25/01/27
【2025年最新データ】国民年金・厚生年金はみんないくらもらっている?

老後の収入の柱となる公的年金。実際に「みんなはどのくらい受け取っているの?」と気になる方も多いのではないでしょうか。年金額は加入期間や収入に応じて保険料が異なるため、受給額にも個人差があり、中には月額30万円以上受け取っている人もいます。
今回は、最新データをもとに、国民年金と厚生年金の平均受給額や高額受給者の割合について詳しく解説します。さらに、年金額に不安を感じた方のために、今からできる対策についてもご紹介します。老後の生活設計を考えるうえで役立つ情報をお届けします。
年金額の決まり方を簡単におさらい
日本の公的年金は、大きく分けて「国民年金」と「厚生年金」の2種類があります。会社員や公務員の場合、国民年金と厚生年金の両方に加入しており、老後は基礎年金+厚生年金を受け取れます。一方で、個人事業主やフリーランスは厚生年金に加入していないため、受け取れるのは国民年金(基礎年金)のみとなります。
国民年金と厚生年金では、それぞれ仕組みが異なり、どのくらいの年金を受け取れるかは加入状況によって変わります。
●国民年金のしくみ
国民年金は、日本に住む20歳から60歳までの全員が加入する年金制度です。特徴として、年収に関係なく保険料が一律である点が挙げられます。受け取れる年金額は、所定の保険料を40年間(20歳から60歳まで)すべて納めた場合、2024年度の満額は年額81万6000円(月額6万8000円)です。
しかし、納付した期間が40年より短いと、その分もらえる金額が減ります。たとえば、納付期間が20年(40年の半分)なら、受け取れる年金は満額の半分、つまり年額40万8000円(月額3万4000円)となります。
●厚生年金のしくみ
厚生年金は、会社員や公務員が加入する年金制度で、給与や賞与(ボーナス)に応じて保険料が決まります。保険料は給与から自動的に天引きされ、将来の年金額も給与や加入期間によって変わります。厚生年金の金額は、おおまかに、「平均年収÷12×0.005481×加入月数」で計算されます。
日本年金機構のウェブサイトによると、給与と賞与の平均月収が43万9000円で、40年間働いた場合、毎月の年金額(厚生年金+国民年金)は約16.2万円(2024年度)となっています。
厚生年金は、高収入で長く働いた人ほど受け取れる年金が増えるしくみです。そのため、国民年金よりも個人差が大きい点が特徴といえます。
男女別・年金額の分布をチェック!
実際に年金を受け取っている人の平均年金額(月額)と受取金額の分布を以下のグラフで男女別に確認してみましょう。
2023年度(令和5年度)の「国民年金」の平均年金月額は次のとおりです。
【全体】平均年金月額:5万7584円
【男性】平均年金月額:5万9965円
【女性】平均年金月額:5万5777円
<国民年金の受取金額(月額)の男女別分布>

厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況」(令和5年度)より作成
2023年度の国民年金の満額は6万6250円でした。そのため、男女とも6万円台が多いのですが、全体の平均で見ると5万7000円台と、6万円に届いていないことがわかります。
また、2023年度(令和5年度)の「厚生年金(基礎年金を含んだ金額)」の平均年金月額は次のとおりです。
【全体】平均年金月額:14万6429円
【男性】平均年金月額:16万6606円
【女性】平均年金月額:10万7200円
<厚生年金の受取金額(月額・国民年金を含んだ金額)>

厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況」(令和5年度)より作成
基礎年金の場合、男性と女性の差は4000円ほどですが、厚生年金(基礎年金含む)の平均額は男性と女性では約6万円もの差があり、分布図からも読み取ることができます。
年金世代の年齢別・年金額の分布をチェック!
国民年金・厚生年金の平均受給金額を年齢別に見てみましょう。
<年齢別国民年金・厚生年金の平均受給金額(月額)>

厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況」(令和5年度)より作成
上記のグラフは、60歳からの年金受給金額(月額)の平均です。65歳より前に受け取る「繰り上げ受給」の場合、金額が少なくなっている様子がわかります。また、65歳以降の厚生年金額は、年齢が上がるほど増える傾向がみられます。
国民年金(5年年金を除く)の受給権者の年金受給年齢よりも前にもらう繰り上げ・受給年齢よりも後にもらう繰り下げの受給状況は、前年と比較すると以下のとおりです。
【繰り上げ率】
・2022(令和4)年度:25.7%
・2023(令和5)年度:24.5%
【繰り下げ率】
・2022(令和4)年度:2.0%
・2023(令和5)年度:2.2%
繰り上げ率は低下傾向にある一方で、繰り下げ率は上昇傾向となっています。
繰り上げ率が下がり、一方で繰り下げ率が上がっている理由としては、元気なシニアが増え働き続ける人が増えたことや、平均寿命が延びている中で「年金を繰り下げてもらう方が得」と感じる人が増えたことが挙げられるのではないでしょうか。
年金が少ない人が今からできること
将来の年金額に不安を感じている方、もらえる年金が少なくなりそうだと心配している方へ、老後の備えとして今から取り組める具体的な方法をご紹介します。
●将来もらえる年金額を確認しよう
年金額を確認することから始めましょう。50歳以上の方は、毎年誕生日ごろに送られてくる「ねんきん定期便」で、将来受け取れる年金額の目安を確認できます。50歳未満の方も、「ねんきんネット」を活用すれば、将来の年金額を試算できます。
●年金が少ないと感じたら1:年金の繰り下げ受給を検討
もし年金額が少ないと感じた場合は、繰り下げ受給を検討してみましょう。繰り下げ受給とは、65歳以降に年金の受け取りを遅らせることで、受給額を増やす方法です。2022年の法改正により、繰り下げの上限年齢が75歳に引き上げられました。
年金を繰り下げると、1か月ごとに受給額が0.7%増加し、75歳まで繰り下げれば最大で84%の増額となります(65歳時点の金額に対して)。年金は一生涯受け取れるため、老後の蓄えが少ない方や長生きリスクが不安という方は、安定した収入源を確保する手段としておすすめです。
●年金が少ないと感じたら2:働く期間を延ばす
長く働くことも、年金額を増やす有効な方法です。厚生年金は70歳まで加入可能で、加入期間が増えることで受給額も増加します。また、給与収入を得ながら働けるため、繰り下げ受給を選びやすくなります。
さらに、国民年金に未納期間がある場合は、60歳から65歳までの間に任意加入して保険料を納めることで、受け取れる年金額を増やすことができます。
●年金が少ないと感じたら3:iDeCo(イデコ)を活用して備える
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、公的年金にプラスして老後の資金を準備できる制度です。国民年金に加入している方であれば、ほとんどの方が利用可能です。毎月の掛金を積み立てて運用し、60歳以降に受け取る仕組みで、掛金や運用益が非課税となるメリットがあります。
また、2024(令和6)年12月には企業年金に加入している方でも、iDeCoの掛金上限額が引き上げられ、より多くの資金を準備できるようになりました。iDeCoの他にも、NISA(ニーサ・少額投資非課税制度)を活用して資産形成を進めるのも良いでしょう。
みんなの年金額の平均はあくまでも平均。自分がどのくらいもらえるかを把握しておくことがとても大切です。もしも年金額が少ないようであれば、年金を増やす手立てを考えましょう。具体的な行動を早めに始めて、老後の安心につながる一歩を今日から考えてみましょう。
【関連記事もチェック】
・年金受給者「確定申告不要制度」でも確定申告したほうが得する7つのケース
・「手続きしないと16万円損」年末調整ですべき5つの控除
・退職時に損しないために「絶対」確認すべき4つの手続き
・厚生年金「夫16万円・妻10万円」夫が亡くなると妻がもらえる年金はいくら?
・厚生年金で絶対やってはいけない5つのこと

舟本美子 ファイナンシャルプランナー
「大事なお金の価値観を見つけるサポーター」
会計事務所で10年、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として14年働いたのち、FPとして独立。あなたに合ったお金との付き合い方を伝え、心豊かに暮らすための情報を発信します。3匹の保護猫と暮らしています。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。FP Cafe登録パートナー

この記事が気に入ったら
いいね!しよう