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日本周辺の安全保障環境が厳しさを増しています。政治や経済、外交など、日本の針路を考えます。

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防衛白書、具体説明は踏襲メイン 増税財源など「国民の議論」遠く

閣議に臨む岸田文雄首相(左端)。右端は浜田靖一防衛相=首相官邸で2023年7月28日午前10時3分、竹内幹撮影
閣議に臨む岸田文雄首相(左端)。右端は浜田靖一防衛相=首相官邸で2023年7月28日午前10時3分、竹内幹撮影

 28日の閣議で了承された2023年版防衛白書は、安保関連3文書改定に伴い、防衛政策に関する記述を大幅に増やしたほか、相次ぐ不祥事を受けてハラスメントに関する記述を拡充した。大幅に増額する防衛費は国民の負担増で確保することを踏まえ、防衛省・自衛隊の取り組みへの理解を高めることや、人材確保に向けた信頼回復を目指す。ただ、専守防衛との整合性が問われた反撃能力(敵基地攻撃能力)に関する説明が過去の国会答弁の踏襲にとどまるなど十分とは言えない内容となった。

    ◇

 「3文書策定後、初めての白書だ。我が国の防衛に対する国民の皆様の理解の一助になればと考えている」

 浜田靖一防衛相は28日の記者会見で白書を掲げながら、こう強調した。

 相手国のミサイル拠点などをたたく反撃能力を保有し、2027年度の防衛費を関連費と合わせて国内総生産(GDP)比2%まで倍増させ、5年間の総額を43兆円に引き上げる――。岸田文雄首相はこうした方針を「日本の安全保障政策の大転換」と誇示し、中国や北朝鮮を意識した厳しい安全保障環境への対応を急ピッチで進めた。

 一方で、その中身の説明姿勢には「不誠実」との批判がつきまとってきた。先の通常国会では、反撃能力と専守防衛との整合性をはじめ、反撃能力行使の具体例やタイミング、米軍との役割分担のあり方などさまざまな論点が提示されたが、首相は「個別具体的に判断する」などと説明を避ける場面が目立った。

 白書は反撃能力の解説に1ページを割き、浜田氏は「必要な記載に努めた」と強調した。ただ、能力行使の具体例としては、従来の説明通り弾道ミサイル攻撃しか例示しなかった。相手の攻撃着手の認定を誤れば、…

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