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トランプとプーチンにナメられて…安倍官邸「大パニック」実況中継

外務省と経産省が「責任のなすり合い」

天国から地獄へ——ほんの数日前に「トランプに会った唯一の首脳」ともてはやされた安倍首相の外交戦略が、一瞬にして頓挫した。そのとき、首相官邸で起きていたことは。内実をレポートする。

赤っ恥をかいた安倍首相

「まさに、青天の霹靂だった。トランプは、何てことをしてくれたんだ。ブエノスアイレスで一報を聞いた(安倍)総理の顔は引きつり、言葉も出なかった……」

こう証言するのは、ある外務省関係者だ。

日本時間の11月22日午前7時19分、安倍晋三首相がブエノスアイレスで、ニューヨークの「トランプタワー」訪問、ペルーでのAPEC(アジア太平洋経済協力会議)、アルゼンチン公式訪問を総括する記者会見に臨んだ。

安倍首相は、「APECは30年近く前に日本が提唱して始まった」と前置きして、今回の成果を誇らしく述べた。

「決して内向きになってはいけない。それが今年のAPECの最大のテーマだった。TPP(環太平洋パートナーシップ協定)は、そうした自由で公正なルールに基づく経済圏を太平洋に創り上げる野心的な挑戦であり、TPP首脳会合では、すべての参加国がその挑戦をやり遂げる決意を改めて共有した」

質疑応答で、NHK記者から、「トランプ氏はTPPからの離脱を言っているが」と水を向けられると、安倍首相は強気の表情で、「TPPは米国抜きでは意味がない」と言い切ったのだった。

同行記者が語る。

「総理は、南米訪問の途中でニューヨークに立ち寄り、トランプ次期大統領と1時間半も会談したことが、自慢でならなかった。それでAPECでは、各国首脳と話すたびに、『私は数日前に、トランプとじっくり語り合ったんだけどね』と、もったいをつけていました。

すると、どの国の首脳もトランプ氏と会ったことがないため、熱心に耳を傾けた。安倍総理は21ヵ国・地域の首脳の中で、すっかり主役気分だったのです」

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ところが、である。安倍首相の記者会見が終わったのが、日本時間で午前7時43分。それからわずか18分後に、トランプ次期大統領は、ビデオメッセージを発表し、こう言明したのだ。

「わが国に災厄をもたらす恐れがあるTPPからの離脱の意思を通告する」

前出の同行記者が語る。

「APEC首脳会議の合間に、安倍総理が主導する形で、TPP参加国12ヵ国の首脳を集めて会合を開きました。その際、トランプ氏と会談をした安倍総理が自信満々だったため、参加した首脳たちは、『もしかしたらアベは、トランプ説得に成功したのでは』と、期待感を強めていたのです」

それが記者会見の直後に、トランプ次期大統領から正反対のメッセージが出たのだから、安倍首相は、すっかり赤っ恥をかいてしまった。日本の首相も、ナメられたものである。

〔PHOTO〕gettyimages

外務省の「2大戦犯」

前出の外務省関係者が告白する。

「実は安倍総理とトランプ次期大統領との会談の中で、トランプ氏の長女のイヴァンカさんから抗議を受けた。彼女は、日本のメディアがこぞって『駐日大使に起用』と報道したことに憤慨していたのだ。

トランプ氏がわざわざ安倍総理に恥をかかせるようなタイミングでビデオメッセージを公開したのは、長女に恥をかかせたことへの意趣返しではないか、とうがった見方をする関係者までいます」

この安倍・トランプ初会談の中身については、日米双方とも、「非公開だ」として、箝口令が敷かれている。

実際にはTPPに関して、何が話し合われたのか。前出の外務省関係者に改めて聞くと、重い口を開いた。

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