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「オリンパスで終わりではない」---あのFACTA発行人阿部重夫氏が警鐘を鳴らす日本企業にはびこる「損失先送りの遺伝子」

 新聞・テレビなど居並ぶ大メディアを尻目に、発行部数2万部に満たない月刊誌がぶっちぎりの独走を続けている。オリンパスの巨額損失隠し事件である。粘り強い取材を続けてきたフリージャーナリストの山口義正氏(https://gendai.media/articles/-/23598)に、当代随一の金融通である阿部重夫FACTA発行人が加勢。わずか2人で掘り起こしたFACTA(http://facta.co.jp/)のスクープに世界の主要メディアの記者たちも舌を巻いている。

阿部重夫氏

「どうせすべて内部告発だろう」と事情通はしたり顔で言う。だが現実は大きく違う。日本企業に脈々と流れる損失先送りの"文化"に目を凝らし続け、企業に巣食う金融界の悪しき遺伝子を追い続けてきたジャーナリストの継続性と粘り強さの賜物なのだ。それは近年、霞が関や捜査当局のリークへの依存度を高めている大メディアの取材力の劇的な低下と裏腹でもある。

「オリンパスで終わりではない」と断言する阿部氏は、オリンパス事件が発する日本企業や大手メディアに対する警鐘に耳を傾けるべきだ、と語る。

 ---FACTAの12月号で、オリンパス事件の全容がほぼ解き明かされています。

阿部 1990年代始めの、特定金銭信託(当時の代表的な運用商品)で抱えた損失を今まで抱え続けていたというのは驚きですが、この20年間に企業や金融機関が引き起こした金融がらみの不祥事とまったく同じ構図です。デジャヴですね。

 ---根っこが一緒だと。

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阿部 すべては1992年8月に宮澤喜一首相の下で発表された「金融行政の当面の運営方針」が始まりでした。バブルの崩壊で金融機関や企業は多額の損失を抱え込んだわけですが、宮澤首相は事態を重く見て、金融機関に6000億円の公的資金を注入することを検討しました。一気に処理をしようとしたわけです。

 ところが当時の三菱銀行の幹部など大手金融機関がこぞって反対し、この案はひっくり返ってしまいます。この瞬間、金融機関の損失処理は先のばしとなり、相手先である企業は含み損を抱えたままになったのです。

 ---損失処理の先送りの始まりですね。

阿部 不動産や株式などで抱え込んだ含み損を表面化させずに持っていれば、何年かすれば価格が上がって損が消えるのではないか、と淡い期待を抱いたわけです。しかし、1994年、95年と時を経ても、地価は戻らず、株価も一向に上がらなかった。96年の住専(住宅専門金融会社)国会あたりから、ようやく損失の処理が動き出します。

 ---ところが、さらに処理を先送りした企業もあった。

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