日曜日の就寝直前から腹部に違和感を覚え、ほとんど一睡もできないまま月曜日を迎え、結局、1週間丸ごと無駄にしてしまった。副鼻腔炎などから連鎖する胃腸炎だ。年に1度あるかないか程度の頻度で起こる、私にとっては常在のアクシデントだ。
軽く吐き気を催す感覚が付きまとうものだから、常に意識の何割かが消費されてしまう。つまり、いつも以上に物事をよく考えられなくなる。
弱り目に祟り目、そのようなときにトラブルは起こるもので、PCの電源が入らなくなってしまった。ある程度、症状の落ち着いた水曜日に、交換用の電源を注文したのだが、全く考えが至らなかったのは、「PCの電源が入らない→電源の故障」と早合点する前に、確認すべきことがあったからだ。
この投稿は、その反省を兼ねた、本来ならこうすべき、というまとめだ。
PCの電源ボタンを押しても、PCの電源が入らない。パワー・ランプも点灯しなければ、ファンも回転しない。そのような状況で、直感的に電源装置の故障を疑うのは理解できる。つまりマザーボードまで電気が届いていないわけだし、電気を供給しているのは電源装置なのだから、電源装置に異常があるのだろう、と考えるだ。
とはいえ電気以前に、スイッチの切り替えがマザーボードに伝わっていない可能性もあるわけだから、次の順番で異常を疑うべきなのだ。
スイッチの異常
まず確認するのが、PCの電源ボタンからマザーボードに搭載されているパネル・ヘッダーまでの結線だ。パネル・ヘッダーとは具体的には、下図のようにピンの集まった接続部位だ。下図では、電源ボタンは、真ん中の縦2本(上下の列ともに、左から3番目)に該当する。
YouTubeなどの自作PC動画で、パネル・ヘッダー上の電源ボタンに該当する箇所を、マイナス・ドライバーなどで軽く触れて(ショートさせて)、PCの電源をオンにすることがある。同じことを試してみて、もしPCの電源をオンにすることができたなら、電源スイッチから配線のどこかに異常があることになる。
- 電源ボタン自体の破損
- 電源ボタン・ケーブルの断線
- パネル・ヘッダーとの接続不良
接続不良対策
パネル・ヘッダーとの接続は、1本ピン、2本ピン単位の接続ばかりなので、細かく、気を使うし、十分に押し込みにくい。直接、マザーボード上のピンに繋ごうとするから難しいのであって、手元で繋げられるならば楽に対応できるのだ。そして、そのようなお助けアイテムがある。例えば、このような製品だ。
手元で作業できるので楽、何よりイライラが軽減されるのが良い。このような部品を同梱しているマザーボードもあると聞く。本来、このような部品は、あらゆるマザーボードに添付してよいのではないかと思うのだが、このような部品を使うから、接続不良のリスクが増大する、と言う考え方もあるので、一応触れておく。
つまり1本ピン、2本ピン単位の接続不良は、このようなコネクタ上でも発生することに変わりはなく、加えてコネクタとマザーボードとの接続不良のリスクも加わる、と言うことだ。
とはいえ、作業がもたらすイライラを軽減できると思えば、十分なトレードオフになる、と私は思う。
応急措置はリセット・ボタン、スリープ・ボタンの転用
接続不良ならば、接続し直せば済むことだが、ボタンの破損、ケーブルの断線は少々厄介だ。腕に覚えのあるユーザーなら、ケーブルを取り換えることもできるだろうが、PCケースの電源ボタンの結線を取り換えられるユーザーは限られるだろう。
だからと言って、この程度の問題でケース丸ごと交換するのも躊躇われることだろう。
そのようなユーザー向けの応急措置は、リセット・ボタン、もし存在するならスリープ・ボタンを電源ボタンとして代用することだ。つまり、先に触れたパネル・ヘッダー上の配線について、リセット、スリープの一方を、電源ボタンの位置につなぎ変えるのだ。プラス、マイナスのピンが整合していれば、それらは電源ボタンとして機能する。
当然、リセットなりスリープなり、代用した方の機能は失われる。スリープ・ボタンを備えていないケースであれば、リセット・ボタンを転用せざるを得ず、そうなるとリセット機能が失われてしまうので、あくまでも応急措置である。
電源の異常
電源ボタンからパネル・ヘッダーまでの経路に問題がなければ、次に疑わしいのが電源装置自体の異常だ。
とはいえ、電源ボタンとマザーボードは機能する前提があるのだから、電気が到達しているならば、少なくとも電源装置のファンくらいは回転しても良さそうなものだ。ここでも同様に問題を切り分けできる。
- 電源装置自体の破損
- 各ケーブルの断線
- マザーボードとの接続不良
電源装置自体の破損を検証するには、ペーパークリップ・テストを実施するのが手っ取り早い。電源装置のマニュアル、あるいはサポート・サイトにやり方が紹介されていることだろう。
電源ケーブルとマザーボードを接続するメイン・ケーブルの、指定されたピンを、ほどいたペーパークリップでショートさせた状態でコンセントにつなぐと、電源装置のファンが回転するのだ。
もしファンが回転したなら、次は各ケーブルの断線を疑うことになるのだが、これをユーザー自身で対応するにはテスター*1が必要だ。もし電源装置の保証期間ならば、この時点でサポートへ連絡するのが良いだろう。
仮に特定ケーブルの断線だったとして、プラグイン対応の電源装置であれば、特定ケーブルの買い替えだけで済むかもしれないが、装置直結の場合は、そのようにはいかない。加えて、ケーブルの断線ではなく、装置側のケーブル接続基部に異常もあり得る。いずれにせよ、サポートを依頼するか、電源を買い替えるかを迫られることになるのだ。
電源装置を買い替えるにしても、ここまで対応した上でのことならば、諦念を伴いながらも、納得もできるのではないだろうか。