障害者向けの求人というと一昔前は、事務・軽作業が一般的でした。今は募集時に職種を限定せずに、応募者の専門性を生かせるポジションへ企業が配置を検討するオープンポジション求人での転職成功が増えています。3名の事例付きでご紹介します。
雇用障害者数は14年連続過去最高を更新
内閣府「平成30年版 障害者白書」によると、平成29年6月1日時点で民間企業の雇用障害者数は14年連続過去最高を更新しているそうです。
雇用障害者数は全体で49.5万人(前年同月47.4万人)、とくに精神障害者は5万人(前年同日4.2万人)と約1.2倍と伸び率が高く着地。2017年4月より、精神障害者における企業の雇用率の引き上げがされたため、今後ますます拡大していくことが推測されます。
また、企業規模別では大企業ほど雇用率が高く、企業規模1,000名以上の1社あたりの障害者雇用率は2.16%となり、この数字は50~100名未満規模の雇用率1.6%の約1.3倍となります。
求人は「専門性を生かせる職種」が増えています
障害者向けの求人というと一昔前は、以下のような内容が一般的でした。
- 一般事務
- 庶務的な事務
- 軽作業
しかし、障害者雇用率が上がってきていることに伴い、企業側の状況も変化が起きています。
「これまで採用してきた軽作業や一般事務のポジションが充足してしまった」
「障害者採用枠は一律でサポート系の仕事である必要はない。過去に専門的な仕事でキャリアを積んできた方なら、その経験が生かせるポジションの方が活躍できるはず」
代わって現在増えているのが専門性を生かせる職種です。
- 管理部門系(人事・経理・法務・総務など)を中心とする専門職種
- 社内SEなどのITエンジニア
最近のLHH転職エージェントでの転職サポート実績も、人事(採用、社会保険関連、労務)、経理、法務、監査、経営企画、社内SEなどへのご入社が占めています。
よくある「オープンポジション」の求人について
障害者採用の求人を探していると「オープンポジション」という職種を限定しない募集が多いことに気がつくと思います。
これは、応募者の方のこれまでの職務経験を生かせるポジションでの配属を検討する、という募集形態です。
障害者採用を利用する方の中には、先天的に障害をお持ちの方のほかに、前職までは健常者として勤務をしてきた方もいらっしゃいます。何らかの理由で障害をお持ちになり、
- 今までの働き方が続けられなくなってしまった
- 退職をして治療に専念していた
という方も多いため、業務経験のバックグラウンドもさまざまです。
オープンポジションの求人を利用し、今までの経験を生かして転職をされた方の事例をご紹介させていただきます。
40代のAさまの事例
【Before】
金融機関で勤務をされた後に、外資系企業で財務のご経験をされ、海外向けの投資やM&A案件を多く扱ってこられました。
突然の脳梗塞を患い後遺症として左半身に麻痺が残り、障害者手帳を取得されました。
【After】
語学力とファイナンス分野の豊富な知識とご経験が評価され、大手商社の経営企画ポジションへ正社員としてご入社をされました。
40代のBさまの事例
【Before】
広告系企業にて営業で実績を残された後に、人事部にて採用や研修、労務などの経験を積んでこられました。帰宅は終電がほとんどで休日出勤もしばしばあるという環境でしたが、仕事はやりがいがあり楽しんで勤務されていらっしゃったそうです。
心筋梗塞によりペースメーカーを入れることになり、障害者手帳を取得されました。
主治医から就業の許可は出ましたが以前のような働き方は認められない、と言われたことから転職活動を始められました。
【After】
持ち前のコミュニケーション力と人事でのご経験が評価をされ、複数の会社で内定をいただきました。最終的には生命保険会社の人事ポジションに正社員として転職を決められました。
30代のCさまの事例
【Before】
SE(システムエンジニア)として勤務をされてきました。常に短い期間で納品しなければならない案件を任されることが多く、会社に泊まって机の下で仮眠をとることが当たり前という状況が続きました。
次第に気分の落ち込みが続くようになり病院に行ったところ、統合失調症の診断が下り、障害者手帳を取得しました。
【After】
「エンジニアの仕事は続けたいけれど、働き方を変えたい」との思いから障害者採用での転職活動を開始。エネルギー系企業の社内SEのポジションで契約社員として内定を獲得されました。
オープンポジション求人は転職エージェントへ
ポジションが顕在化していない求人へ自分で直接企業にアプローチをするのは、気持ちのハードルも高く勇気がいることだと思います。
転職エージェントをご利用いただけば、顕在化していないポジションへのアプローチは代行できます。
「年収は維持したいけれど、病気について理解してほしい」
「仕事の内容は変えたくないけれど、働き方は変えたい」
「専門職としてキャリアアップしていきたい」
このようなご希望がかなう職場を見つけ交渉し、今後のキャリアがより良いものになるよう、LHH転職エージェントはサポートしています。
Social Partners(ソーシャルパートナーズ)の強み
今回ご紹介した事例以外にも、障がいをお持ちの方の実績事例があります。障がい者採用転職をお考えの方はぜひLHH転職エージェントまでお気軽にご相談ください。
コンサルタント
証券会社でリテール営業を経験後、転職エージェントの転職コンサルタントへキャリアチェンジをする。現在は、障がい者採用と管理部門系の転職支援を行う。とくに障がい者採用領域においてのサポート実績は、のべ300名以上ある。求職者の障がい特徴と企業の職場環境に応じた、双方への丁寧なフォローを大切にしている。