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louribot’s blog

学習成果の出る企業内教育(教育全体)についての考察を語ります

ブルーナーの ” 螺旋型カリキュラム(Spiral Curriculum)” を登る ~ 普通に考える教育・学習論 ~

今回は、ブルーナーの ” 螺旋型カリキュラム(Spiral Curriculum)” を登る ~ 普通に考える教育・学習論 ~」 というテーマで考えてみます。

螺旋型カリキュラム(Spiral Curriculum)

ブルーナ心理学者であり、認知心理学を拡め、現在の主流とした(?)研究者ですが、これまでに何度か記しているように「教育」についても多くの理論等を残しています。


最近の世の流れの中では、「発見学習(discovery learning)」が最も有名だと思いますが、そのほかにも「概念学習(Concept Learning)」等、様々な「教育」についての考えを唱えていました。

これは、前にも記しましたが、ジョン・デューイの影響と対抗意識(?)が多々あったのではないかと想定します。


「学習」 ” 積み木 ”  のように、1つの知識(ブロック)の上に、次の知識(ブロック)を積み重ねていき、崩れないように構築していく行為です。

そして、” 積み木 ” のように一気に崩れるようなことのないように、各ブロックを接着剤(?)でかためて、崩れない別の大きなブロックを作成していくことが求められます。

こう考えると、” 積み木 ” というよりは ” 建築・建設 ” 、つまり家やビルを建てていくような感じです。

何十年もたって改築や外装を塗り直す、、たしかに ” 建築・建設 ”  の方が近い概念かもしれませんね?

 

こういった考えについては、ブルームキャロル「完全習得学習」や、公文式、カーンアカデミー等、そして外野のショーペンハウアーのコトバについてまで記してきました。

またか、、、と思うかもしれませんが、ブルーナも同様のことを考えています(つまり、” 心理 ” ではなく、” 真理 ” だと、、、)。


ブルーナは、「教授理論の建設」の考えの中で、” 螺旋型カリキュラム(Spiral Curriculum) ” というモノを提唱しています。


(螺旋型カリキュラム:Spiral Curriculum)


基礎的な概念を学習者の成長に合わせて繰り返し学習し、理解を深めていく学習モデル。

学習者が同じ概念をより深く、より広く理解できるように、カリキュラムを段階的に構成することが有効だと考えた。

算数の基本を最初に学び、その後さらに高度な応用問題に進むといった形で、徐々に知識を積み上げていく。


(基本原則)


・段階的な複雑化

学習内容は初めは簡単な概念から始まり、次第に複雑さを増していくように設計。初めは基本的な概念やスキルを学び、次第にそれを基にしてより複雑で詳細な内容に進んでいく。

 

・繰り返しの学習

重要な概念やスキルは、学習者の発達段階に応じて何度も繰り返し取り上げる。学習者は以前に学んだ内容を再確認し、さらに深く理解することができる。

 

・発展的な知識の構築

学習者は新しい情報を既存の知識と関連付けることで、より深い理解を築く。学習者は知識を体系的に整理し、応用力を高めることができる。


(実践)


・カリキュラムの設計

教師やカリキュラムデザイナーは、学習内容を段階的に整理し、どのタイミングでどの内容を学習するかを計画。各学年で取り上げるテーマやスキルのリストを作成し、それをどのように深化させていくかを考える。

 

・復習と応用の機会の提供

学習者が以前に学んだ内容を復習し、それを新しい文脈で応用する機会を提供。知識の定着と理解が深まる。

 

・評価とフィードバック

学習者の理解度を定期的に評価し、フィードバックを行う。学習者がどの程度理解しているかを確認し、必要に応じて補強や再学習を行う。


(弱点)

 

・設計と実施の複雑さ

効果的に設計し実施するには、高度な計画と組織が必要。教育者やカリキュラムデザイナーは、段階的に複雑化する内容を慎重に構築し、適切なタイミングで復習と発展を行う必要があり、多大な時間と労力がかかり、すべての教育者がこのプロセスに対応できるわけではない。

 

・教材とリソースの必要性

多様な教材やリソースが必要。異なる学年や発達段階に対応する教材、評価ツール、および学習活動が含まれる。リソースの整備には、学校や教育機関にとって経済的な負担が大きくなる。

 

・個別化の難しさ

段階的な学習を重視するため、学習者全員が同じペースで進むことを前提としがちであるが、実際には学習者の理解度や進行ペースは個々に異なるため、一部の学習者にとってはカリキュラムが難しすぎたり、逆に簡単すぎたりする場合がある。

 

・教育者のトレーニン

教育者が適切なトレーニングを受ける必要がある。教育者がこのアプローチに慣れていない場合、カリキュラムの設計や実施に困難を生じる。教育者への継続的なプロフェッショナル・ディベロップメントが重要。

 

・評価の困難さ

学習者の理解度を段階的に評価する必要があるが、学習者がどの程度の理解を持っているかを正確に評価し、それに基づいて次の段階を計画することは容易ではない。評価が不十分であると、学習者が次の段階でつまずく可能性がある。

 

・繰り返しによるモチベーションの低下

同じ概念やスキルを何度も繰り返し学習することが、学習者にとって退屈に感じられ、すでに理解している内容を繰り返し学ぶことに対して、学習者のモチベーションが低下するリスクがある。

 

ということです。


「教育・学習」というモノを、” ごく普通に考える ” と、このようになるのは当たり前です。

 

ブルーナは主が「心理学者」であるので、教授デザイン等は「教育・学習」を専門的に研究してる人々(ガニェ、ブルーム、、、ライゲルース、鈴木先生等々)に及ぶはずもありませんが、


” 非常に真っ当なコトを言っています ”


しかし、

 

” 真っ当なコト ” が、” 真っ当に ” 扱われないのが、” 世の中 ”

 

です。

 

「教育・学習」の世界は、昔から殆ど何も変わっていないようにも感じられますし、少しだけ変わったような気もします。


「完全習得学習」も、「PSI」も、インストラクショナルデザインも、「学習者主体」「教えない教育」も、、、、そして、「螺旋型カリキュラム(Spiral Curriculum)」も、” 知る人ぞ知る ” では、、、、


現在の「教育・学習」の状況が、” 普通ではない ” という認識を一人でも多くの人に気づいてほしいのですが・・・