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なぜマストドンは日本で花開いたのか、あるいはソシャゲが日本で流行るわけ

なぜマストドンは日本で花開いたのか

マストドンが日本で流行ったのはなぜかという話題が盛り上がりましたね。わたしは『その理由がロリコンでないのなら、なぜマストドンは日本で花開いたのか』が当を得ていると思いました。つまり、海外では「一定人数以上のインスタンスを立てられなかったから」ですね。

しかし、この仮説を支持するとなると新たなる疑問が浮かびます。なぜ日本では立てられるのか。賢人ひしめくMIT擁するアメリカでは出来ないことがなぜ日本では出来たのかが解決しません。

逆算経営

ところで、「逆算経営」という言葉があります。まず到達すべきゴールを決め、それに必要なものをブレイクダウンしていき、それらを各個撃破していくというものです。これに類する概念は色々なところで語られていますが、その最も重要な点がどこかについてはあまり言及されていない気がします。

改めて考えてみれば当たり前なのですが、重要なのは何を目標とすべきかであり、かつそれが確かに達成可能なことですね。達成不可能なことを目標にしてしまうと「チャレンジ」がはじまるわけですがその話はまた別の話です。

ここで問いは「マストドンをスケールさせることは可能なのか」です。こんな日本語ブログを読んでいる物好きなみなさんは「まぁ、がんばればできるだろーけどかかわりたくねーな」あたりが正直な感想じゃないでしょうか。やりゃあできると思ってるわけですね。と、すれば後は気合いの入ったCEOがつかつかと歩み寄ってきて、高い給料とストックオプションをちらつかせながら、「ちょっとがんばってくれないかね」とか言ってくれば物語がはじまる日もあるわけですな。

RDBのスケールは可能、日本人はいつからそう信じたか

ちょっと主語を大きくしましたので異議のある方も出てくるかと思いますが、まだ条件付き賛成くらいはして頂けるんじゃないかと思います。で、いつからですか?

2006年頃からじゃないでしょうか。

そう、mixiが1年で20万人、2年で200万人というユーザー数の激増を捌ききった頃からではないでしょうか。彼らがその努力の詳細を公開し、またその後の不幸によって智恵を身につけた技術者が様々な会社に散らばってからではないでしょうか。

あの頃から人はスケールアウトが可能なものだと信じるようになったのでしょう。言い換えれば、スケールアウトは技術的な問題ではなく、スケールアウトのための投資が取り戻せるかという経営の問題にすぎないことだと理解されるようになったわけです。(そのせいでなめた設計をしてサービスイン当日に爆死する風景が絶えないのはまた別の話)

ソシャゲが日本で流行るわけ

ここまでの理屈に同意して頂ければ、この問いの答えも導けますね。そう、日本でだけ可能だったからです。

ソシャゲは一般に、自慢される側である大量の無課金者と、自慢する側である小数の課金者に分かれ、この二者は共に必要不可欠なものです。このモデルの問題は大量のユーザー数を捌けないと小数の課金者を維持出来ない点ですね。

これが可能な会社は海外でももちろん例外的にあるようですが、その例外に当てはまらないような会社はユーザー数が数万を超えたあたりで限界に達し、さらなる拡大を信じ切れずに投資を渋って消えていったのだろう、そう推測出来るわけです。ユーザー数に応じて柔軟に技術的な落としどころがあると広く信じられている日本が恵まれていることが分かりますね。

まとめ

mixiは死んでもスケールアウトは死せず、これをもって結びの言葉とします。