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11月15日午前12時、予定より53分も遅れて、人民大会堂の東大庁に、お目当ての男がのっしのっしと現れた。習近平・新総書記兼新軍委主席(59歳)である。「譲大家久待了!」(皆さんお待たせしました)という野太い声が、第一声だった。
縒れた深紅のネクタイは、自身が主催した初の重要会議を終えて、そのまま駆けつけたことを意味した。また、中国のトップとして、初めて標準中国語を話したのも新鮮だった。振り返れば、毛沢東は湖南訛り、鄧小平は四川訛り、江沢民は揚州訛り、胡錦濤も江蘇訛りがそれぞれ激しかった。純粋な北京育ちの「皇帝様」は、習近平が初めてなのだ。
中国中央テレビが「アメリカ人は夜更かしし、ヨーロッパ人は早起きして、世界中が注視している」ともったいをつけて報じた習近平の20分に及ぶ初演説は、一言で言えば、毛沢東がマルクスのもとから這い出て来たような内容だった。
11月8日に胡錦濤・前総書記(69歳)が行った政治報告では、「改革」という言葉が80回も連発された。ところが、習近平の演説には、一回も出てこなかった。代わりに、短い演説の中で「人民」という言葉を18回も連発した。「為人民服務」(人民に奉仕する)、「中国的人民是偉大的人民」(中国人民は偉大な人民である)という調子だ。つまり、鄧小平が始めた改革開放をすっ飛ばして、毛沢東語録に先祖帰りしているのだ。
日中関係はきわめて難しい時代を迎えた
中でも、非常に印象的だったのは以下のような言葉だ。
< 近代以降、我人門的民族歴経磨難。中華民族到了最危険的時候。自那時以来、為了実現中華民族的偉大復興、無数仁人志士奮起抗争、但一次又一次地失敗了。中国共産党成立後、団結帯領人民前人ト後継、頑強奮闘、把貧窮落後的旧中国変成日益走向繁栄富強的新中国 >
(近藤訳:近代以降、わが民族は艱難辛苦を経験し、中華民族は最も危ない時期に至った。その時以来、中華民族の偉大な復興のため、無数の仁徳者や志士たちが奮起し抗争を起こしたが、失敗の連続だった。だが中国共産党成立後、団結して人民の前途後継と頑強なる奮闘を導き、貧窮し落伍した旧い中国を、日進月歩で繁栄と富強に至る新中国へと変えた)