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2024.09.28

「富士の樹海」でぶら下がる「キリンさん」…《負の名所》に20年以上通い続ける男が目撃した「悲しき姿」

日本一の高さを誇る名峰・富士山。この山の北西麓には、およそ4キロ四方にわたって手付かずの原生林が広がっている。

青木ヶ原樹海——通称「富士の樹海」だ。散歩や洞窟散策を楽しめる観光地の側面もあるが、いつからか自殺スポットとして全国に知れわたり、いまもここを訪れる自殺“志願者”は後を絶たない。

そんな“負の名所”に20年以上通い続けるルポライター・村田らむさんが『樹海怪談』を上梓した。

本書に心霊現象の類は一切出てこない。代わりに多く登場するのが、樹海巡りをするなかで発見した亡骸や生前を物語る遺留品だ。村田さんは自死を遂げた者の結末を淡々と描写していく。その生々しさには思わずゾクっとする。

今回、青木ヶ原樹海で数多の死を目撃してきた村田さんにインタビューを実施。禍々しい森のリアルを聞いた。

死体を見たらどうなるんだろう…

「僕、27歳のときにライター業を始めたんです。でも、もともとイラストレーターだったのでコネもなにもなくて。そんな人間でもすぐに取材できるテーマってなんだろうと考えたとき、行き着いた答えのひとつが青木ヶ原樹海だったんですよ。とりあえずそこに行けば、なにかしらネタがあるじゃないですか」

自身のキャリアをそう振り返るのは、ルポライターの村田らむさん(52)だ。ただ、その頃のテーマは樹海にまつわる都市伝説の検証などがメインで、現地で死体を見つけた経験は一度もなかったという。

ルポライターの村田らむさん/編集部撮影
 

「もちろん、見てみたいという気持ちはありましたよ。ただ一方で、当時は恐怖心もあったと思うんです。もしこの目で死体を見たら、自分のなにかが大きく変わってしまうじゃないかって」

村田さんが初めて樹海で死体を発見したのは2011年。「キノコの写真を撮りたい」という知人のイラストレーターを案内したときだった。お目当てを見つけた知人が夢中でカメラのシャッターを切る横で、村田さんはうっそうと茂る木々を撮影していた。

「森を見ていたら急に違和感を覚えたんです。どうやら遠くに水色のなにかが浮いている。心臓の鼓動が一気に早くなったのがわかりました。興奮と不安が入り混じったような感覚です」

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