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TATAMIのchiのレビュー・感想・評価

TATAMI(2023年製作の映画)
4.5
試写会で鑑賞させていただきました。
震えました。世界を知る重要な一作だと思いました。「聖なるイチジクの種」の試写会の時に登壇した方が本作も併せて見てほしいと仰っていて見ましたが、本当にその通りだと思いました。本作は実際に起こった事件を描いており、作中ほぼ柔道の世界大会の一日の話です。ですが、最初のシーンからとても引き込まれ、最後まで食い入るように見ました。試合を勝ち進めれば勝ち進めるほど、窮地に追い込まれていく。あまりの緊迫感に呼吸を忘れそうになるほどでした。劇中では舞台が変わっていますが、実際には日本で開催された世界大会で起こったそうです。信じられますか。恥ずかしながら私はこのような事が起こっていたことも、イランのイスラエルボイコットとそれを拒否したらどうなるかということも何も知りませんでした。私はスポーツに縁のない人生でしたのでご本人の思いを思い計ることも難しいですが、追い詰められていく演技が凄まじく、見ている私まで苦しくなりました。上映前のトークによると、実際のご本人はこの後、ドイツ(たしか)に渡り難民チームに入った後、モンゴルが出場権を与えてくれてオリンピックにモンゴル代表として出場したそうです。勝利した時、胸元のモンゴル国旗に触り、自分を迎えてくれたモンゴルに敬意を表したそうです。この話だけで胸が熱くなりました。その後はお母さんの母国で今も活躍されているとのことです。
本作を語る上で一つ触れておきたいのが、実際には男性であった選手を本作では女性に買えていること。これはヒジャブ問題にも触れたかったということでしょうね。賛否あるかもしれませんが、作品を通して問題を訴えるという意味では良かったと思います。
イランチームの監督(この映画の監督の一人でもある)も良かったし、WJAの女性たちもかっこよかった。夫も素晴らしかったですね。

上映前に古田 英毅さん(eJudo編集長)のトークがありました。事件当日に現場で試合解説をしていた方で、当時のことを生の声で聞けて本当に貴重な機会でした。トークは上映後にすべき派ですが、今回は前知識としてトーク前に聞けて良かったです。

神楽座にて。
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