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「金食い虫」「非現実的」などの批判を浴び、紆余曲折のあった新国立競技場の設計案の見直しが最終局面を迎えている。下村博文・文部科学相は、22日の定例記者会見で、建築家の槇文彦氏らのグループが示したデザイン見直し案に対し、「謙虚に耳を傾けたい」と発言した。
ただ、既に決定している英国の女性建築家、ザハ・ハディド氏の設計案を「白紙にして全部やり直すわけではない」と、強調しており、迷走を際立たせたが、タイムリミットは迫っている。こけら落としとなるのは、2020年東京オリンピックではなく、19年開催予定のラグビーワールド杯。工期から逆算すれば、ゼネコンとの契約は、今年7月初旬がデッドラインとなる。
日本の国力低下の象徴
威信をかけた国家プロジェクトの成功へ向けて、もう後がない文部科学省は、500億円の負担金拠出を渋る東京都との交渉を後回しにして、業者との契約を優先させる。日本の国力低下を象徴するようなもたつきぶりだが、始まれば一丸となって、世界に「日本の納期を守る誠実さと、高度で精緻な技術力」をアピールできるのか。
実は、それが心もとない。