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日本人の15%、与党支持者の3割が「民主主義は大事じゃない」と思っている…驚きの調査結果

秦 正樹 プロフィール

実験のデザイン

以上の点を明らかにするため、筆者らは、2022年2月18日から22日にかけて、楽天インサイトの登録モニター2802人を対象にWEB調査を行った*2。なおこの調査では、調査対象が日本の縮図となるように性別・世代・地域ブロックを国勢調査に基づいて割り付けて配信した*3

以下の内容は、やや専門的になるので、理解できる範囲内で読んでいただいて構わない。本実験では、回答者を三つのグループ(統制群・処置群1・処置群2)に無作為に割り当てて、次に示す質問を回答してもらった*4

<質問文>
以下に示す三つの内容のうち、あなた自身にあてはまる項目はどれくらいありますでしょうか。あなた自身にとって「該当する項目の数」と「該当しない項目の数」のそれぞれの個数について教えて下さい。 (それぞれの内容について個別にお答えいただく必要はありません)

<全実験群で提示する意見リスト>
1. 公共交通機関を利用する際は、いつもマスクを着用する
2. 喫煙禁止区域で喫煙している人には、いつも注意をする
3. 私の自認する性は男である

<処置群で加える意見>
4. 処置群1:日本が民主主義であることはさほど重要ではない
5. 処置群2:今の日本には中国のような強権的な政治の仕組みが必要だ

統制群では1〜3の三つの意見リスト、処置群1・2では、1〜3に4(処置群1)または5(処置群2)の内容を加えた計四つの意見リストを示し、該当項目「数」を回答してもらった。

このように、個別に賛否を答えるのでなく、その「数」だけを答えてもらうリスト実験は、直接的には答えにくい類の内容(質問)でも、より「ホンネ」を掴むことができる(Song・秦、2020)。

 

とりわけ、民主主義が「唯一のルール」となっている日本では、公に、民主主義に否定的だとは言い出しにくい雰囲気があると考えられる。それゆえ、「日本において民主主義はさほど重要でないと思うか」と直接に尋ねても、本当の気持ちを答えてくれない可能性が高い(社会的望ましさバイアス)。リスト実験は、こうしたタイプの内容を検討する上で、極めて有効なツールとなる。

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