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“柔和”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
にゅうわ36.7%
にうわ21.1%
おとな13.3%
やさし8.9%
おとなし5.6%
やさ4.4%
やはらか2.2%
にゆうわ1.1%
すなお1.1%
にこや1.1%
やわら1.1%
やわらか1.1%
をとな1.1%
ヤヤシミ1.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
また南洲なんしゅう自身についていえば、ようによりては外貌がいぼうおそろしい人のようにも思われ、あるいは子供も馴染なじむような柔和にゅうわな点もあった。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
痘痕あばたのある柔和にうわかほで、どくさうにわたした。がくちかないでフイとかどを、ひとからふりもぎる身躰からだのやうにづん/\出掛でかけた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
主人はあんな事を、柔和おとなしいAさんに頼んだのを後悔しはじめた。彼は下駄を突つかけて、未見の男目がけて緊張して歩いて行つた。
姉弟と新聞配達 (新字旧仮名) / 犬養健(著)
外所そとは豆腐屋の売声高く夕暮近い往来の気勢けはい。とてもこの様子ではと自分は急に起て帰ろうとすると、母は柔和やさしい声で
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
そのお話しというのは、ほんとうに有そうな事ではないんでしたが、奥さまの柔和おとなしくッて、時として大層あわれっぽいお声を聞くばかりでも、嬉しいのでした。
忘れ形見 (新字新仮名) / 若松賤子(著)
母にれ抜いた自分は、常から父をはばかっていた。けれども、本当の底を割って見ると、柔和やさしい母の方が、苛酷きびしい父よりはかえってこわかった。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ふく物事ものごと柔和やはらかにして名にし負ふ大和詞なればひとあいありて朋輩ほうばいの中もむつましく怜悧れいりゆゑわづかの中に廓言葉さとことばそと八文字の踏樣迄ふみやうまでも覺えしかば松葉屋の喜悦よろこび大方ならず近き中に突出つきだしにせんとて名を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ればさて美男子びなんしいろこそはくろみたれ眉目びもくやさしく口元くちもと柔和にゆうわとしやうや二十はたちいち繼々つぎ/\筒袖つゝそで着物ぎもの糸織いとおりぞろへにあらためておび金鎖きんぐさりきらびやかの姿なりさせてたし流行りうかう花形俳優はながたやくしやなんとしておよびもないこと大家たいけ若旦那わかだんなそれ至當したうやくなるべし
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それに気質きだてがまことに柔和すなおで、「綺倆きりょう千両、気質が千両、あとの千両は婿次第」と子守女が唄うている位で御座いました。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
柔和にこやかに笑顔を見せて、黙って、手招ぎして来い来いと言うのであります。
嵐の夜 (新字新仮名) / 小川未明(著)
柔和やわらかなちっとも気取きどりっけのない四十ぐらいな——後で聞くと主人だそうで——質素な男が出迎えて、揉手もみでをしながら、御逗留ごとうりゅうか、それともちょっと御入浴で、といた時、客が、一晩お世話に
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と云いながら、雲は無いがなんとなく不透明ふとうめいな白みを持っている柔和やわらかな青い色のそらを、じーっとながめた。
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
おもみちは一すぢなれと夏引なつびきの手引てびきのいとみだれぐるしきはこひなるかや優子ゆうこ元來もとよりさいはじけならず柔和をとなしけれど悧發りはつにてもの道理ことはりあきらかに分別わきまへながららきはれぬむねくもにうつ/\として
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
二歳ふたつ年齡としから十六歳じふろくになるまで何度見たか知れないこの海を、わたしは畢竟ウヂケデ空虚ボヤラと見て居たのだ。そこの表情には春、雪解けの野原で銀色の草の若芽モエを喰ふ牛のハダ柔和ヤヤシミがある。
地方主義篇:(散文詩) (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)