今回は、「お金があったらバカロレア?」 というテーマで考えてみます。
最近はネットのニュースなどでたまに「国際バカロレア」というワードを目にする機会もあります。
名前だけはかなり前から知ってはいたのですが、なんとなく興味をひかれなかったため、放置していましたが、とりあえず内容を調べてみました。
(国際バカロレア:International Baccalaureate、IB)
多様な文化の理解と尊重の精神を通じて、より良い、より平和な世界を築くことに貢献する、探究心、知識、思いやりに富んだ若者の育成を目的としている。
学校や政府、国際機関と協力しながら、チャレンジに満ちた国際教育プログラムと厳格な評価の仕組みの開発に取り組んでいる。
スイスに本部を置く国際教育機関が提供する教育プログラム。
当初は、世界各国から人が集まる国際的な機関や外交官の子供が母国での大学進学のため、様々な国の大学入試制度に対応し、1つの国の制度や内容に偏らない世界共通の大学入学資格および成績証明書を与えるプログラムとして開発され、その目的を、より良い平和な世界を築くために貢献する人材育成としており、その教育プログラムの特徴として「全人教育」を掲げている。
・国際的な視点: IBプログラムは多文化理解と国際的な視点を重視しており、生徒が多様な文化や価値観を理解し尊重できるように設計されている。
・探究重視: IBプログラムは探究学習を重視しており、生徒が自ら疑問を持ち、調査し、学ぶ姿勢を養うことを目指している。
・学問のバランス: IBは幅広い教科を学ぶことを奨励しており、言語、社会科学、実験科学、数学、芸術など、複数の分野をカバーしている。
・批判的思考: 生徒が批判的思考や問題解決能力を身につけることを重視しており、これにより複雑な問題に対処する力を養う。
・評価方法: IBの評価は試験だけでなく、エッセイやプロジェクト、内部評価など多様な方法を用いて行われます。これにより、生徒の多面的な能力が評価される。
・言語教育: 多言語教育を重視しており、少なくとも2つの言語で学ぶことが推奨されていて、生徒が多言語でのコミュニケーション能力を向上させることができる。
・グローバルな認知度: IBディプロマは世界中の多くの大学で認知されており、IBプログラムを修了した生徒は国際的な高等教育機関への進学が容易になる。
・CAS(創造性・活動・奉仕): 生徒は学業だけでなく、創造性(Creativity)、活動(Activity)、奉仕(Service)の3つの要素に取り組むことが求められ、全人教育が促進される。
・独立した研究: ディプロマプログラムの一部として、生徒は「拡張エッセイ」と呼ばれる独立した研究プロジェクトを行い、深い学問的探究を経験する。
(国際バカロレアプログラムの4段階)
1.プライマリー・イヤーズ・プログラム(PYP)
3~12歳を対象に、精神と身体の両方を発達させることを重視したプログラム。どのような言語でも可能。
2.ミドル・イヤーズ・プログラム(MYP)
11歳~16歳を対象に、これまでの学習と社会のつながりを学ばせるプログラム。どのような言語でも可能。
3.ディプロマ・プログラム(DP)
16歳~19歳を対象に、所定のカリキュラムを2年間履修し、最終試験を経て所定の成績を収めると、国際的に認められる大学入学資格(国際バカロレア資格)が取得可能。原則として、英語、フランス語又はスペイン語で実施。
4. キャリア関連プログラム(CP)
16~19歳を対象に、生涯のキャリア形成に役立つスキルの習得を重視したキャリア教育・職業教育に関連したプログラム。一部科目は、英語、フランス語又はスペイン語で実施。
(学習者像:The IB Learner Profile)価値を置く10の人間性。
・探究する人
・知識のある人
・考える人
・コミュニケーションができる人
・信念をもつ人
・心を開く人
・思いやりのある人
・挑戦する人
・バランスのとれた人
(デメリット)
・高い学費とコスト
IBプログラムを提供する学校は一般的に私立校やインターナショナルスクールであり、学費が高額になる。
・学問的な負担
学問的な要求が高いため、生徒にとってストレスやプレッシャーが大きくなることがある。
・特定の学習スタイルに適応が必要
探究重視のアプローチに慣れていない生徒や、特定の教科に特化した学習を好む生徒にとっては、適応が難しいことがある。
・限られた学校数
IBプログラムを提供する学校は限られているため、地域によってはアクセスが難しい場合がある。
・大学入試の認知度の差
一部の国や大学では、IBディプロマの評価が他の大学入試制度と比較して十分に理解されていない。
・課外活動の負担
CAS(創造性・活動・奉仕)などの課外活動が学業と並行して求められるため、時間的な負担が大きくなる。
・言語の壁
非英語圏の生徒にとっては、英語での授業や評価が難しい場合がある。
ということのようです。
まぁ、以前興味をもてなかったことは正解かもしれません(?)
” リベラルアーツ ” が注目された関係で、結構語られるのでしょうが、 ” 大多数の一般の人たち ” には、ほとんど関係のない世界ですね?
「教育」というより、以前記した大昔のオックスフォードやケンブリッジのような「紳士育成機関」、もしくは「マナー教室」みたいな感じかもしれません。
元々が、世界中を飛びまわる外交官の子供を対象として作られたモノなので、
・お金はある
・地位はある
・自分で何かを成し遂げなくてもいい
といった、富裕層、特権階級、エリートのための仕組みですね?
別に、それは悪いことはありませんし、アメリカに2年いたら次は中国、、その次はイスラエル、、なんていう親を持った子供にとっては、このような仕組みが無いと確かに厳しいですね?
また、王様、貴族、大会社の創業オーナーなどの子供にとっては、将来のポジションが固定されているわけですから、、、、、
・探究する人
・知識のある人
というのは、少し焦点がずれているように思います。
「探究」というのは、何でもかんでも手当たり次第に行うものではないし、人間の時間はそれほど長くありません。
” 専門性 ” が重要だと思うのです。
1つの「専門分野」で、ここはどうなっているのだろう? なぜこうなるのだろう? ということを追い進めることが「探究」だと思います。
そういう意味では、「国際バカロレア」においては多言語を話せるようになるかもしれませんが、「専門性」も「深い知識」も付かないように感じられます。
私たちが住むところとは、全く別の世界のお話ですね・・・
掃いて捨てるほどのお金があるなら、” バカロレア ” という選択肢はあるとは思います。