ビジョンファンドでリストラ実施か
ソフトバンクグループが、ビジョンファンドの人員を最大で2割以上削減する方針だと、米ブルームバーグ通信が報じました。
孫正義社長は創業以来最大の赤字を計上した1Q(4-6月)の決算説明会で、大規模な人員削減の実施を表明していましたので、意外感はありません。ですが、記事によると、削減規模について議論を行っており、最大で5割近くの削減が必要だとの声もあると関係者の1人は述べたとしています。主な対象地域は英国や米国、中国で、早ければ今月中に詳細が決まる可能性があるもようとのことです。
ソフトバンクビジョンファンドの従業員数は約500人だということで、このうちの半分というと250人以上ということになりますね。ちなみにファンドを運営するソフトバンクグループの従業員数はここ数年、200人から250人前後で推移しています。
直近の23.3期1Qで約3.2兆円もの最終赤字を計上したビジョンファンドのリストラを行うというのはわかる話ではあります。直近ではラジーブ・ミスラ氏が副社長執行役員を8月末で辞任するなど、厳しい局面を迎えていると言えそうです。
そんなソフトバンクグループですが、従業員の給料はどの程度なのでしょうか。平均給料は年間1000万円超の水準。直近の22.3期では1322万円。その1期前21.3期は1405万円と非常に高額です。
給与が高くなるのは、同社が純粋持ち株会社であることが要因です。同社に限定するわけではありませんが、一般的に持ち株会社は管理部門の従業員のみが在籍しており、事業部門を含む会社に比べて平均年収が高くなる傾向があります。
同社の場合も、例えばビジョンファンドの従業員とソフトバンクグループという持ち株会社の社員は別です。もちろん傘下のソフトバンクやヤフーといった会社の社員もソフトバンクグループの社員には含まれません。また、社員の平均年齢も40歳台と比較的高めの水準であり、これも平均給与が高めの要因だと言えるでしょう。
黒字も赤字も額が桁違いのソフトバンクグループですが、給与自体はそれに比べて、安定しています。このことから基本給の割合が高く、業績連動の部分が小さいことが推測できます。投資事業を担当しているビジョンファンドの人員は、もしかしたら業績連動の部分が大きいのかもしれませんね。
平均給与が高いとは言いましたが、日本を代表する規模の企業でもあるソフトバンクグループの社員としては、1300万円前後の給与が高いといえるかどうかは意見がわかれるかもしれません。直近の22.3期の有価証券報告書から調べる限り、1300万円台という数字は日本企業のトップ10に入れない水準です。
これは平均給与には役員報酬が含まれないから、という面もあります。役員報酬の額でいえば、ソフトバンクグループは日本でも最高クラスです。22.3期の役員報酬は孫正義社長が1億円。実はこれが一番低い額で、ソフトバンクの宮内氏は5億円超、ZHDの川邊氏は3億円超の高額報酬となっています。前述したラジーブ・ミスラ氏は過去には16億円もの報酬を受け取っていた年もあります。そう考えると同社はやはり日本有数の高給与企業と言えるかもしれませんね。