王様のブランチで紹介された作家のインタビューをまとめて掲載しています。
インタビュー
矢樹さん:
ホラーとミステリはもともと親和性のあるジャンルかなと思っていて、ミステリでの謎、ホラーだと不安や恐怖を引き起こす要因になったりする。知りたくなかった真相で怖がっていただきつつ、謎解きパートを読んでいるときは、驚きと伏線回収されていく気持ちよさを、相乗効果で楽しんでいただけるんじゃないかなと思っています。
―――読ませていただきましたが、怖すぎます。
矢樹さん:
(ホラーで)旧家の呪いや因縁って、自分に関係のあることだとは思わない。遠い世界のことのように読んでしまっていたんですけど、もっと感情移入して読んでもらうにはどういう描き方が出来るかな?と思いまして、旧家っていうのをもっと現代的なよくあるご家庭みたいなところを舞台にして、主人公たちがそこに関わらざるを得ない状況を作るっていう風にしたらそれができるんじゃないかと思って。
文章によって人を怖がらせる作品は、ホラー漫画、ホラー映画と違って、読者に怖い場面を想像してもらって、自分の想像に怖がっていただく。そういう点が大きく違うと思う。なので読者の怖がる才能・怖がる力に頼りつつ、読者の想像を邪魔しないよう工夫した。
*「あの家はまさしく、撮ってはいけない家だった」この台詞の意味が解ったとき、最高の恐怖を味わえる一冊です。
ひとこと
まだ読んだことのない作家さんですが、面白そう!読者という読み手に配慮した描き方も興味が持てます。この作品に限らず他の作品からでもよいので、矢樹純さんの作品をすぐ読みたいって思いました。「或る集落の●」も気になっていたんですよねぇ.....。楽しみ。それでは、また来週。
矢樹純プロフィール
小説家、漫画原作者。1976(昭和51)年、青森県生れ。実妹とコンビを組み、加藤山羊の合同ペンネームで、2002(平成14)年、「ビッグコミックスピリッツ増刊号」にてデビューする。『あいの結婚相談所』『バカレイドッグス』などの原作を担う。2012年、「このミステリーがすごい!」大賞に応募した『Sのための覚え書き かごめ荘連続殺人事件』で小説家としてデビュー。2019年に上梓した短編集『夫の骨』が注目を集め、2020(令和2)年に表題作で日本推理作家協会賞短編部門を受賞する。(新潮社・著者プロフィールより)