本誌は再び、6名の識者に日本の有力企業342社の先行きを分析してもらった。結果をまとめたのが、前回記事『日産やフジテレビの凋落を予言!10年前に予想した「10年後に大きくなる会社」の答え合わせをしてわかった「衝撃の結果」と「今後の10年間」』の表だ。
【一覧】これから10年後に大きくなる会社、小さくなる会社【全342社】
日本のお家芸、自動車産業
この国の先行きを占う上で重要なのが、お家芸とも言える自動車産業だろう。これまで世界で急速に普及してきたEV(電気自動車)が頭打ちとなり、トランプ大統領がEVへの補助金を打ち切る構えを見せていることから、波乱が予想される。
「ガソリン車やHV(ハイブリッド車)、EVに水素燃料車まで全方位戦略を敷いているトヨタ自動車だけは、粛々とトレンドの変化に対応し、現状を維持できるのではないか。
ただ、それ以外は厳しい。日産自動車はゴーン氏の失脚後、売れる車を作れていない。構造的な問題で成長力を失う10年になるでしょう。その日産と将来的な経営統合を発表した本田技研工業(ホンダ)も、シナジー(相乗効果)はあまり見えない。
一方、鈴木修相談役が亡くなった軽自動車のスズキは、インドという成長性のある市場を抱えています。今後は同地でEVも作っていくでしょう。国内を見ても、高齢化や貧困化で軽自動車のニーズは増すはずです」(経営コンサルタントで明治大学国際日本学部教授の小笠原泰氏)