判断を下すのか、またそれが妥当な判断と認められるには、どのような条件が満たされるべきなのか、理念、方法においても課題は多い。
ナチスドイツ時代では、国のお荷物である知的及び精神障がい者を強制的に安楽死させるT4作戦が実行されている(生きるに値しない命)。元々ドイツの精神科医たちは障がい者の抹殺に賛同しており、この強制安楽死を積極的に推進していた。政府内や民間、聖職者からの反対を受けて1941年8月24日にヒトラー総統が中止命令を出したが、これに反発した精神科医と従事者が秘密裏に続行。政府や指導者の意に反して続けられたため「野生化した安楽死」と比喩された。強制安楽死は終戦まで続き、およそ27万人が犠牲になったとされる。だが携わった精神科医は口を揃えて「悪い事をしたとは思っていない」と述べた。
オランダとベルギーは2002年に世界で初めて安楽死を合法化している。ただし安楽死の処置は厳しい条件の下で実施され、患者にとってそれ以外に合理的な解決策が無い、と2人以上の医師が判断した場合に限られる。[1]
これまで世界各国で導入された安楽死は肉体的な病状でかつ、死が予見できるものに原則として限られていた。しかし、2023年よりカナダにおいて厳格な条件と段階(適切な生活・医療支援)を踏んだ上での精神障害への安楽死が法律で認められ、施行される見込みとなっている(法律自体は2021年に成立し、二年間の移行期間を間に挟んでいる)。「死ぬ権利」の法制化についての重要な試金石となるため、これからの動向を注視する必要があるだろう。
日本での安楽死をめぐる動き
安楽死事件
- 1991年:東海大学安楽死事件(神奈川県) - 末期がん症状の患者に塩化カリウムを投与し死亡させた内科医が殺人罪に問われた刑事事件。国内唯一の安楽死の正当性が問われた事件。
- 1996年:町立国保京北病院事件(京都府)
- 1998年:川崎協同病院事件(神奈川県) - 当時植物状態で入院中の男性患者から気管内チューブを抜き、筋弛緩剤を投与して死亡させた。殺人罪に問われたが、2009年12月、最高裁は上告を棄却。殺人罪が成立。懲役1年6ヶ月、執行猶予3年とした2審の東京高裁判決が確定した。
- 2000年-2005年:射水市民病院での連続安楽死事件(富山県) - 入院患者7人の人工呼吸を外して死亡させた。尊厳死の法制化が話題になった事件。これがきっかけになり、厚生労働省が終末期医療に対するガイドラインを示す。
東海大学安楽死事件の判例で示された具体的な基準
まず、治療行為の中止(消極的安楽死)の条件は、以下のように示されている。
一方、積極的安楽死の条件は、以下のように示されている。
端的に言えば「苦しんでいてもう死にたい」と患者が言っており、かつ放っておいてもそう遠からず死ぬ、そして苦しみを取り除くための手段は講じているがもうこれ以上打つ手はない、そして現代医療では治療手段は存在しない、という条件が最低でも必要である、と考えられている。
この事件の場合、2こそ当てはまるものの1・3・4に当てはまらないと判断されたことから有罪判決となっている。ただし、情状酌量の余地はあるとされ、当時の殺人罪の刑の下限(懲役3年)からさらに減軽された懲役2年・執行猶予2年という判決となった。
安楽死をめぐる政治的動き
賛成派
- 「日本尊厳死協会」 - 2005年に尊厳死の法制化を要望する14万筆近い署名をもって国会議員に働きかける。その後、超党派で集まる「尊厳死法制化を考える議員連盟」(中山太郎会長)が発足。2007年に法案要綱案を公表したが、本格議論に至ることはなかった。
- 井形昭弘 - 尊厳死協会元理事長。「多くの国で法制化されている尊厳死を日本だけが拒む理由はどこにもない」。
- 土本武司 - 元白鴎大学法科大学院長。「末期患者を苦しみから救う目的であれば、医師が重罪に問われるのは忍びない。通常の殺人行為と区別するような法整備を急ぐべきだ」。
- 加藤尚武 - 京都大学名誉教授。「家族に安楽死の決定権を委ねて、それが良識の枠組みに適っているかどうかを第三者的な機関が判定するというやり方の方が、理性的である」。
反対派
- 鎌田實 - 諏訪中央病院名誉院長。「延命治療を望むも拒むも自己決定が前提。尊厳死の法制化は時期尚早」。
- 清水昭美 - 「脳死」・臓器移植を許さない市民の会代表。「延命を中止し、早く死なせることは、本人にとって安楽で尊厳なことと言えるのか」。
- 水上勉 - 作家。「生命とは神秘なもの。それなのに周りの健康な人間が面倒がって止めるなどという事は絶対いけない」。