ウィークリー・フィリピンレポート記事 20250206
フィリピンは米中貿易戦争の影響を受け、輸出志向の企業にとって新たな投資先となる可能性があります。米国は2月6日、中国からの輸入品に対し追加関税10%を課し、一方でメキシコとカナダに対する高関税の適用を30日間延期しました。これに対し、中国は米国産の石炭や液化天然ガスに15%、原油や農業機器、自動車などに10%の報復関税を発表し、2月10日から適用するとしています。
米国が関税を引き上げることでこれらの国々の製品が高くなり、米国の輸入業者が代替供給国を探す可能性が出てきています。フィリピンが競争力のある製品を提供できれば、輸出の機会が拡大する可能性があり、フィリピンは中国を輸出拠点としていた企業の受け皿になれる可能性があります。米国の関税政策を回避するために、多くの企業が新たな生産拠点を探しており、労働力の供給が豊富なフィリピンは好機を生かすべきだとの考え方です。一方で、貿易の相互依存関係を考えると、米国の関税引き上げが間接的にフィリピン経済にも悪影響を及ぼす可能性も指摘されています。
アテネオ・デ・マニラ大学のフィリップ・トゥアノ経済学教授は、自動車部品、石油化学製品、コンピューター、携帯電話などの分野で米国の関税が大きな影響を与えると指摘し、フィリピンがこれを活用できると述べました。特に、フィリピンは自動車部品の主要輸出国の一つであり、中国から撤退する企業を誘致できる可能性があります。さらに、電子部品も米国が代替供給元を求める分野であり、フィリピンの輸出拡大が期待されています。また、日本や韓国の自動車メーカーや部品供給企業に対し、フィリピンへの投資を促進すべきだと述べています。
国連貿易統計(UN Comtrade)によると、2023年の米国の主要輸入品は、自動車、携帯電話、コンピューター、自動車部品、石油化学製品であり、これらの分野でフィリピンが貿易拡大の機会を得る可能性があります。しかし、フィリピンはインフラ整備や物流効率の向上が課題であり、グローバルサプライチェーンへの参入を強化するためには、労働力のスキル向上も必要とされています。
アテネオ・デ・マニラ大学のレオナルド・ランゾナ教授は、現在の状況をフィリピンの貿易政策を見直す機会と捉えるべきだと述べました。フィリピンが比較優位を持つ製品を特定し、それに特化する戦略を立てるべきだと提案しました。また、デジタル化や気候変動対策、グローバルバリューチェーンへの参画を考慮した包括的な戦略を策定することが重要だと強調しました。
また、米国がカナダ、メキシコ、中国に対し関税を引き上げることで、世界的なインフレ圧力が高まる可能性があります。関税による価格上昇が広範囲に及べば、米国の金利上昇を引き起こし、外国為替市場にも影響を与える可能性があり、その結果、フィリピンを含む多くの国で金利が上昇し、世界経済の不確実性が高まる可能性があるのです。
フィリピンの2024年の年間貿易収支は前年比3.1%増の542億1,000万ドルの赤字となり、フィリピンの貿易赤字の増加が続いていることを示しています。2024年も米国はフィリピン製品の最大の輸出先であり、輸出総額は121億2,000万ドルで、全輸出の16.6%を占めました。
先月、セフェリノ・ロドルフォ貿易次官は、フィリピン政府が米国との二国間自由貿易協定(FTA)の締結を積極的に推進すると発表しました。トランプ政権下ではこの協定が実現しやすくなると見込んでおり、トランプ大統領もフィリピンとのFTA締結への関心を歓迎していると述べました。
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