基本情報
公開年:2024年
監督:谷口恒平
脚本:河口芳佳 谷口恒平
キャスト:加賀翔(江尻真) 賀屋壮也(鬼頭和弘)和田雅成(澤村透)福井夏(梅田レイ)
上映時間: 94分
あらすじ
<以下公式サイトより引用>
ホラーDVD「本当にあったガチ恐投稿映像」シリーズを制作する編集マンの江尻とオカルトライター鬼頭の元に様々ないわくつきの映像が届く。倒産した映画会社の倉庫で発見されたいわくつきのDVD。自称世直し系動画が迷惑者を懲らしめるという名目で廃ビルを探索する生配信。お笑い芸人とグラビアアイドルによるどこか奇妙な街歩き番組。編集マンとしての知識や持ち前の洞察力で動画の裏に隠された秘密を推理していく江尻とそれを見守る鬼頭だったが…。
評価
安定の面白さ!でした!
日々、山のようにエンタメコンテンツが生まれている現代。取り立てて名作というほどではなく人気もさほどでもない作品にどういうわけかハマってしまうことがあります。ワタシにとって「この動画は再生できません」シリーズがそういう作品でして。
テレビ神奈川で放映された、観るからに低予算の心霊モノ。しかしAmazonプライムでシーズン1とシーズン2を観てハマり、「THE MOVIE」をレンタルするまでになってしまいました!
地味だけど気がつけば好きになってしまうこのシリーズの魅力が伝わればいいな〜と思いつつ、以下、感想です〜。ミステリーなのでネタバレなし!
感想
動画豆知識が身に付く?!
新宿に事務所を構えていた時、どういうわけか半年に1度、「本当にあった呪いのビデオ」的なDVDが送られてきてまして。恐怖新聞かよ、って感じの怖さですが、理由はこのDVDの製作をしている会社に以前お世話になったからなんですよね。
明らかに「作っている」感のあるこういった動画、誰がどうやってどんなテンションで作っているんだろう…?!と当初から興味津々でした。
本作「この動画は再生できません」は、まさにそんな「パチもん心霊ビデオ」を制作しているスタッフこそが、主人公の一人である江尻。彼がディレクターではなく、編集マンってところが良いのですよ。そして、その江尻くんのところに妙な動画を持ち込むもう一人の主役がオカルトライターの鬼頭。
編集マン江尻は、編集知識とテクニックを武器に、一見本物に見える恐怖映像の綻びを見つけ暴いていきます。
実のところ当初「そんなにたくさんネタがあるのかな?」と心配していましたが、シーズン2でやはり失速。全4話の第3話くらいで「もう、(観なくても)いいかな…」と思ったところ、4話で怒涛の展開になり「うわあ〜、えらいこっちゃ!」となっていたら映画版のお知らせが来て、一人(マイナー作品なんで分かち合う人がいない)興奮したものです。
ですので、これから観られる方はシーズン2の途中で挫折しそうになってもグッとこらえて下さいね!
映画版も面白かった!「20年前に作られた自主制作映画」と「YouTuberの生配信動画」「オカルトサイトが制作したヌルい街ブラロケ動画」の3つの映像が江尻の元に集まり、ミステリーが展開していきます。とくに「20年前の自主映画」は、そのものではなく「その10年後にDVD化したもの」を江尻は観ています。この一捻りした「時代の経過」が謎解きの肝になっているんですよね〜。痺れましたよ!!
編集マンならではの「動画豆知識」を知ることができるのが、この作品の面白さの一つです。これを見ればアナタももうフェイク動画に騙されなくなりますよ!!
オフビートな笑いを作る「かが屋」の力量
そしてもう一つの面白さ…っていうかワタシの好きなところが、かが屋のお2人がつくるオフビートな笑いです。彼らのコントは数本テレビやYouTubeで観たくらいですがオフビートという表現がピッタリ。奇異なキャラクターが出てくるわけではなく、声を張り上げる場面もほぼない。淡々と続く日常の中に存在する「笑いの裂け目」を指差しているようなコントです。
狭い編集室の中、2人でゆるい掛け合いをする場面が多いのですが、カメラが動かなくてもそれだけで観ていられる。江尻と鬼頭コンビをこのコント師にしたことでもう8割成功しているのではないでしょうか。
映画版では、場所こそ編集室から江尻の自宅に移りましたが、テレビ版と同じ、クスクス笑えるやりとりをしています。
内容についてはちょっと強引すぎやしないかい…?!って思う箇所もありますが、十分面白いです。
テレビシリーズのシーズン1と2はアマプラ会員特典で観ることができますので、これで気に入ったら映画版もどうぞ!あんまり怖くないので、ホラー苦手な人も大丈夫ですよ!