出典: フリー多機能辞典『ウィクショナリー日本語版(Wiktionary)』
- (東京式) たいへん [tàíhéń] (平板型 – [0])
- IPA(?): [ta̠ihẽ̞ɴ]
大変 (たいへん)
- 重大な事件。
- 凡天下の大変ある時は、霊仏霊社の回祿定れる表事也(『太平記』)
- ここに思ひもよらぬ大変が起つたと申すは、一夜の中に長崎の町の半ばを焼き払つた、あの大火事のあつた事ぢや。(芥川龍之介『奉教人の死』)
大変 (たいへん)
- 物事が深刻であること。大いに困ること。
- 京都へ来て叡山が見えなくなっちゃ大変だ(夏目漱石 『虞美人草』)
- 「先生、坊やが……」/「え?」/「坊やが……大変な……」/「何?」/「大変なことをしまして……」/「悪くなった?」/「いえ、先生が、お忘れになった、この、大切な御道具をこわしたので御座います」(w:小酒井不木 『初往診』)
- 苦労などが甚だしいこと。実現することや対処することが困難なこと。
- 中谷孝雄氏の「春の絵巻」出版記念宴会の席上で、井伏氏が低い声で祝辞を述べる。「質実な作家が、質実な作家として認められることは、これは、大変なことで、」語尾が震えていた。(太宰治 『思案の敗北』)
- 程度がはなはだしいこと。
- 「何しろ金沢町の居廻りは、薄寒いのに夕涼みの人通りで大変な賑いだ」(野村胡堂 『銭形平次捕物控 恋患い』)
- この吉田の父が辞める時に、退職金に千両くれたんだそうです。その頃の千両といえば大変なもんでしょうからね。(吉田茂 『私は隠居ではない』)
- 其頃は今より市中は電灯が暗くて月が大変に明るかつた。(川端茅舎 『夏の月』)
活用と結合例
各活用形の基礎的な結合例
意味 |
語形 |
結合
|
推量・意志 |
大変だろう |
未然形 + う
|
過去・完了 |
大変だった |
連用形 + た
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否定形 |
大変でない |
連用形 + ない
|
自動詞化 |
大変になる |
連用形 + なる
|
言い切り |
大変だ |
終止形のみ
|
名詞化 |
大変なこと |
連体形 + こと
|
仮定条件 |
大変ならば |
仮定形 + ば
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様態 |
大変そうだ |
語幹 + そうだ
|
- 語義1
重大, 深刻, とんでもない, ゆゆしい
大変 (たいへん)
- 非常に。大層。
- 何も貸せと云った訳ではない。向うで部屋へ持って来てお小遣いがなくてお困りでしょう、お使いなさいと云ってくれたんだ。おれは無論入らないと云ったが、是非使えと云うから、借りておいた。実は大変嬉しかった。(夏目漱石『坊っちゃん』)