会員制リゾートホテル事業をはじめ、ゴルフ、メディカル、シニアライフ事業などを手掛けるリゾートトラストは、2024年6月に賃金改定を実施しました。
今回実施された給与更改は、2023年6月に続いて2年連続、かつ前回実績を上回る、平均5.3%の賃上げ(ベースアップ・定期昇給)であり、同改定により大卒初任給は会員権販売営業職が26万円、ホテル総合職23万0100円。加えて、各職種において共通となる福利厚生に関する平均補助額を加味すると、会員権販売営業職は月額約30万円、ホテル総合職は、同28万0100円となるもようです。
また、賃上げ以外にも、職場環境の整備面では、年間休日120日に加え、衣・食・住・資産形成・余暇充実などに関する福利厚生(寮・社宅・従業員食堂・カフェテリアプラン・持株会など)で年間34億円規模(2022年度実績)に及ぶ投資を実施しました。
賃上げの理由について、同社は「社員の働きがいと働きやすさを追求するための人的資本投資の一つ」としており、社員の働きがいと働きやすさを最大化していくための各種取り組みによって「誰もが働きたくなる会社No.1」となることを目指すとしています。
2024年3月には、同社の社員持株会へ入会している社員を対象に、1人当たり50株の自己株式給付を実施しています。株式付与により社員の資産形成支援を行うとともに、会社への興味・関心を更に高め、経営への参画意識を醸成したい考えとしており、同取り組みに伴い、社員持株会への加入率は43%(施策実施前比2.7倍)と大きく上昇したもようです。
単純な賃上げだけではなく、最近では自社株式の給付などを行う企業も増えてきているように思います。会社の株を保有していると社員の定着率にも好影響があると思われますし、どの企業も人手不足で人材確保が難しくなっているといわれるなか、賃上げの部分以外で、こうした取り組みがさらに広まってくるかもしれません。
さて、そんな同社ですが、平均給与についてはどうなっているのでしょうか。有価証券報告書によれば、同社の24.3期の平均年間給与は615万円となっています。国税庁が発表している令和4年分の民間給与実態統計調査によれば、日本全体の平均給与は458万円となっていますから、これよりは高い水準です。
また、直近5期分の推移をみると、2020年3月期が533万円。2021年3月期が507万円。2022年3月期が538万円。2023年3月期が583万円でした。2021年3月期こそコロナ禍の影響などもあり減額となっていますが、同期以外ではすべて増額。2024年3月期と2020年.月期を比較すると13%以上、平均給与が伸びていることになります。
同様に従業員数の推移をみると、2020年3月期が5473人。2021年3月期が5498人。2022年3月期が5275人。2023年3月期が5268人。2024年3月期が5741人となっています。こちらもコロナの影響を受け、へこんだ時期もありますが、直近では増加に転じています。
さらに、前述したように2024年6月から5.3%の賃上げが実施されることで、2025年3月期はさらに平均給与の上昇が見込まれます。従業員についても、賃上げや株式付与などの取り組みにより定着率が上昇し、勤続年数が伸びていくことで、人手不足の中でも人員を確保することができるでしょう。