潮目を変えた「たかが選手が!」発言
今から20年前、2004年に巻き起こったプロ野球の「球界再編騒動」を、覚えている方も多いだろう。「2リーグ制・12球団」体制を、2球団減の「1リーグ制・10球団」に変えるという構想への反発は激しく、日本プロ野球選手会・古田敦也会長(ヤクルトスワローズ)のもとで、日本プロ野球で唯一のストライキ(試合拒否)が行われたことは、いまも記憶に新しい。
当時は、古田会長が球団経営陣に直接交渉を求めた際に、とあるオ-ナーが放った、
「無礼な!分をわきまえなきゃいかんよ。たかが選手が!」
という発言が野球ファンの怒りを呼び、翌日から報道各社で大きく扱われた(なぜか1社だけ、記事が極端に少ない)。
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対話姿勢をないがしろにされた選手会側への同情が、巨大な世論のうねりとなり、再編は頓挫。結果として、楽天ゴールデンイーグルスが新規参入、大阪近鉄バファローズがオリックスバファローズと合併・解散というかたちで、12球団体制が維持され今に至る。
ただ、再編を促した経営者側にも事情があった。当時のプロ野球界の経営状況は、セ・リーグが「1試合1億円」とも言われる読売ジャイアンツ(巨人)の放映権料頼み。パ・リーグは巨人戦の放映権料を得られないため、恒久的に赤字が続いていたのだ。
根本的な問題である「パ・リーグ不採算問題」。各球団の経営はいまもなお決して楽とはいえないが、セ・リーグと違う形での施策が実を結び、各球団とも黒字転換、もしくは採算ラインに近い状態を続けている。
球界再編問題を機に、パ・リーグはどのような経営改善を行ってきたのか。連盟歌「白いボールのファンタジー」に「我らのパシフィックリーグ」とうたわれたパ・リーグは、いかにして守られたのか。それぞれの取り組みを見てみよう。